熊本市は観光客に向けて、「自分だけの癒し」をテーマにしたローカル旅を提案している。定番の観光名所を巡るだけではなく、自分のペースで心を整える旅を求める人が増えるなか、カフェ文化や自然体験を組み合わせた新しい旅のスタイルを打ち出している。

株式会社日本旅行が2024年8月に実施した調査によれば、旅に求める要素の1位は「リフレッシュ(56.4%)」、2位は「癒し・リラックス(49.8%)」だった。特に20代以上の男女を中心に、心地よさや“自分らしさ”を重視する傾向が強まっており、熊本市はこうしたニーズに応える観光コンテンツを整備している。
カフェ文化と自然を生かした新しい旅の形
熊本市の特徴のひとつが「カフェ文化」だ。江津湖の湖畔にある「Lake side Open Café」では、地元野菜をふんだんに使った料理を提供し、グランピングやBBQも楽しめる。醤油メーカーが手がける「うさぎカフェ」では、醤油を使ったスイーツが人気でユニークな味わいが訪れる人を惹きつける。また、熊本地震で被災した町家をリノベーションした「珈琲回廊」も年間6万人以上が訪れる人気スポットとなっている。

自然体験も充実している。田園風景の中に佇む「温泉邸 湯ー庵」では木造造りの貸切風呂が評判で、金峰山では初心者でも安心して挑戦できる登山コースが整備されている。水前寺成趣園では四季折々の庭園美を楽しめ、江津湖ではサンセットクルーズやボート体験が用意され、自然と触れ合いながら心身をリフレッシュできる。
市内散策では「桜の小路」が注目を集めている。23店舗が並ぶ小路には熊本グルメが揃い、ソフトクリームフェアなど季節ごとのイベントも開催される。華厳宗・不動山平等寺ではサウナや滝行、座禅といった体験が可能で、“心を整える旅”にふさわしいプログラムが揃う。さらに「スナック明星パンチ」では、昭和レトロな雰囲気の中で地元の人々と交流できる空間が広がっている。
熊本市が提案するのは「観光する」だけでなく「暮らすように感じる」旅だ。訪れる人に“自分のペースで整う時間”を提供し、カフェ文化と自然、そして地元の人々との触れ合いが融合したローカル旅は、現代の旅行者が求める癒しに応えるものとなっている。
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