ニュウマン高輪、国際交流の玄関口として開業へ　表輝幸社長が語る未来像、鈴木和馬店長が描く現場運営

JR東日本グループが推進する大規模再開発「TAKANAWA GATEWAY CITY」において、新商業施設「ニュウマン高輪」が9月12日に正式開業した。メディア向けプレビューと開業を経て、株式会社ルミネ代表取締役社長の表輝幸氏と、同社執行役員でニュウマン高輪店長の鈴木和馬氏が『風傳媒』の個別取材に応じ、施設の理念と具体的な取り組みを語った。

表輝幸社長のビジョンと経歴

1963年生まれの表氏は石川県出身。早稲田大学大学院理工学研究科を修了後、JR東日本に入社し、生活サービス事業やSuica関連事業を歴任した。その後、東京駅商業施設やニュウマン新宿の立ち上げなど数々の都市開発を牽引。2023年に株式会社ルミネ代表取締役社長に就任し、グローバル化とサステナブル経営を推進している。

一方、鈴木和馬氏はルミネ執行役員としてニュウマン高輪の立ち上げを統括し、店長として現場運営や国際的な顧客対応を担う。商業施設を単なる買い物の場にとどめず、地域社会と世界をつなぐ実験的な拠点とすることを目指している。

高輪の歴史とプロジェクトの意義

表氏はまず、高輪という場所の持つ歴史的背景とプロジェクトの規模を強調した。

「ここは元々車両基地だった場所を、JR・JRグループが一丸となり20年以上かけて開発した一大プロジェクトです。さらに、約150年前に日本で初めて鉄道が走った、日本の鉄道史の原点でもあります」

その上で、「先人がこの地で起こしたイノベーションの歴史を継承し、TAKANAWA GATEWAY CITYは『100年先の心豊かな暮らしのための実験場』というビジョンを掲げています。私たちルミネもこの理念に共鳴し、高輪という新しい場所で事業活動を通じて未来の豊かな社会の実現に貢献したい」と述べた。

グローバルゲートウェイとしての高輪――食と文化を発信する拠点に

​表氏はさらに、ニュウマン高輪の立地について「羽田空港国際線ターミナルから約15分という好アクセスを活かし、国内外から人々が集まる国際的な交流拠点を担う」と説明した。高輪エリア全体を「グローバルゲートウェイ」と位置付け、国際会議や展示会などMICEの誘致、ビジネス客や観光客に向けた高品質なサービス提供を通じ、多様な文化が響き合う新たな価値の創出を目指すと強調した。

風傳媒の取材に対し、表氏は館内に出店する「AKOMEYA TOKYO」についても言及した。「日本の素晴らしいお米と食文化を世界中の人々に伝えたいという強い思いがあります。大切にしているのは『おいしい』の循環。日本のお米と食文化、生産者の情熱を世界に伝えたい。その架け橋となるべく積極的に魅力を発信され、世界中の食卓を豊かにしたいという考えをお持ちです」と紹介した。 （関連記事： 「AKOMEYA TOKYO」ニュウマン高輪に新店舗開業　米文化を中心に地域と世界をつなぐ拠点へ ｜ 関連記事をもっと読む ）

ニュウマン高輪は、日本の伝統食材やお米の魅力を体験できる拠点として、来訪者に新しい発見や学びを提供する場となることを目指す。特に台湾をはじめとする海外客に対し、食だけでなく自然やアートを通じた体験を届けたいと強調した。

ルフトバウムとこもれびらの魅力

表氏はさらに、具体的な施設について説明した。「North28‧29階に広がる『ルフトバウム』は、地上150m、延床約8,000㎡というスケールで、日本各地から厳選された500本以上の植物が配されています。富士山を望む絶景と圧巻の緑に包まれて、都心の別荘として四季の移ろいを感じながら特別な体験を提供しています」と語った。

加えて、「South5階の『こもれびら』では『あそび×アート』をテーマにした屋内パークを展開し、大人も子どもも思い思いに過ごせる空間を実現しています。自然と文化が融合する新しい発見を提供する場として、食だけでなくアートや自然を通じて日本の豊かさを五感で体感いただけることもニュウマン高輪ならではの魅力です」と述べた。

最後に表氏は、「こうしたニュウマン高輪での様々な体験が、台湾をはじめとする海外のお客さまにとって旅の特別な思い出となり、日本を訪れる新たな目的地となればと願っています」と締めくくった。

鈴木和馬店長が語る多様性対応――世界中の来訪者を迎える体制づくり

一方、ニュウマン高輪の現場を統括する鈴木和馬店長は、グローバルゲートウェイとしての受け入れ体制について説明した。「TAKANAWA GATEWAY CITYはグローバルゲートウェイとして世界中のお客様をお迎えするため、様々な工夫をしています」と述べ、具体例としてペットフレンドリーな環境整備や、ハラル対応レストランの誘致を進めていることを紹介した。

また、「世界的に有名なブランドに加えて、日本の文化や精神性を体現するアイテムを多数揃え、ショッピングを通じて日本を深く知ってもらえるよう心がけています」と語り、多様な来訪者に向けた商品展開の意義を強調した。

利便性と観光客サービスの強化

鈴木氏はさらに、利便性向上に向けた取り組みにも言及した。「免税手続きの簡素化や、お客さまのスマートフォンでQRコードを読み込み、店舗や施設情報に多言語でアクセスできるシステムを整備し、ストレスフリーなショッピング体験を目指しています」と説明した。

観光客向けの商品については、「日本の文化を発信するショップでは、日本の伝統的な食文化を五感で体験できるような商品をご用意しています。家庭でも手軽に日本の味を再現できる食品や、陶器や漆器など職人技が光る伝統工芸品もおすすめです。観光客の皆様にとって、日本ならではの魅力的なお土産を見つけていただきたい」と語った。

ニュウマン高輪は、歴史と革新を結びつけながら国内外の来訪者を迎える拠点として、食・文化・自然を融合させた体験を提供し、国際都市・東京の新たな顔となることを目指している。

編集：梅木奈実 （関連記事： 「AKOMEYA TOKYO」ニュウマン高輪に新店舗開業　米文化を中心に地域と世界をつなぐ拠点へ ｜ 関連記事をもっと読む ）

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