台湾の立法院(国会)で27日、頼清徳総統に対する弾劾案の公聴会が開催された。出席した市民団体「気候先鋒者同盟」の楊家法(ヤン・ジアファー)発起人は、頼政権発足後のわずか7カ月間で気候・エネルギー政策が「二転三転している」と厳しく指摘。「誤ったエネルギー政策は、汚職よりも恐ろしい」と断じた。
楊氏は、頼総統の過去の言及を振り返り、エネルギー問題に対する認識の欠如を批判した。頼氏は2023年末の総統選に向けた政見発表会で、「いかなる時も予備率(備転容量率)は10~15%を維持している」と主張していたが、楊氏はこの発言自体が電力実態に対する「認識不足」を露呈していると指摘した。
わずか7カ月での方針転換 ヘアピンカーブのごとき政策
報告によると、頼総統の態度はこの数カ月で急変している。
- 昨年8月23日(住民投票時): 第三原発(核三)の再稼働に明確に反対し、国民に「反対票」を投じるよう呼びかけた。
- 今年3月21日:「原発稼働」へ舵を切る。当時は「電力供給に懸念はなく、原発なしでも予備率は10%以上あるが、電力需要の伸びと脱炭素を考慮し、再稼働すべきだ」との主張に変わった。
- 今年4月21日: 再び態度が変化し、台湾のエネルギー供給が困難に直面していることを認め、「原発の活用を検討すべきだ」と言及した。
楊氏は、このように短期間で方針が二転三転する現状を「政策のヘアピンカーブ(急転換)」と揶揄し、場当たり的な対応が産業界に悪影響を及ぼしていると訴えた。
電力予備率は10%未満が常態化か TSMCに対し過去5年で27回の出力抑制要請
楊氏は、頼総統がわずか数カ月で原発政策を翻したことに対し、「原発が不可能だと言うのなら、なぜ7カ月後に可能になるのか。必要だと言うのなら、なぜ当初は国民に拒否を呼びかけたのか」と強く疑問を呈した。また、頼氏が「予備率(備転容量率)は常に10~15%ある」と主張している点についても、事実誤認があると指摘。実際には4月5日に予備率が6.21%まで低下したほか、今年に入り5~6%台まで落ち込んだケースが5回も確認されており、総統の説明と実態の乖離(かいり)を浮き彫りにした。
楊氏の報告によれば、台湾電力(台電)はこれまで幾度も「護国神山」と称されるTSMC(台積電)に救われてきたという。過去5年間でTSMCに対し、少なくとも27回の出力抑制を要請。TSMCは生産ラインを維持するため、非常用のディーゼル発電機稼働を余儀なくされた。影響は同社に留まらず、多くのハイテク大手や企業に及んでおり、ある大手鉄鋼メーカーでは28回もの出力抑制が行われた実態も明らかになった。 (関連記事: 【インタビュー】台湾・花蓮のせき止め湖危機は終わっていない 李鴻源氏が「次の豪雨で一気に崩れる」と警鐘 | 関連記事をもっと読む )
天然ガス備蓄はわずか11日分 地政学リスクによるコスト急増
エネルギー供給の構造的リスクについても深刻な指摘がなされた。楊氏によると、現在、台湾の発電の51%を天然ガス(LNG)が占めているが、その安全備蓄量はわずか11日分に過ぎない。


















































