トランプ氏、半導体に最大200%関税示唆 TSMCは対象外か、発言の真意を台湾学者が分析

フランスで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席し、関税問題について取材に応じるトランプ米大統領。(資料写真/AP通信)
フランスで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席し、関税問題について取材に応じるトランプ米大統領。(資料写真/AP通信)

「米国の半導体産業を奪った」と台湾をたびたび非難してきたトランプ米大統領は16日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の開催地、仏東部エビアンで取材に応じた際、海外の半導体メーカーを攻撃的な姿勢を示し、生産拠点を米国に移管しない場合、将来的に最大200%の関税を課す可能性があると警告した。これに対し、マクロ経済学者の呉嘉隆氏は18日朝、自身のフェイスブック(Facebook)で、台湾積体電路製造(TSMC)がすでに米国に工場を建設していることは周知の事実であり、トランプ氏のこの発言は「台湾以外に向けた牽制」との見方を示した。

トランプ氏、バイデン前政権の半導体政策を再批判

金融情報サイト『TradingView』などの海外メディアによると、トランプ氏はG7サミットの会場周辺で取材に応じた際、バイデン米前大統領が推進した「CHIPSおよび科学法(CHIPS and Science Act、チップス法)を「大惨事」だと痛烈に批判。自身はバイデン前政権とは全く異なる戦略をとっており、巨額の補助金による企業投資の誘致はもはや行わないと明言した。さらに同氏は、自身の任期が終了する2029年までに、米国が世界の半導体生産能力の約50%を奪還すると強調した。

2025年1月15日、バイデン前大統領はホワイトハウスの大統領執務室で退任演説を行った。(AP通信)
トランプ氏はバイデン前大統領(写真)が成立を推進した半導体法を再三にわたり批判している。(写真/AP通信提供

注目すべきは、トランプ氏が直接台湾を名指しすることはなかったものの、対話の中で「米国はかつて半導体の王者だった」と述べ、現在ではその主導権を失い、「産業が他地域に奪われた」と主張した点だ。同氏は過去にたびたび「台湾が米国の半導体ビジネスを奪った」と非難してきた経緯から、メディアや専門家らの間では、今回の発言も台湾およびアジアの半導体サプライチェーンを標的にしたものだと広く受け止められている。

TSMCはすでに米国進出・巨額投資を決定済み

実際のところ、トランプ氏は政権に復帰して以降、輸入半導体に対して高額な関税を課す意向を再三にわたり示してきた。一方、TSMCは現在、アリゾナ州に総額1650億米ドル(約26兆5000億円)の投資を計画しており、これは米国史上最大規模の海外直接投資(FDI)の一つとなっている。これについて呉氏は、「米国に工場を建設しない場合、半導体産業に200%の関税を課すという主張は全く意味をなさない。TSMCが米国への進出を決定し、すでに工場を建設していることは誰の目にも明らかであり、進出の有無が議論の対象となることはなく、当然ながら関税問題も発生しない。トランプ氏にしては珍しく無意味な発言だ」と分析している。

学者が指摘する関税発言の「真の狙い」

トランプ氏の意図は、「台湾はすでに工場を建設しているため200%の関税対象にはならない」と他国にメッセージを送り、台湾に倣って米国への投資と工場建設を促すことにあるとみられる。政治的な観点から見れば、トランプ氏は「台湾に対して一定の厳しい姿勢を保っており、決して特別扱いしているわけではない」とアピールしているに等しい。

さらに呉氏は、実際にはトランプ氏が歴代で最も多く台湾に武器売却を行った米大統領だと指摘している。また、習近平・中国国家主席との米中首脳会談において、中国側が「台湾問題」を再三持ち出したのに対し、トランプ氏が帰路の米大統領専用機(エアフォース・ワン)内で初めて関連する質問に応じたことにも触れた。呉氏は、トランプ氏が表向きは台湾に対する配慮を否定し、意図的に厳しい態度を装っているものの、実際には台湾を保護し配慮していると分析しており、「仮に本当に台湾に対して強硬な措置を取るのであれば、このような手法は用いないはずだ」と結んだ。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp

