【単独取材】五輪の夢からノーベル賞へ、世界的権威が語る逆境を乗り越える2つの秘訣

2026-05-06 14:30
ノーベル化学賞受賞者のクルト・ヴュートリッヒ氏が『風傳媒』の単独取材に応じた。(写真/蔡親傑撮影)
ノーベル化学賞受賞者のクルト・ヴュートリッヒ氏が『風傳媒』の単独取材に応じた。(写真/蔡親傑撮影)

人生は無限の可能性に満ちている。競技スポーツをこよなく愛するスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)教授のクルト・ヴュートリヒ氏は、オリンピックの金メダルこそ逃したものの、後にノーベル賞の栄誉に輝いた。同氏は、溶液中における生体高分子の三次元構造を核磁気共鳴(NMR)を用いて解析する世界初の技術を開発し、2002年にノーベル化学賞を受賞している。

ノーベル化学賞受賞者であるヴュートリヒ氏は、「台湾橋梁計画」の招きで台湾を訪問し、4月7日に中央研究院で「生命分子、人工知能(AI)と人類の健康」と題する講演を行った。同計画は、台湾の最高学術研究機関である中央研究院が台湾大学などの複数の学術研究機関と連携し、国際平和財団(International Peace Foundation)と共同で推進しているプロジェクトである。

若き日は競技スポーツに熱中、77歳でサッカーのエキシビションマッチに出場

屈強な体格で活力にあふれるヴュートリヒ氏は、現在ETH教授、米スクリップス研究所(Scripps Research)教授、上海科技大学特任教授を兼任しており、世界各国から頻繁に講演に招かれている。講演では、77歳の時に国際サッカー連盟(FIFA)のエキシビションマッチに出場し、ピッチでプレーする写真を披露し、聴衆に強い印象を与えた。

過去に何度も台湾を訪問しているヴュートリヒ氏の初来台は1983年に遡る。当時は科学政策に関心を寄せており、台湾の複数の研究室や病院を視察したほか、花蓮の太魯閣や墾丁国家公園を訪れた記憶があるという。同氏は『風傳媒』の単独インタビューに応じ、長年にわたり活力を維持し続ける秘訣は「スポーツである」と語った。

ノーベル化学賞受賞者のクルト・ヴュートリヒ氏が講演で披露した、77歳で国際サッカー連盟(FIFA)のエキシビションマッチに出場し、ピッチでプレーする写真。(謝錦芳撮影)
ノーベル化学賞受賞者のクルト・ヴュートリヒ氏が講演で披露した、77歳で国際サッカー連盟(FIFA)のエキシビションマッチに出場し、ピッチでプレーする写真。(写真/謝錦芳撮影)

幼少期から科学と語学に関心、「スポーツの舞台で強くなりたい」と熱望

1938年生まれのヴュートリヒ氏は、スイス北西部の小さな町アールベルク(Aarberg)で誕生し、ビエンヌ(Bienne)湖畔の町リス(Lyss)で幼少期を過ごした。父親は会計士だった。同氏が育った時代、スイスで大学進学を見据えて高校に通う若者はわずか3%だったと回顧する。幼い頃から万事に好奇心旺盛で、科学や語学に強い関心を持ち、フランス語、ドイツ語、英語を操る。同氏にとって学習はたやすいことであり、むしろ「スポーツの舞台で圧倒的な強さを発揮したい」と願っていた。

競技スポーツはヴュートリヒ氏の人生において重要な役割を果たしている。大学では化学、物理学、数学、スポーツ教育学を専攻し、化学の博士号を取得した。若き日にはスイスの複数の高校で物理、化学、体操の教鞭を執ったほか、観光地でスキーや水泳のインストラクターも務めた。当時の報酬はかなり良く、それが同氏の若かりし頃の生計を立てる手段であった。 (関連記事: 【独占インタビュー】AIが人類の思考を支配するか ノーベル賞エドバルド・モーザー教授が示す2つのシナリオ 関連記事をもっと読む

ノーベル賞受賞者クルト・ヴュートリヒ氏のプロフィール

自身の血中ヘモグロビンをサンプルに、酸素摂取量と運動パフォーマンスを研究

アスリートから科学者へと転身したヴュートリヒ氏は、血液中のヘモグロビンが酸素摂取量や運動パフォーマンスにどのような影響を与えるかに強い関心を抱いていた。自身の血液中のヘモグロビンを研究材料として論文を発表し、世界的な注目を集めた。同氏は「自身の血液で研究を行ったのは、そこから何かを学び、自分の運動パフォーマンスを向上させることができるかを知りたかったからだ」と指摘している。

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