【新新聞】台湾北部の電力不足が深刻化 脱原発で常態化する「南電北送」の限界

2026-05-31 16:27
第二原発の停止により、台湾北部の電力供給逼迫は一段と深刻化している。(資料写真、Ellery@Wikipedia/CC BY-SA 3.0より)
第二原発の停止により、台湾北部の電力供給逼迫は一段と深刻化している。(資料写真、Ellery@Wikipedia/CC BY-SA 3.0より)

台湾第2原子力発電所2号機が2023年3月に運転免許の期限を迎えて以降、北部にある2基の原発は廃炉プロセスに入った。現時点で再稼働の計画はなく、北部の電力供給不足は拡大の一途をたどっている。代替となる協和火力発電所の完成時期もめどが立っておらず、北部の電力不足問題はさらに深刻化している。

台湾におけるエネルギー転換が近年加速し、再生可能エネルギーの比率が高まり続けている。しかし、それに伴って生じているのは、太陽光や風力発電の設備容量の増加だけでなく、電力システム全体に対する構造的なストレステストだ。北部の長期的な電力不足、深刻化する「南電北送(南部で発電した電力の北部への送電)」、蓄電設備整備の遅れ、送電網の強靱化プロジェクトの難航など、台湾の電力システムは「電力が足りるかどうか」という次元を超えた深刻な課題に直面している。高比率の再生可能エネルギー時代に突入する中、台湾の送配電網はこの変化に対応できるのかという懸念が高まっている。

「脱原発政策」がもたらす広範な影響

​台湾の経済発展の歴史において、過去の政府は「十大建設」の一環として2基の原子力発電所を建設し、急速に進む北部の都市化と成長に対応してきた。第1原発は64万キロワット(kW)の原子炉2基、第2原発は98万kWの原子炉2基を備え、総出力は324万kWに達する。これらは長らく北部の電力供給を支える重要な基盤であり、両原発とも台北の東側に位置することから、宜蘭や基隆の一部にも電力を供給してきた。

しかし脱原発政策(非核家園)によりこれら4基の運転延長が行われず、生じた電力の不足分は新たな発電設備で補う必要が生じた。2018年の時点で深澳火力発電所の更新計画が浮上し、新たな石炭火力発電設備による電力補填が期待されたが、当時の行政院長(首相)であった頼清徳氏の指示により同計画は白紙撤回された。その後、台湾電力(台電)は協和火力発電所の更新計画に舵を切ったものの、環境影響評価(環境アセスメント)を巡り計画が7年以上にわたって停滞。当初は2027年の稼働開始を予定していたが、現時点では土壌汚染対策と設備入札が完了した段階にとどまり、稼働は早くとも2033年以降にずれ込む見通しだ。北部の電力需要増加には到底追いつかない状況である。

20180124-行政院長賴清德24日出席「台灣企業家圓桌會議」。(顏麟宇攝)
2018年、当時行政院長だった頼清徳氏は選挙情勢を受け、深澳発電所での石炭火力発電設備増設計画の中止を発表した。(写真/顔麟宇撮影)

注目すべきは、最近になって台電が第3原発の再稼働計画を提出し、原子力安全委員会(核安会)による審査と関連する点検手続きが進行中であるにもかかわらず、第2原発については計画が提出されていない点だ。第2原発も同時に申請しない理由について、外部からは疑問の声が上がっている。 (関連記事: 【新新聞】台湾株に熱狂、売買代金1.7兆元超 バフェット指標は「危険水域」 関連記事をもっと読む

台電の幹部によれば、両原発は原子炉の型式や設計が大きく異なる上、第2原発には使用済み核燃料棒が原子炉内に保管されているという未解決の課題がある。乾式貯蔵施設が完成するまで具体的な計画を策定できず、原子炉格納容器内の自主的な安全点検を進めることもできないため、システムの安全性が完全に確認されてから関連する申請を行う方針だとしている。

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