【単独取材】ニュートリノに質量、定説覆した師弟2代ノーベル賞の軌跡

2026-05-27 14:20
ノーベル物理学賞受賞者・梶田隆章氏が『風傳媒』の単独取材に応じた。(写真/蔡親傑提供)
ノーベル物理学賞受賞者・梶田隆章氏が『風傳媒』の単独取材に応じた。(写真/蔡親傑提供)

台湾がAI開発に注力し、「AI新十大建設」を推進して関連人材の育成を強化する中、長期的な投資が必要で即効性が見込めない「基礎科学」には誰が目を向けるべきか。ノーベル物理学賞受賞者で東京大学宇宙線研究所卓越教授の梶田隆章氏は、『風傳媒』の独占インタビューに応じ、「基礎科学は人類の知の地平を広げるものだ。当面は直接的な応用がなくても、その重要性を広く理解してほしい」と語った。

梶田氏は日本の埼玉県にある農家に生まれ、地元の高校と大学を卒業した。農家育ちの同氏は、楽観的かつ聡明で、勤勉さと高い集中力、そして慎重さを併せ持ち、56歳でノーベル物理学賞を受賞するという伝説を打ち立てた。

ニュートリノの質量を証明、素粒子物理学の標準模型を覆す

梶田氏は「台湾ブリッジ・プロジェクト(Taiwan Bridges Project)」の招きで訪台し、4月23日に中央研究院(中研院)で「基礎科学における国際協力:実務経験の共有」と題する講演を行った。同プロジェクトは、中研院や台湾大学などの複数の学術研究機関と国際平和財団(International Peace Foundation)が共同で推進するもので、台湾と世界のトップレベルの学者との深い交流を促進することを目的としている。

宇宙で2番目に多く存在する素粒子であるニュートリノ(neutrino)は、最も捉えどころがなく、素粒子物理学の標準模型では質量を持たないと仮定されていた。しかし、梶田氏の研究チームは「ニュートリノ振動(neutrino oscillations)」という現象を初めて実証し、ニュートリノに質量があることを証明した。この発見は標準模型の仮定を覆すものであり、同氏は2015年にアーサー・マクドナルド(Arthur McDonald)氏とともにノーベル物理学賞を受賞した。

20260423-ノーベル物理学賞受賞者・梶田隆章氏専訪。(蔡親傑撮影)
ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章氏が『風傳媒』の独占インタビューに応じた。(写真/蔡親傑撮影)

2人のノーベル賞受賞者を輩出した「カミオカンデ」

岐阜県飛騨市にある神岡鉱山の跡地、地下1000メートルに位置する施設は、日本の「カミオカンデ(Kamiokande)」および「スーパーカミオカンデ(Super-Kamiokande)」の所在地である。ここで収集されたニュートリノのデータは、2002年に小柴昌俊(こしば まさとし)氏、2015年に梶田氏という、2人のノーベル物理学賞受賞者を生み出した。

カミオカンデ実験は日本の基礎科学における旗艦プロジェクトである。初代カミオカンデが成功の礎を築いたことから、日本政府は約1億ドルを投じてスーパーカミオカンデを建設し、1996年に稼働を開始した。この超高感度な検出器は、外部からのノイズを避けるため地下1000メートルの岩盤内に設置されており、宇宙の素粒子を探求する強力な装置となっている。 (関連記事: 【単独インタビュー】パン店の息子からノーベル賞へ コビルカ氏が語る「父の哲学」と新薬開発の原点 関連記事をもっと読む

さらに、ニュートリノと宇宙の物質の起源との関係を深く探求するため、より大規模で精密な検出器が求められている。現在、日本政府は次世代の「ハイパーカミオカンデ(Hyper-Kamiokande)」の建設を進めており、推定建設費は650億円以上、2028年の稼働を予定している。完成すれば、世界最大のニュートリノ検出器となる。

