TOYOTA ARENA TOKYO(以下、トヨタアリーナ東京)は、単なるスポーツ施設の枠を超え、選手、ファン、そして地域社会が一体となる新たな拠点の構築を目指している。トヨタアルバルク東京株式会社のアリーナ事業部事業推進室アシスタントマネージャー、大場義弘氏は、ファンと選手の熱気を最大化するための建築的工夫や、クラブ運営における「同じ屋根の下」という独自の環境、さらにモビリティ技術を活用した地域防災への取り組みについて、その詳細を明らかにした。

台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、施設開発を牽引するトヨタ不動産株式会社 企画統括部東京統括グループ課長であり、一級建築士の資格を持つ井上雅博氏と、施設運営やソフト面を担うトヨタアルバルク東京の大場義弘氏が、同アリーナの差別化戦略や3社連携が生み出すシナジー、そしてインバウンド需要を見据えた展望について、詳細な構想を語った。

熱狂を生み出す「オーバル型」設計と多様な観戦体験
ファンと選手が一体となる空間作りについて、大場氏はアリーナの形状そのものに大きな特徴があると指摘する。バスケットボール観戦の快適性を追求するため、座席配置には楕円形の「オーバル型」を採用。これにより、どの座席からでもコートを正面に捉えられる設計を実現した。
また、コートとの近接性により試合の迫力を存分に楽しめることに加え、ユニークなホスピタリティエリアを設置するなど、多様な観戦スタイルを提供できる仕組みそのものが、会場に熱気を生むための重要な工夫となっているという。
「同じ屋根の下」で育まれるクラブの一体感と企画力
大場氏は、運営ソフト面における最大の強みとして、アルバルク東京のフロントスタッフとトップチームの選手たちが「同じ建屋(たてや)」の中で活動している点を挙げた。メインアリーナの傍らには、会議室、食堂、選手の練習場、そしてスタッフのオフィスが全て集約されている。この環境により、スタッフは選手と同じ場所で食事を摂り、日常的にその様子を肌で感じることができる。
「ファンとの繋がりを強化し、熱狂を生み出すための施策を考えるスタッフが、選手と同じ空間で働くことで、クラブが一丸となって企画を推進できるこの環境は、非常にありがたく、特別なものである」と大場氏はその意義を強調した。
スポーツを通じた地域社会への貢献と「防災意識」の変革
防災への取り組みについても、大場氏は地域社会と密接にリンクしたビジョンを示した。アルバルク東京は、スポーツを通じた社会貢献の一環として、地域の小学校や施設で防災意識の啓発を目的とした「防災ダンス」の実施や、地元企業とのイベントを通じた啓蒙活動を行っている。アリーナ単体で完結するのではなく、街の住民と「一緒になって取り組む姿勢」こそが、コミュニティの維持において不可欠であるという。
モビリティ技術と防災の融合 「日常」が「非日常」の備えに
モビリティ技術と防災の融合について、大場氏は具体的な車両の活用方法とその狙いを説明した。電動車両「e-Palette」や水素燃料電池車をイベントの電力供給源として活用することで、来場者に「電動車両は電気を取り出せる」という機能を体験的に理解してもらう機会を提供している。アリーナ周辺の公園を含めたエリア一帯で多くの電動車両が運行している現状を活かし、災害時にはこれらの車両が速やかに電力供給のインフラとして機能することを想定している。
大場氏によれば、これらは単に万一の事態に備えるのではなく、通常時は顧客に楽しんでもらうための企画として実装し、それが結果として地域の防災力向上に寄与するという、「日常と非日常を繋ぐ」考え方に基づいている。
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(関連記事: 【特集4/4】TOYOTA ARENA TOKYOが描く青海の未来 スポーツ・移動・環境が融合する街づくり | 関連記事をもっと読む )編集:小田菜々香















































