各国の有権者には一つの共通点がある。記憶は長続きしないかもしれないが、自身の財布を直撃する痛みには極めて敏感であるという点だ。米大統領のドナルド・トランプ氏がホワイトハウスへの返り咲きを果たした背景には、ジョー・バイデン前政権下での高インフレに対する有権者の強い嫌悪感があった。だが皮肉なことに、2026年2月に「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」と称する対イラン奇襲作戦を発動して以降、トランプ氏自身がインフレを引き起こす元凶となっている。
現在、全米各州のガソリンスタンドのスクリーンに映し出される「黄金時代へようこそ(Welcome to the Golden Age)」というスローガンは、1ガロンあたり4ドルという高値のガソリン価格を背景に、極めて皮肉なものとして人々の目に映っている。
A Reuters/Ipsos poll indicates that 77% of registered voters blame President Donald Trump for surging gasoline prices, impacting his Republican Party ahead of midterm elections.
— PiQ Newswire (@PiQNewswire)April 24, 2026
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経済で得た支持、経済で失う危機
英通信社『ロイター(Reuters)』と世論調査会社『イプソス(Ipsos)』が今週発表した最新の世論調査は、戦争状態にあるトランプ政権に冷や水を浴びせる結果となった。データによると、米国の有権者の大多数が、直近のガソリン価格急騰の原因はトランプ氏にあると直接的に非難していることが明らかになった。
登録有権者の77%が、最近の燃料価格上昇について大統領が「かなりの程度の責任」を負うべきだと回答した。米国とイスラエルが主導したこの戦争は、軍事的な成果を収めたものの、経済面では壊滅的な連鎖反応を引き起こしている。こうした不満の広がりは党派の垣根を超えており、民主党支持者の95%、無党派層の82%に加え、共和党支持者の55%までもが、自党の大統領に対して失望感を露わにしている。

ホワイトハウスの公式ウェブサイトには、現在も「黄金時代へようこそ!」という見出しが大きく掲げられている。さらにトランプ氏はネバダ州ラスベガス(Las Vegas)での演説で、米国経済が「爆発的な成長」を遂げていると豪語した。しかし世論調査では、回答者の70%がこの主張を支持せず、さらに82%がインフレに対して極度の懸念を抱いていることが浮き彫りになった。
11月3日 共和党の議席防衛戦
この「ガソリン価格高騰への怒り」は、11月3日に控える中間選挙を直接的に脅かしている。世論調査によると、有権者の58%が、トランプ氏の対イラン戦争政策を支持する候補者には「投票する可能性が低い」と明確に回答した。
「経済政策」において共和党が長年築いてきたブランド優位性は急速に崩壊しつつある。トランプ氏の就任直後、経済運営に対する有権者の信頼度は、共和党が民主党を14ポイントもリードしていた。ところが今回の最新調査では、その優位性はわずか1%にまで縮小している。

共和党系団体「メイン・ストリート・パートナーシップ(Main Street Partnership)」の代表を務めるサラ・チェンバレン(Sarah Chamberlain)氏は、「現状は非常に悪く、人々は大きな怒りを抱えている」と率直に語った。同氏は、夏を迎える前にガソリン価格が戦前の水準にまで下がらなければ、共和党が下院の過半数を維持するのは極めて困難になると警告を発している。
戦争のブーメラン「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」から家計の危機へ
米国とイラン間の戦争の代償は、米国の各家庭の家計簿へと急速に転嫁されている。戦争の勃発によって世界の石油海上輸送の5分の1が寸断されて以降、米国内のガソリンの平均価格は1ガロンあたり4ドル(約630円前後)まで急騰しており、開戦前と比較して1ドルも上昇している。
共和党のストラテジストであるエリン・マグワイア(Erin Maguire)氏は、トランプ氏が「物価の手頃さ」をMAGA陣営の基盤として位置づけてきたと指摘する。しかし、現在は戦争によって物価が制御不能に陥っており、「これは選挙キャンペーンにおいて、今や言い逃れのできない袋小路となっている」と述べた。現在、米国市民の77%が燃料価格を最大の懸念事項と見なしており、さらに今後1年間でガソリン価格が上昇し続けると予想する有権者の数は、下落を予想する人数の2倍以上に達している。
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編集:柄澤南











