最新ニュース
アークヒルズで「トウモロコシ&枝豆フェス」開催 朝採れ夏野菜や限定スイーツが登場
「DSEI Japan 2027」に向け東京で大使館ブリーフィング 46カ国が参加、防衛協力を議論
台風6号発生、琉球付近で大きく進路転向へ 台湾全土で気温低下と大雨の予測
露大統領、核並み威力の「オレシュニク」でキーウ攻撃 防空網枯渇への懸念
NASA、月面拠点整備へ組織再編 有人宇宙飛行と原子力技術を重点化
国民党・鄭麗文氏の訪米に暗雲、親韓派華僑の反発招く波乱の様相
COMPUTEX 2026、エヌビディアのジェンスン・フアン氏とマーベルCEOが同壇 次世代AIインフラを議論へ
アジア最大級の国際短編映画祭「SSFF & ASIA 2026」が開幕 是枝裕和監督や令和ロマン・高比良くるま氏ら豪華顔ぶれが登壇
【論評】アップル巨額罰金リスクが映すインドの政策リスク 外資を遠ざける「突然のルール変更」
初開催「前橋国際芸術祭2026」全容発表 マルタン・マルジェラ、蜷川実花ら70組が参加
台湾高鉄、信号トラブルから通常運行再開 「近年最も深刻な遅延」原因究明へ
PUNPEE、Watsonら出演決定 MAJヒップホップ企画「THE SUCCESSOR」にレジェンド集結
米中は「対等なパートナー」か 新冷戦から「冷たい平和」へ、台湾問題が焦点に
台湾富豪トップ交代 ヤゲオ陳泰銘氏が郭台銘氏を抜く、AI需要で資産急増
【独占】台湾出身の遠藤玲奈氏が蜂蜜ブランド「蜂盛貴」設立 台湾産天然蜂蜜で日本市場へ
『おそ松さん』6つ子カラーの冷やし中華登場 じげもんちゃんぽんが映画公開記念で限定販売
「マーケティング Week 夏」6月24日開幕 約310社が出展、生成AI時代の実務課題に対応
ポケモンGO、東京で過去最大規模イベント開催へ 10周年記念で都内全域にプレイエリア拡大
森ビル、社長に向後康弘氏 辻慎吾氏は取締役会長に、海外新規事業を担当
浅草エキミセ屋上に「お祭りBBQビアガーデン」オープン スカイツリー望む全天候型スポット
ワークライフバランス浸透も「自由時間が増えた」は2割 doda調査で見えた理想と現実
ときわ亭、夏限定「冷麺フェス」開催 唐辛子・ビビン・麻辣の辛旨冷麺3種が登場
FRUITS ZIPPER限定バッテリー、全国のCHARGESPOTに登場 ファン応援で3000チア達成
寿司ロボットの鈴茂器工、FOOMA JAPAN 2026に出展 人手不足に応える「食の自動化」提案
侍ジャパン女子、台湾開催W杯へ強化合宿メンバー発表 代表選考が本格化
『台湾漫遊鉄道のふたり』はなぜ世界で評価されたのか 食と恋愛に込めた台湾の植民地記憶
楊双子氏「ドラゴンボールが読書の原点」 『台湾漫遊鉄道のふたり』創作秘話を語る
マイクロン、DDR4生産能力を4倍へ メモリ価格高騰に変化の兆し
ホルムズ海峡再開に期待 米イラン協議「大筋合意」か、原油・海運に影響
馬英九元台湾総統、認知症疑惑を否定 精神科医が動画で指摘した「複数の違和感」
腎臓移植交換制度を築いたノーベル経済学賞受賞者が指摘 「透析大国」台湾の課題とは
銀座・GINZA SIX周辺で異臭騒ぎ 25人が体調不良、14人搬送 スプレー噴射か
『台湾漫遊鉄道のふたり』がブッカー国際賞受賞 台湾文学初、中国語作品でも初
2026年世界幸福都市ランキング、東京がアジア首位 台湾の新北・台北もトップ50入り
台湾発ネイルブランド「小小PETIT」、誠品生活日本橋で水性ネイルを展開 除光液不要で親子にも人気
韓国スタバ「タンク・デー」炎上 光州事件想起させる販促で不買運動拡大
両国駅徒歩1分にシェアオフィス「MID POINT両国」開業へ 1人利用にも対応、個室51室を用意
グテーレス国連事務総長、任期満了前に来日会見 日本の貢献に謝意、安保理改革を訴え
六本木ヒルズ屋上庭園で恒例の田植え 愛媛ブランド米「ひめの凜」を手植え
NPT再検討会議が閉幕 最終文書採択できず、日本は核軍縮外交を継続へ
西武鉄道、過去最大462億円を設備投資 ホームドア整備や新型特急「トキイロ」導入へ
Lienelツアーファイナル横浜公演、U-NEXTで独占ライブ配信へ 全公演完売の東名阪ツアー
陸自、米豪軍と豪州で共同訓練へ 「サザン・ジャッカルー26」に第7普通科連隊など参加
SIRUPホールツアー東京公演、U-NEXTで7月独占ライブ配信へ Ayumu Imazuもゲスト出演
岡慎之助選手「限界に挑戦するのが楽しい」 NORQAIN新作発表会で上田瑠偉選手と対談
シズラー、九州の厳選素材を味わえる期間限定フェアを5月27日より全12店舗で開催 佐賀牛やはかた地どりを堪能
佐賀県、唐津・波戸岬に海洋プラ対策拠点「PLA PLA」開業へ 回収から再生まで体験
宝塚トップ男役OGが日本武道館に集結 昭和名曲100曲をU-NEXTで独占ライブ配信