中国が日本に対する輸出規制を強化し、半導体の製造に不可欠なガス、六フッ化タングステン(WF6)の重要原料であるタングステンの輸出を停止した。これを受け、情報技術(IT)系海外メディア、Wccftechは、WF6の日本国内における生産量がゼロに落ち込み、深刻な供給不足に陥っていると指摘。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のSKハイニックス、サムスン電子など、主要半導体メーカーにも影響が予想されると報じた。
同報道によると、日本の大手化学メーカー、関東電化工業やセントラル硝子は、TSMCやサムスン、SKハイニックスといった半導体の世界的大手メーカーにWF6を供給している。しかし、原料調達が困難になったことで、WF6の供給が深刻な不足に直面しており、状況は今後さらに悪化する恐れがあるという。
WF6生産コストの6〜7割をタングステンが占める
WF6は、生産コストの60~70%を高純度タングステン粉末が占めているとされ、日本企業は長期にわたり、同原料の調達を中国に大きく依存してきた。
報道によると、中国が輸出規制という「鉄槌」を下し、今年に入り高純度タングステン粉末の輸出量がゼロになったと言及。これは、日本が限られた在庫のみで増大し続ける半導体需要を支えざるを得ないことを意味する。関係筋によると、日本企業は既存の在庫を活用して約5カ月間生産を辛うじて維持してきたものの、現在に至るまで原料供給を確保するための代替調達先を見出せていない状況だ。
一方で、中国の関連メーカーの株価は上昇に転じている。中国はこれを機に、次なる半導体特殊ガスの主要サプライヤーとしての地位確立を狙っているとみられる。将来的に中国企業が数少ない大規模サプライヤーとなる可能性が高いため、海外顧客向けの販売価格を引き上げる公算も大きいと同報道は指摘している。
SKハイニックス・サムスンで代替素材の導入が進む
WF6は、3次元(3D)NANDフラッシュメモリや高帯域幅メモリー(HBM)のアーキテクチャにおいて中核となる材料だ。主に、先進半導体内部で異なるトランジスタ層を接続するナノスケールのビア(電子回路)の充填に使用されており、とりわけ7ナノメートル(nm)以下の微細化製造プロセスにおいては不可欠な存在だ。
注目すべきは、SKハイニックスが現在もNAND製品にタングステン材料を使用している一方で、次世代の375層NANDフラッシュメモリの開発においては、代替素材としてモリブデン(Molybdenum)の採用を計画している点だ。また、サムスンも既にSSD向けのNAND製品においてモリブデン材料を導入している。
WF6の供給が回復しなければ、サプライチェーンにさらなる圧力
半導体材料の不足状況がさらに悪化すれば、各種半導体製品の価格が大幅に高騰する恐れがある。現在、DRAMおよびNANDの需要は継続的に拡大しているが、WF6の供給が回復しなければサプライチェーンへの圧力は一段と強まり、関連製品の価格がより急激に上昇する可能性が高いと同報道は警告している。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編集:平松靖史 (関連記事: 【張瀞文コラム】ファーウェイが半導体の新法則発表、ムーアの法則から脱却へ TSMC元幹部の予想が現実に | 関連記事をもっと読む )













