編集:平松靖史

最新ニュース
G7サミット首脳声明、台湾海峡の現状変更に反対を再確認 頼清徳総統が謝意
【北京観察】台湾国安局が「中国向け連絡窓口」開設 国台弁は強く反発、米軍情報要員の駐在報道には沈黙
台湾とフィリピンの防衛支援一体化へ、米議会が防衛線の再構築計画 台湾に「戦時備蓄物資」事前配備も
中国軍の批判受けた俳優が両岸交流の顔に、中国政府の対台湾工作に見えるソフト路線化
外務省の中村亮審議官がFPCJで会見 グローバルガバナンスの危機と日本の多国間外交について見解を示す
エジプト外相が日本外国特派員協会で会見、戦略的バランス外交と中東和平における日本の役割を強調
【SixTONES】体験型展示「SixTONES STock」Ginza Sony Parkで開幕 歴代アーカイブをたどる「倉庫見学会」
天安門事件から37年、元学生リーダーのウーアルカイシ氏がFCCJで会見 日本にアジア最大の民主主義国家としての役割を喚起
日本で「台湾海峡の平和と安定考える会」発足、超党派の国会議員が参加 政府に政策提言へ
ホルムズ海峡不安定化なら日本にも打撃 UAE専門家、エネルギー供給リスクに警鐘
エアコンをつけて寝る夏、課題は「冷えすぎ」と「蒸れ」 夜間熱中症対策で夏用寝具需要が拡大
暑い日にさらっと食べたい「夏メシ」 AKOMEYA TOKYOが出汁茶漬けレシピを提案
TSMCがパテント・トロールの標的に、アイルランド企業が特許侵害を主張 無効審判請求で対抗
六本木・麻布台・虎ノ門ヒルズに限定バーガー集結 過去最多37店舗が競うグルメバーガーGP開幕
山梨県、若者流出に危機感 東京との年収差35万円、最低賃金引き上げで人材定着へ
大谷翔平、世界限定1個の直筆サイン入り記念アイテム発売 ドジャース初安打バットは600万円
苺、白桃、抹茶で味わう夏限定かき氷 AKOMEYA食堂 神楽坂に「米飴白氷」登場
ソーシャルホテル「lyf」日本上陸5周年 宿泊20%オフ、夏祭り体験イベントも
【新新聞】TSMC増産で電力需要が急増 台湾の長期需給報告、新規電源は追いつくのか
大分・ハーモニーランド、滞在型リゾート化へ 約30ヘクタールの土地取得、キティキャッスル刷新も
高輪ゲートウェイが街ごとフェス会場に 音楽・アート・AIが融合する「NU Festival 2026」初開催
【北京観察】アリババ、百度も米軍事関連企業リスト入り 軍民融合めぐり米中対立が常態化
【舞台裏】頼清徳総統の宜蘭奪還戦略に誤算 日本とフィリピンEEZ交渉で東部漁民に不満広がる
【寄稿】原油高インフレに利上げは効くのか FRBが直面する供給ショックのジレンマ
創味食品、5問で分かる「ズボラタイプ診断」公開 性格に合うパスタレシピを提案
朝ドラ「ばけばけ」の舞台・松江へ 雨を楽しむ「縁雫」観光と小泉八雲月間が開幕
「ちいかわ」「たまごっち」「モンチッチ」が主要賞に 日本キャラクター大賞2026、グランプリは17日発表
台中に台湾最大級ドーム計画 4.5万人収容、2031年開業へ 日本ハムグループも参画
台湾産アップルマンゴー、欧州市場に初参入 パリ高級スーパーで1個約6000円に
台湾大手通信会社、医療のコアプロセスにAI導入、カルテ作成時間を60%短縮
サンボマスター、バンド史上最大規模のKアリーナ横浜公演をU-NEXT独占ライブ配信
中台政治交渉に台湾世論の7割が賛成 最も信頼される交渉役は蔡英文氏
三浦知良も沸かせた17年ぶりJリーグオールスター Topps初出展、着用ユニフォーム展示や限定カード企画も
日本初の「Bentley Home」ショールームが渋谷に誕生 高級車ブランドの美意識を家具に
ニューヨーク・ニックス、53年ぶりNBA王者に 優勝記念グッズが日本公式ストアに登場
清塚信也、47都道府県ツアー大千穐楽をU-NEXT独占生配信 サントリーホール公演を7月12日に
ロイホ伝統の「パンケーキ」が初の冷凍食品に オンライン限定で6月17日発売
東京23区の大規模オフィス空室率が2.3%に低下 出社回帰で需要堅調、森ビル調査
在留外国人向けに生活・就労情報を発信 入管庁、20言語対応ガイドや相談窓口を紹介
【北京観察】中国、フィリピン現職国防相に異例の制裁 南シナ海対立は新たな常態へ
【台湾海峡の深層】中国海警局が台湾を周回、東部海域も常態化か 北京が進める「不統而統(統一なき統一)」とは
大阪・上本町に天王寺区最高層の免震タワー「ザ・パークハウス 大阪上本町タワー」誕生へ モデルルームを6月13日公開
「XR・メタバース総合展 夏」で特別企画「∞ mugen」初開催 HTC、XREAL、PICOなど8社が出展
夜の国立競技場を走る「TOKYOナイトリレーフェス2026」開催へ 東京レガシーハーフ前々日に実施
トーベ・スロッテ最後のムーミンマグデザインに 限定コレクション「ムーミンズデイ 2026」発売
MLBシカゴ・ホワイトソックスの日本人コンビ、村上宗隆と西田陸浮を描いた限定イラストTシャツ登場
【独占】ビットコインは「戦時の準備資産」になり得るか 米国防総省出身の専門家が語る台湾有事と資産防衛