2026年4月27日、東京都文京区のSSIサケアカデミーにて、株式会社Clearが運営する「SAKETIMES」と、酒ストリート株式会社が運営する「SAKE Street」の事業統合に関する合同発表会が開催された。
加速する酒蔵の再編 稼働中の1割以上でオーナーが交代
第一部の勉強会では、酒ストリートのコンテンツ事業統括・二戸浩平氏が、過去15年間の日本酒業界における再編の実態を報告した。複数回譲渡された蔵を含めると、その数は170件を超え、稼働中の酒蔵の1割以上でオーナーが交代している現状がある。
従来は個人や食品企業による参入が主であったが、近年はプライベートエクイティファンドやベンチャーキャピタルが投資対象として参入する事例が顕著になっている。
米クラフトビール市場に学ぶ「非製造領域」インフラ整備の重要性
さらに二戸氏は、アメリカのクラフトビール産業が40年で100倍の規模に成長した背景には、教育機関シーベルの展開、ネクストグラスによる消費者データ等のサービス買収・統合、そして9,000以上の醸造所を束ねるブルワーズアソシエーションによる政策実現など、非製造領域のインフラ整備があったことを指摘。日本酒産業においても情報伝達や流通における流動性と事業承継の重要性を強調した。
情報の流通への貢献と、リソース分散の課題
第二部の説明会では、株式会社Clearの生駒龍史代表取締役が、2014年のSAKETIMES創業から約7,500本の記事を配信し、「情報の流通」に貢献してきた実績を振り返った。
一方で、2018年に創業した高級日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」が1日で1億円を売り上げるほどの急成長を遂げ、自身のリソースが分散する課題に直面していたことを明かした。
事業譲渡への合意と「業界随一のナレッジ組織」の構築
SAKETIMESのさらなる成長のため、2025年春頃から検討を始め、2026年2月27日に事業に対する強い野心と具体的な展望を持つ酒ストリートへの事業譲渡で合意に至ったという。酒ストリートの藤田利尚代表取締役は、同社が展開する浅草橋での地酒専門店運営、シンガポール現地法人を含む輸出事業、そしてクラウドファンディング支援などのソリューション事業のノウハウに、SAKETIMESの圧倒的な読者基盤を掛け合わせることで、業界随一のナレッジ組織を構築すると意気込みを語った。
今後の体制として、小池潤編集長をはじめとするSAKETIMESの編集部メンバー全員が酒ストリートに移籍し、計8名体制で両メディアを運営する。SAKETIMESの「速報性・網羅性」とSAKE Streetの「専門性・深掘り性」というそれぞれの強みを維持しつつ、人材やノウハウを共有していく。
動画・グローバル展開などの新規事業と中立性の維持
具体的な新規事業として、動画プラットフォームの立ち上げ、既存の計450本に及ぶ英語記事を活かしたグローバル展開の強化、6月から9月にかけてほぼ全都道府県の酒蔵を訪問する全国ツアーの実施が発表された。また、社内向けナレッジの体系化を基盤とした情報発信のための教育プログラムを構築し、6月には外部向けの体験会を実施する予定である。
さらに、5月には財務省の統計データを使いやすく可視化した「SAKE Street Database」のリリースも控えている。質疑応答ではメディアの中立性に関する懸念に対し、藤田氏が編集部の独立体制を維持するガイドラインの整備を明言し、読者の信頼を最優先に事業を推進していく方針が示された。
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編集:小田菜々香


















































