【台湾海峡解読】外交迷走2.0?頼総統アフリカ訪問中止 専門家「セーシェル・モーリシャス対応に問題」

頼清徳総統のエスワティニ訪問が急遽中止となり、その背景をめぐって様々な憶測を呼んでいる。頼氏がアフリカで異例の行動に出る可能性が浮上したため、アフリカ諸国が事前に訪問を拒否したとの見方もある。(中央社)
頼清徳総統のエスワティニ訪問が急遽中止となり、その背景をめぐって様々な憶測を呼んでいる。頼氏がアフリカで異例の行動に出る可能性が浮上したため、アフリカ諸国が事前に訪問を拒否したとの見方もある。(中央社)

台湾・頼清徳総統が予定していたアフリカの国交樹立国エスワティニへの訪問が、セーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国から特別機の飛行許可を取り消されたことで中止となった。台湾総統府は中国からの圧力を非難しているが、中国側は「経済的威圧」を否定しており、双方の主張は平行線をたどっている。こうした中、訪問中止の背景には、台湾がアフリカ大陸の未承認国家である「ソマリランド」と接近していることに対し、関係国が警戒感を強めた可能性があるとの見方が浮上している。

ソマリランドの国際的な境遇は台湾と似ており、両者の間には特有の連帯感がある。同国はもともとソマリアの一部だったが、1991年のソマリア内戦勃発に伴い独立を宣言した。しかし、アフリカ諸国で構成されるアフリカ連合(AU)が既存の国境線変更に反対しているため、国際社会からは主権国家としてほとんど承認されていない。現在、ソマリランドを承認しているのは台湾とイスラエルのみである。台湾は2020年に同国と相互に代表処を設置し、イスラエルも2025年に港湾利用やイエメンの武装組織フーシ派対策での協力を引き換えに外交承認を与えている。

今回、頼総統のエスワティニ訪問に対し、セーシェルなど3カ国が飛行許可を取り消した。台湾側はこれを北京の干渉だと強く非難しているが、一方で台湾とソマリランドの緊密な関係が影響したとの見方も存在する。頼総統の訪問計画を前に、ソマリランド側が頼氏のアフリカ訪問を大々的に歓迎する姿勢を示しており、これがアフリカ連合を刺激し、アフリカ諸国による特別機のボイコットにつながった可能性が指摘されている。

アフリカ情勢に詳しい政治大学国際関係研究センターの厳震生兼任研究員は「風傳媒」の取材に対し、頼総統がエスワティニ訪問後にソマリランドを電撃訪問する可能性をアフリカ連合が警戒し、結果としてアフリカ大陸への進入自体を阻んだ可能性があると明らかにした。厳氏はさらに、セーシェルやモーリシャスはアフリカでもトップクラスの発展を遂げている国であり、台湾が「債務の罠」という言葉を用いてこれらの国を汚名化するのは不必要だと指摘した。

台湾とソマリランドは2020年に相互に代表処を設置した。写真は当時の呉釗燮外交部長(右)が2月にソマリランドのムヤシン外相(左)と議定書に署名した際の様子。(画像は twitter.com/MOFA_Taiwan より)
台湾とソマリランドは2020年に相互に代表処を設置した。写真は当時の呉釗燮外交部長(右)が2月にソマリランドのムヤシン外相(左)と議定書に署名し、公式な代表機関の相互設置に合意した際の様子。(画像は twitter.com/MOFA_Taiwan より)

アフリカ連合が国境変更を警戒か

厳氏によると、ソマリランドはアフリカの既存の国境の枠組みにおいて、武力紛争を経ずに独立を果たした数少ない事例の一つである。同国はかつて英国の植民地であり、後にイタリアの植民地と統合されてソマリアを形成した。しかし、ソマリアが内戦で無政府状態に陥った後、ソマリランドは約36年間にわたり実質的な独立状態を維持している。それにもかかわらず、アフリカ諸国はこの独立を受け入れていない。

アフリカ大陸でも過去に独立が承認された例外はある。例えば、エリトリアは歴史的にエチオピアの一部ではなく、イタリアの侵攻によって統合された経緯があったため、1993年に独立を果たした。 (関連記事: 【舞台裏】元情報機関トップが嘆く「なぜこんな愚策を…」 頼清徳総統の外遊中止、国家安全局長の“タブー”とは 関連記事をもっと読む

直近の事例としては南スーダンが挙げられる。長期にわたるスーダン内戦の末、住民投票を経て南スーダン(アフリカ系住民が主体)と北スーダン(アラブ系住民が主体)への分離が決定された。このようにアフリカで国家が独立を模索すること自体は不可能ではないが、ソマリランドの独立がアフリカ諸国から受け入れられていない点には特異性があるという。

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