【張鈞凱コラム】台湾海峡に「統一なき統一」の新局面は訪れるのか

中国の習近平国家主席(左)、AI拠点を視察。(写真/AP通信提供)
中国の習近平国家主席(左)、AI拠点を視察。(写真/AP通信提供)

日本とフィリピンがそれぞれ排他的経済水域(EEZ)をめぐる協議を一方的に進め、台湾側が有効な対応を取れない中、中国大陸は台湾東部沖で海警局や海巡部門による法執行活動を展開した。

この動きが実際にもたらしている効果は、中国側による実質的な管轄・統治範囲のさらなる拡大である。中国メディアはこれを「近海ガバナンスモデル」の始動と位置づけ、今後は「台湾海峡」という呼称を耳にする機会が次第に少なくなるとの見方を示している。

こうした主張は、台湾社会から見れば誇張に聞こえるかもしれない。しかし、客観的な現実に照らしてみれば、必ずしも想像しがたい話ではない。

「統一なき統一」は新たな段階に入ったのか

​中国大陸が台湾東部沖での特別法執行活動の完了を発表したのとほぼ同じ時期に、中国大陸の著名な台湾問題専門家である朱衛東氏は10日、あるシンポジウムで「不統而統(統一なき統一)」という概念を提起した。

朱氏によれば、対台湾工作を進めるにあたっては、「統一を急ぎすぎること」と「消極的に待つこと」の双方を避ける必要がある。情勢の流れに沿いながら、積極的に働きかけ、「統一なき統一」という大きな流れを形成することを目指すべきだという。

この論点の登場は、「近海ガバナンスモデル」の展開と相互に呼応し、照らし合う意味を持っている。では、「統一なき統一」は中国大陸の新たな対台湾政策の表現なのだろうか。

実際には、中国共産党第19回全国代表大会後、当時の台港澳法研究センター執行主任だった李暁兵氏が、すでに「不統而統」という概念を提起していた。

李氏は当時、統一問題に対する人々の理解には一定の誤解があると指摘していた。大陸と台湾の間の往来はすでに非常に密接かつ頻繁であり、実質的には統一と大きく変わらない。ただ、政治的な表明がまだ出ていないだけだ、という見方である。

しかし、同じ「不統而統」であっても、李暁兵氏が2018年に語った時と、朱衛東氏が2026年に再び提起した現在とでは、現実の環境、実質的な意味、そして人々の受け止め方は大きく変わっている。

筆者が朱衛東氏に確認したところ、同氏は現時点で「不統而統」について専門の論文を発表しているわけではないという。会議の場で複数の学者の意見を聞いた後、その場で感じたことを述べたものだった。

それでも、朱氏が中国側の台湾政策をめぐる重要なブレーンの一人であることを考えれば、この四文字には軽視できない重みがある。むしろ、現在の中国大陸のさまざまな対台湾政策手段、そして今後の目標を要約した言葉として受け止めることもできる。

台湾問題の解決は「100年待てる」のか

​ここで筆者が思い出すのは、長年にわたり両岸を行き来してきた香港の著名人、李大壮氏の見方である。筆者が同氏と意見を交わす中で、李氏は何度も、現在の両岸関係はすでに「法理上の統一」に近い状態にあると語っていた。
(関連記事: 【台湾海峡の深層】中国海警局が台湾を周回、東部海域も常態化か 北京が進める「不統而統(統一なき統一)」とは 関連記事をもっと読む

その根拠として、李氏は金門・馬祖周辺の制限水域や台湾海峡における中国海警局の法執行活動、さらに人民解放軍が軍事行動を通じて台湾に対する主権管轄を示していることを挙げる。台湾側はこれに有効な対抗策を取れず、国際社会からも実質的な反制の声や具体的行動は見られない。したがって、両岸統一の方向性はすでに疑いようがなく、今後議論されるのは統一の「形式」にすぎない、というのである。

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