半導体の「シリコンの盾」に続く次世代技術競争に向け、台湾が量子産業への歩みを加速させている。台湾経済部(経済省)は27日、「量子産業技術推進オフィス(QITPO)」を正式に発足させた。政策の統合と産業チェーンの整備を軸に、既存の半導体分野での優位性を土台として、台湾独自の量子分野の重要サプライチェーンの構築を目指す方針だ。
すでに海外企業2~3社が台湾での研究開発拠点設置に向けて協議を進めているほか、台湾企業でも10社を超える企業が量子分野への参入を検討、あるいは実際に動き始めている。量子産業をめぐる「先回り」の動きは、明らかに熱を帯びつつある。
世界の供給網で位置を確保 もはや「後追い」ではない
龔明鑫・経済部長(経済相)は、量子技術はすでに実験室での研究段階から、産業競争の局面へと移りつつあると指摘した。その上で、「AIの波の次に、量子計算は世界を変える次の重要技術になる可能性が高い」との認識を示した。
龔氏は、今回の推進オフィス設立について「単に新たな部署を置くという意味ではなく、量子産業の発展に対する政府の具体的なコミットメントを示すものだ」と強調した。市場が成熟してから追随するのではなく、産業の立ち上がり段階から、台湾が世界の分業体制の中で重要な位置を押さえることが狙いだという。
一方で、AIがすでに急速な商業化フェーズに入っているのに対し、量子産業にはなお「技術の進展は速いが、産業への実装は遅い」というギャップがある。龔氏は、参入する能力と意欲を持つ企業は少なくないものの、どこから手を付ければよいのか分からない企業も多いとし、「多くの企業が参加したいと考えているが、入り口が見えにくいことが最大のボトルネックになっている」と率直に語った。
「協力・実装・連結」を軸に参入障壁を下げる
こうした課題に対応するため、経済部は今後、「協力」「実装」「連結」を推進の柱に据える。具体的には、海外の量子関連企業による台湾での研究開発拠点設置を後押しし、それを通じて台湾のサプライチェーンの参画を促す。
あわせて、政府の技術開発プロジェクトやA+補助制度を活用し、企業の参入障壁を引き下げる方針だ。さらに、産学官の資源を結ぶ交流プラットフォームを整備し、研究開発段階から市場ニーズと結びつける仕組みづくりを進める。
経済部産業技術司の郭肇中司長によると、現時点で少なくとも2~3社の海外企業が台湾でのR&Dセンター設置について協議を進めており、台湾国内でも10社を超える企業が量子分野への参入を前向きに検討しているという。郭氏は「推進オフィスの役割は、企業がどこから参入できるのかを見つけるのを助け、技術と市場を本当に結びつけることにある」と述べた。 (関連記事: 量子コンピュータのチップ化へ台湾企業が本格始動 低温チップとシステム統合が鍵 | 関連記事をもっと読む )
台湾が持つ三つの優位性
競争条件という観点で見れば、台湾の量子産業参入は決してゼロからの出発ではない。龔氏は、台湾には大きく三つの強みがあると指摘する。


















































