中国のAI企業DeepSeek(ディープシーク)は、最新のフラッグシップモデル「V4」を発表した。同モデルは初めてファーウェイのチップアーキテクチャ向けに最適化されており、エヌビディア(NVIDIA)のジェンセン・ファンCEOが以前から示唆していた「中国のAIが自国製チップへ移行すれば、米国の優位性を脅かす」という懸念を裏付ける形となった。しかし、海外メディアが公開したアナリスト報告によると、市場の反応は冷ややかであり、性能面でも依然として米国のクローズドソースモデルが業界を主導している。
ファーウェイ「Ascend」チップとの深化する連携
DeepSeekの発表によれば、同社最先端の「V4Pro」は、世界知識基準テストにおいて多くのオープンソースモデルを上回るスコアを記録し、Googleのクローズドモデル「Gemini-Pro-3.1」に次ぐ性能を示した。AIエージェントのタスク処理能力を強化し、より複雑なワークフローに対応可能となった一方で、コンピューティング・パワーへの要求も大幅に高まっている。
特筆すべきはファーウェイとの提携強化だ。一部の学習プロセスにはファーウェイのAIチップ「Ascend(アセンド)」が導入されており、自国製チップ体系への移行が着実に進んでいる実態が浮き彫りになった。
エヌビディアCEOが抱く「エコシステム喪失」への危機感
ジェンセン・ファン氏は最近のポッドキャスト番組で、中国の開発者が自国製プラットフォームへシフトした場合、中国市場におけるエヌビディアのエコシステム上の優位性が損なわれる可能性があると言及した。同氏は、「いつかDeepSeekがファーウェイのチップ上で動作するようになり、世界のAIモデルが米国のハードウェア上で実行されなくなる日が来れば、それは我が国(米国)にとって恐ろしい結果となるだろう」と強い危機感を露わにしている。
一方、CNNの報道によれば、DeepSeekはかつて「R1」モデルを低コストで投入し、世界的に大きな注目を集めたが、今回の「V4」に対する市場の反応は冷淡であるという。アナリストは、V4はあくまで既存のトレンドを継続したものに過ぎず、R1のような突発的な衝撃を再現するには至っていないと指摘している。
米輸出規制下での戦略、オープンソース化と国産化の加速
同報道は、V4が「オープンソース」戦略を採用している点に着目している。これは多くの米国製「クローズドソース」モデルとは対照的であり、AI競争における中国の重要な戦略と見なされている。同時に、この動きは米国による輸出規制の下で、中国企業が最先端チップの入手を困難にしているという厳しい現実を反映したものだ。
ハードウェアの脱米国依存と、依然として高い米国勢の壁
ハードウェア面において、DeepSeekはファーウェイと連携し、「Ascend 950」チップを用いて演算能力を確保している。調査会社カウンターポイント・リサーチのチーフアナリスト、魏孫(ウェイ・サン)氏は、R1の学習がエヌビディア製ハードウェアに依存していたのに対し、今回の事例は中国が米国技術への依存度を低減させつつあることを示していると分析した。
しかしながら、業界のトップ層は依然として米国のクローズドモデルが主導しているのが現状だ。アンソロピック(Anthropic)の「Claude」、オープンAI(OpenAI)の「ChatGPT」、そしてグーグル(Google)の「Gemini」といった米国勢の優位性は、現時点では揺るぎないものとなっている。
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編集:平松靖史 (関連記事: TSMC、A13プロセス発表 AI需要で次世代半導体開発が加速 | 関連記事をもっと読む )


















































