北京「九三軍事パレード」で誇示された新兵器 台湾統一の切り札となるのか? ロシア・ウクライナ戦争から学び密かに進める研究

2025-09-17 14:10
2025年9月3日、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記が九三軍事パレードに出席した。(AP通信)
2025年9月3日、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記が九三軍事パレードに出席した。(AP通信)
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北京で行われた九三軍事パレードの後、新型兵器の数々が初めて披露され、内外で大きな議論を呼んでいる。戦争の様相を変えるとされる無人機システムや、米国の「島嶼防衛ライン」を突破し得る大陸間弾道ミサイルは、中米対立をさらに新しい局面へと押し上げた。加えて、トランプ大統領の「2.0関税戦」が火ぶたを切ったことで、中国はかつてのトランプ政権期とは違い、交渉の場でも余裕を示している。台湾問題はその駆け引きの核心であり、米国在台協会(AIT)や米国務省が相次いで「台湾の地位未定論」に言及したのは、明らかに台湾を交渉材料とする動きといえる。

一方で注目されるのは、米国が中国抑止を狙って仕掛けた数々の戦略が、かえって自国の経済や社会に打撃を与えている点だ。関税戦による米国経済の負担はその典型である。台湾問題をめぐり、ワシントンを中心とした西側は「もし中国が台湾を武力統一すれば、ロシアのように制裁に直面する」との世論を醸成し、北京に圧力をかける構図を強調している。

10年前の「去米国化」論で注目 中国が制裁研究を本格化

《風傳媒》の取材によれば、九三軍事パレードの準備が進む中で、中国本土ではひっそりと約500ページに及ぶ専門書『制裁と経済戦』が出版された。西側の研究翻訳を超えて、中国学術界が独自に「経済制裁」に焦点を当てた初の本格的な研究書とされる。

著者は中国人民大学の翟東升(国際関係学院副院長・区域国別研究院院長)。彼は国際政治経済や対外経済戦略を長年研究してきた権威であり、博士課程の研究者らと共に執筆を主導した。翟氏は2014年、鳳凰衛視の討論番組で「去米国化」「去ドル化」「人民元の国際化」を予言し注目を浴びた人物で、その先見性はいま改めて評価されている。今回の新著も、制裁や経済戦が中国にとって避けられない大課題になるとの危機感を示したものだ。

国際政治経済学の専門家である中国人民大学の地域国別研究院院長翟東升は、最近チームを率いて研究成果『制裁と経済戦』を発表した(右)。(張鈞凱撮影)
中国人民大学の翟東升教授(右、国際政治経済学専門)は、研究チームを率いて新著『制裁と経済戦』を発表した。(写真/張鈞凱撮影)

同書は現代を「大争の時代」と定義し、中国が世界の中心に回帰する過程で「経済の武器化」という難題に直面すると論じている。グローバル化によって各国が相互依存を深めた結果、脱グローバル化の時代に入ると、経済関係そのものが敵対国の武器や権力源泉となる。

その象徴がトランプ政権期の関税戦やハイテク規制であり、米国が「長腕管轄権」を使い、当時の華為(ファーウェイ)副会長兼CFO孟晩舟を拘束した事件は、中国に強烈な警鐘を鳴らした。翟氏は「2017年以前、中国政府も社会も制裁や経済戦への研究が不足していた」と述べ、トランプ政権の行動が「中国を目覚めさせ、研究需要を急拡大させた」と指摘している。

米欧の制裁を分析 ロシアの事例に注目

中国本土で「制裁と経済戦」を体系的に扱った初の著作とされるこの書籍は、古今東西の歴史的事例を整理し、そこから将来の変数やリスクに備えるためのモデルと指針を導き出そうとしている。著者らは、中国古代の事例――西漢による匈奴への経済戦、北宋の西夏への制裁、明代の蒙古に対する経済的分断政策――を参照し、三者が対峙する構図では「誰を友とし、誰を敵とするか」を見極めることが最も重要だと強調する。中原王朝がいかに敵に対する非対称的な依存関係を築けるかが、戦果を左右したと指摘している。

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