トランプ米大統領が5月中旬に北京を訪問し、習近平・中国国家主席と首脳会談を行って以降、米中台の三角関係に大きな変化が生じている。先週、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、ヘグセス米国防長官が演説で台湾に言及しなかったことは異例だとして各界の注目を集めている。
ヘグセス氏は5月30日のシャングリラ会合で、米国の対台湾武器売却問題への言及を避け、「トランプ大統領が決定する」と述べるにとどめた。一方で、トランプ政権下において米中関係は長年の中で最も良い状態にあると強調した。その後、ルビオ米国務長官も米上院外交委員会の公聴会に出席した際、米国の対台湾政策に変更はないと改めて表明しつつ、140億ドル規模の対台湾武器売却案については依然「検討中」と語った。
ハワイ米中協議が姿勢変化の背景に
こうした動向を巡り、台湾の政治・軍事戦略の専門家は、ヘグセス氏やルビオ氏らの一連の「姿勢表明」を、中国側がこれに先立って発表した情報と結びつけて分析している。すなわち、米中の軍当局が先日、ハワイで開催した両国間の軍事海洋協議協定(MMCA)に基づく2026年度の作業部会に関する情報だ。
中国の国営通信社、新華通信社(新華社)が6月1日に報じたところによると、米中両軍は5月28日から29日にかけて、ハワイで2026年度のMMCA作業部会を開催した。双方は「米中の建設的かつ戦略的に安定した関係」を構築するとの重要な共通認識を指針とし、平等と尊重の原則に基づき、現在の米中における海空の安全保障情勢について率直かつ建設的な意見交換を行ったという。
同会議において米中双方は、前年度会議以降の『米中の海空遭遇時における安全のための行動規則』の履行状況を評価し、米中の海上軍事安全問題を改善するための措置について協議した。さらに、両軍が効果的な意思疎通を図ることが、前線部隊のより専門的な任務遂行に寄与し、相互理解の増進や誤解・誤算の回避につながるとの認識で一致した。
同時に中国側は、「航行の自由」や「上空飛行の自由」を名目として中国の主権および安全を脅かすいかなる行為にも断固として反対すると表明。中国に対する権利侵害や挑発、接近偵察による妨害行為に反発し、引き続き法律と規則に従って自国の領土主権と海洋権益を断固として守り抜き、地域の平和と繁栄を維持する姿勢を強調した。

中国がいち早くリリースを発出
中国側の発表に対し、米インド太平洋軍はこれより早い5月29日の時点でプレスリリースを発表し、「2026年5月28日から29日にかけ、米インド太平洋軍、米太平洋艦隊、米太平洋空軍、米沿岸警備隊の軍関係者がホノルルにおいて、中国人民解放軍の代表者と軍事海上協議メカニズム作業部会を開催した」と協議開催の事実を認めた。ただ米側は、同フォーラムの目的が関係者間の議論を促進することにあり、危険かつ非専門的な行為によるリスクを引き下げることに重点が置かれたと強調。その他の詳細については言及を避けた。
専門家「米中は過去の交流レベルに戻っただけ」
この件について台湾・淡江大学戦略研究所の副教授で、中華戦略・兵棋協会理事長の黄介正氏は風傳媒の取材に応じ、ヘグセス氏はシンガポールでシャングリラ会合に出席する前に、ハワイでの米中協議開催を把握していたことは明らかとの見解を示し、シャングリラ会合における中国に対する同氏の姿勢が昨年と異なっていた背景には、この事実が影響している可能性が高いと指摘した。
一方で黄氏は、米中両軍が接触を再開したとはいえ、今回のハワイでの協議は過去の軍事交流水準に戻ったに過ぎず、特段大きな突破口とは言えないと分析。しかし同時に、「中国側が自らプレスリリースを発出した点は、極めて異例だ」と強調した。
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編集:平松靖史 (関連記事: 米国防長官、対台武器売却は「トランプ氏が判断」 台湾言及避け、対中安定関係を強調 | 関連記事をもっと読む )















































