トップ ニュース 上海住民の金馬旅行解禁、台湾本島への中国人客受け入れ再開に向けた課題
上海住民の金馬旅行解禁、台湾本島への中国人客受け入れ再開に向けた課題 今年、台湾本島で中国人観光客の受け入れが再開されるのか。大陸委員会(陸委会)副主任委員の梁文傑氏は、事前に「観光小両会」を通じた協議が必要だと強調したが、中国側からの回答は現時点で得られていないという。(写真/楊騰凱撮影)
上海市文化・観光局は4月29日、上海市民を対象とした台湾の金門・馬祖への観光渡航申請の受け付けを開始すると正式に発表した。これを受け、中国人旅行客が将来的に台湾本島へも訪れるようになるのかに世間の関心が集まっている。台湾の対中国政策を統括する大陸委員会(陸委会)の副主任委員・梁文傑氏は、「中国側はしばしば観光を政治的な武器とし、『依存させてから締め付ける(養套殺)』手法をとる。そのため、台湾側としてはまず『観光小両会』を通じた協議で制度の安定性を確保したい。一方的な解禁や停止は容認できない。我々は対話を希望しているが、中国側からの返答はない」と指摘した。
「観光小両会」とは、台湾の財団法人「台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)」と中国の「海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)」で構成される民間交流枠組みを指す。中台関係の特殊性を踏まえ、両岸の政府機関による直接対話ではなく、この実務窓口を通じて意思疎通が図られている。
今年2月上旬、台湾の野党・国民党と中国共産党によるシンクタンク座談会(国共フォーラム)が開催された後、中国の文化・観光省は上海市民の金門・馬祖観光を「再開する」と発表していた。それから約3カ月を経て、同政策がようやく実施される運びとなった。上海市文化・観光局が4月29日に発表した公告によると、同日より上海市民は、上海市および福建省で関連資格を持つ旅行会社を通じて金門・馬祖への団体旅行や個人旅行に申し込むことが可能となる。また、規定に基づき、両地域の公安機関(警察)の出入国管理部門に対して金門・馬祖への渡航許可(ビザに相当する「簽注」)の申請が行える。
一方で、4月10日に国民党主席の鄭麗文氏と中国共産党の習近平総書記による「鄭・習会談」が開催された後、中国側は台湾優遇の10項目(恵台政策)を提示した。その中には、上海および福建省の住民による「台湾本島」への観光再開や、中台間の航空直行便の全面再開が含まれている。上海や福建省の住民がいつ台湾本島に足を踏み入れることができるのかに、大きな注目が集まっている。
陸委会は4月30日に定例記者会見を開き、梁氏が進行を務めた。
会見で梁氏は、金門・馬祖観光に関し次のように説明した。
「金門・馬祖地域は地理的に比較的閉鎖された環境にあるため、外部からの影響を抑えやすく、仮に不可抗力による制御不能な要因が生じても台湾側で対応しやすい。そのため、新型コロナウイルスのパンデミック後も、まずは金門・馬祖への中国人旅行客の受け入れを先行して再開した。したがって、今回中国が上海市民の金門・馬祖訪問を解禁したことについて、台湾側に異存はない」
「金門の観光業者が中国の江西省など、他の省からの観光客受け入れも希望しているという話も耳にしている。重ねて言うが、台湾側は終始一切の制限を設けておらず、それは中国側の問題だ」
台湾本島への観光再開については、近年の両岸関係の変化が影を落としているという。梁氏は、「パンデミック前には中国軍の航空機や艦艇による台湾へのハラスメント行為は存在しなかったが、コロナ後にこうした事態が常態化した。このような状況下では、我々としても地政学的リスクを含む多くの要因を考慮せざるを得ない」と警戒感を示した。
さらに、「特に中国は観光を政治の武器とし、『依存させてから締め付ける』戦略をとることが多い。突然の断交も辞さない構えであり、日本に対しても現在そのような対応をとっているほか、韓国にも類似の行動が見られる」と指摘した。
「台湾に対しても、農産物や、本来なら両岸経済協力枠組み協議(ECFA)に基づき免税となるはずの石油化学製品に対する優遇措置を相次いで制限している。このような中国側の一貫性のない行動に対処する必要があり、だからこそ『観光小両会』を通じて制度の安定性を協議したいと考えている。一方的に開けたり閉めたりする状況では、観光分野のサプライチェーンの観点からも、台湾の業者が過剰な投資を行い、一瞬にしてすべての資金を失うリスクがある」と懸念を表明した。
その上で、「台湾本島の観光に関しては、必ず『観光小両会』を通じて協議を行うという立場を堅持する」と強調した。
また、記者からの「台湾側はすでに上海や福建の住民による金門・馬祖への渡航申請を審査・承認しているのか」との質問に対し、梁氏は「上海や福建が昨日発表したばかりであり、上海市民が渡航許可を申請できるようになった段階だ。現時点で申請書類は台湾側の関連機関に届いておらず、審査・承認されたものは一つもない」と答えた。
さらに「今年、台湾本島に中国人旅行客の波が訪れる可能性はあるか」との問いには、「見込みがあるかどうかは、中国側がどう返答するかにかかっている。台湾側は協議に応じるよう求めているが、相手側から一向に返答がないため、現状で停滞している」と述べた。
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