【新新聞】TSMC増産で電力需要が急増 台湾の長期需給報告、新規電源は追いつくのか

2026-06-17 14:51
AI需要の急拡大に対応するため、台湾積体電路製造(TSMC)は工場拡張のペースを加速させており、台湾の電力供給に大きな課題を突きつけている。(写真/柯承惠撮影)
AI需要の急拡大に対応するため、台湾積体電路製造(TSMC)は工場拡張のペースを加速させており、台湾の電力供給に大きな課題を突きつけている。(写真/柯承惠撮影)

台湾経済部は今週、今年版の「全国電力資源需給報告」を公表する見通しだ。昨年の報告では、AI(人工知能)の普及が産業界に大きな影響を与え、電力需要の伸びが従来の想定を上回ったことが示された。

そのため、今年の報告では、これまで生じてきた供給ギャップを埋められるのか、新たな電源をどこまで積み増せるのかが最大の焦点となっている。

経済部が最近発表した複数の統計によると、台湾の産業界では受注の二極化が進んでいる。AI関連の電子産業や半導体産業は好調を維持し、新たな工場用地を探して積極的に拡張を進めている。さらに、米半導体大手エヌビディアが台北市の北投士林テクノロジーパーク(北士科)に新たな台湾本社を設ける計画もあり、台湾におけるAI産業の勢いを示している。

AI需要が電力需給を圧迫 従来型産業とは対照的な構図に

​一方、従来型産業では異なる動きが見られる。昨年は、電力消費の伸びと経済成長率が初めて連動しない状況となった。

経済部は当時、台湾の産業構造が転換期にあり、成長のけん引役が移りつつあるため、電力消費の増加ペースと経済成長が一致しなかったと説明していた。

昨年の報告で経済部は、AI技術の発展、半導体産業の工場拡張、米国の対等関税、省エネ施策の強化などを考慮し、今後の電力需要の年平均成長率を約1.7%と予測した。その上で、再生可能エネルギーやガス火力発電の整備を進め、供給の安定を確保する方針を示していた。

経済部によれば、AIや新興技術の需要は引き続き強いものの、一部産業では米国の対等関税の影響で生産活動が鈍化した。こうした増減が相殺された結果、上半期(1〜6月)の経済成長率は6.75%のプラスとなった一方、電力消費量は前年同期比で1.1%減少したという。

経済部は将来の電力需要を見積もる際、半導体産業の工場拡張スケジュールの調整や、AI関連の大型投資などを織り込んでいる。さらに、深度省エネの推進による節電効果も反映した結果、2025年から2034年までの電力需要の年平均成長率は約1.7%になると試算している。これは、日本や韓国など産業面で競合する国々の電力消費トレンドと同程度だという。

新規電源の整備に遅れ 拡大する供給ギャップ

​懸念されるのは、台湾国内の電力需要が今後も増え続けることだ。とりわけ半導体産業の電力需要は極めて強い。多くの工場は24時間体制で稼働しており、電力消費は高水準で推移している。

そのため、今後の需要増に対応するには、これまで以上に余裕を持った供給能力の確保が必要となる。

しかし、台湾国内の新規電源整備は遅れが目立つ。計画が目標に届かなかったり、想定を下回ったりするケースも出ている。 (関連記事: 【新新聞】台湾・J&Vエナジーテクノロジー、AIデータセンターとステーブルコインに布石 再エネ企業の多角化戦略 関連記事をもっと読む

20240226-台電大林發電廠。(顏麟宇攝)
台湾・経済部は、台湾電力の大林発電所などで進むガス火力新設計画の進捗を現実的に評価している。(写真/顔麟宇撮影)

昨年の報告で経済部は、台湾電力(台電)の台中、通霄、大林などの発電所で進むガス火力新設計画の進捗を現実的に評価したとしている。加えて、国光電力や麦寮汽電など民間のガス火力発電計画も組み込み、2025年から2034年にかけて、ガス火力の設備容量は純増で12.2GW増えると見込んだ。これにより、長期的な電力需要の増加に対応しつつ、夜間の安定供給を維持できるとしていた。

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