米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の最高経営責任者(CEO)・黄仁勲(ジェンスン・フアン)氏は1日、「GTC Taiwan」で基調講演を行い、世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)である台湾積体電路製造(TSMC)が同社のAIおよびGPU加速コンピューティング技術を全面導入していると発表した。
半導体の設計から製造までのライフサイクル全体にAIを組み込むことで、処理サイクル時間、エネルギー効率、歩留まり、および最先端ファブ(半導体工場)の生産性向上を図る狙いだ。
米IT系メディア『Wccftech』は、半導体の微細化が進む中、設計から量産に至るプロセスが現在世界で最も複雑な演算課題の一つになっていると報じた。計算機リソグラフィ(Computational Lithography)、トランジスタシミュレーション、プロセス制御、ウェーハ検査など、いずれの工程においても、大規模なシミュレーションやリアルタイムの最適化、さらには物理モデルや画像分析を支援するAIシステムが不可欠となっている。
NVIDIAとTSMC、30年に及ぶ提携 ファブへのAI導入を推進
フアン氏は、NVIDIAとTSMCが約30年にわたり提携を続け、演算技術の限界を共に突破してきたと述べた。TSMCは現在、NVIDIAのAIおよびGPU加速コンピューティング技術をファブに直接導入しており、シミュレーション、最適化、AIを活用して世界最難関の設計・製造課題を解決し、次世代半導体の処理速度、効率、歩留まりを一段と引き上げようとしている。
一方、TSMCの董事長・魏哲家(C.C.ウェイ)氏は、両社が長期的なパートナーシップを築き、次世代コンピューティング技術の発展を共通の目標としていると述べた。ファブ運営の最適化、露光、プロセス制御、欠陥検査などの分野でNVIDIAのGPU加速コンピューティングとAIを導入することで、TSMCは技術的優位性と卓越した製造能力をさらに強固なものとし、顧客の将来の製品成功を支援していく構えだ。
TSMCはどのようなAI技術でプロセスを加速させているのか
最先端の半導体設計・製造には膨大な演算処理と高度に連携したファブ運営が求められ、その範囲はチップ設計の移行、トランジスタのモデリング、プロセス制御、工場の生産効率にまで及ぶ。TSMCは現在、NVIDIAの「CUDA-X」ライブラリとAIモデルを活用し、NVIDIA製GPU上で以下のプロセスを加速させている。 (関連記事: 【グローバル人材獲得戦3】TSMC熊本が変えた半導体人材争奪戦 初任給29万円で高専改革にも波及 | 関連記事をもっと読む )
計算機リソグラフィ
TSMCは、NVIDIAの「cuLitho」を採用している。GPUで高速化された計算機リソグラフィライブラリであり、フォトマスク設計における露光やパターン変換プロセスに用いられる。従来のCPUベースの計算機リソグラフィと比較して、総所有コスト(TCO)を維持したまま、費用対効果または処理サイクル時間を20〜50%向上させることが可能だ。


















































