台湾・頼総統が進める社会全体の防衛レジリエンス向上、元国安会秘書長がその背景を語る

2026-06-02 16:50
元国家安全会議秘書長の邱義仁氏(写真)は、頼清徳総統の中台政策は蔡英文前総統の路線を踏襲し、現状維持を目指すものだと指摘した。(資料写真/柯承恵撮影)
元国家安全会議秘書長の邱義仁氏(写真)は、頼清徳総統の中台政策は蔡英文前総統の路線を踏襲し、現状維持を目指すものだと指摘した。(資料写真/柯承恵撮影)

台湾の国家安全会議(国安会)元秘書長、邱義仁氏は、頼清徳・台湾総統の両岸(中台)政策が蔡英文・前総統の路線を継承するものだと述べ、「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」との立場の下、両岸の現状維持を図る構えだと指摘する。中国が台湾への浸透工作を拡大し、さらには台湾内に武装勢力を構築しようとする動きまで見せる中、全国民が安心して暮らせる社会を実現するため、頼総統は軍民が一体となって国家と社会のレジリエンス(強靭性)を高めることを目指しているとの見方だ。

トランプ米大統領が訪中日程を終えた後、「台湾独立」問題が再び国際社会の注目の的となっている。現在、与党・民進党のシンクタンク「新境界文教基金会」の副董事長を務める邱氏は、台湾の通信社、中央社とのインタビューに応じ、前述の見解を示すとともに、一部で囁かれる「韌性台独(レジリエンス高めることで実質上の独立を図るとの見方)」との言説を否定した。

邱氏によると、頼氏の両岸政策の核心的立場は一貫して「中華民国台湾は主権独立国家である」「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」というものであり、これまで何度も「現状維持」を再三強調してきた。就任後は、中国による対台湾浸透工作に対処するため、台湾における全社会防衛レジリエンスの強化に尽力しているという。

邱氏は、シンクタンクで海外からやってくる多くのゲストと接する際、最も頻繁に尋ねられる質問が2つあると語る。1つ目は「頼総統は台湾独立を推し進めるのか」、2つ目は「頼政権が注力する『レジリエンス』とは一体何なのか」というものだ。同氏の見解によれば、これら2つの議題はしばしば意図的に混同され、さらには「韌性台独」という不当なレッテルを貼られており、それが多くの批判を招く原因となっているという。

邱氏は、頼氏が当選から就任、そして執政2周年に至るまで、蔡前総統の路線を継承する旨を繰り返し表明してきたと指摘する。いわゆる「蔡英文路線」とは、「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」とし、台湾の未来は2300万の台湾人民が共同で決定するというものだ。

防衛レジリエンス向上の推進は中国の浸透工作拡大が原因

頼政権が社会全体の防衛レジリエンス向上を積極推進している点について、邱氏は、近年の中国による対台湾への浸透工作の継続的拡大に関係があると分析している。

同氏によれば、馬英九政権(国民党)期以降、中国の台湾に対する浸透や影響力は日増しに深まっており、経済的結びつきや人的交流、宗教活動、あるいはメディアへの協力など、あらゆる分野でその影響が散見されるという。 (関連記事: 調查》台湾の医療に潜む「戦時の弱点」 医薬品の6割が中国依存、レジリエンス体制に懸念 関連記事をもっと読む

邱氏は台湾の国家安全当局の統計を引用し、中国のために台湾でスパイ活動を行ったとして2024年に起訴された人数は64人に上り、2021年の3倍以上に増加したと指摘。そのうち、「中華統一促進党(統促党)」や「復康連盟党」、「中華民国台湾軍政府」といった団体が関与した事案では、中国の意向を基に組織を拡大し、武装勢力を構築しようとする動きまで見られたという。「自由と民主主義を重んじる社会において到底考えられないことだが、これは現在の台湾社会に紛れもなく実在する脅威だ」と警鐘を鳴らした。

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