NYT記者追放で頼清徳氏の国際露出に圧力か 中国の対台湾封じ込めが新段階へ

台湾総統・頼清徳氏は米紙『ニューヨーク・タイムズ』のアンドリュー・ロス・ソーキン(Andrew Ross Sorkin)氏によるオンライン単独インタビューに応じ、その内容は昨年12月に報じられた。しかし今年2月、同紙の北京駐在記者がこのインタビューを理由に中国当局から国外退去処分を受けた。(写真/総統府提供)
台湾総統・頼清徳氏は米紙『ニューヨーク・タイムズ』のアンドリュー・ロス・ソーキン(Andrew Ross Sorkin)氏によるオンライン単独インタビューに応じ、その内容は昨年12月に報じられた。しかし今年2月、同紙の北京駐在記者がこのインタビューを理由に中国当局から国外退去処分を受けた。(写真/総統府提供)

台湾をめぐる中国の新たな形の封じ込めが進んでいる。中国政府は、米紙『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)が頼清徳総統にオンライン形式でインタビューしたことに反発し、同紙の北京駐在記者を事実上の国外退去処分とした。こうした強硬措置は今回が初めてではない。中国側は頼氏の国際的な露出を抑え込む手段を強めており、海外メディアによるインタビューすら標的になっているとの見方が出ている。この新たな「封じ込め」に対し、台湾側はいかに対応すべきか。

台湾と中国の間で、メディアをめぐる攻防が激しさを増している。NYTは昨年12月、同紙の年次イベント「ディールブック・サミット」を開催し、同イベントの司会者であるアンドリュー・ロス・ソーキン氏による頼氏へのインタビュー映像を会場で公開した。しかし、これが中国側の強い反発を招き、同紙の北京駐在記者である王月眉氏が今年2月、中国から退去処分を受けた。

王氏は頼氏へのオンラインインタビューに直接関与しておらず、中国側が同氏の過去の報道に不満を抱いていたことが処分の理由だとする分析もある。ただ、問題はそれほど単純ではないとみられる。

頼清徳総統の国際露出に対する組織的な圧力か

​頼氏が受けたNYTのオンラインインタビューの内容は、現在も台湾総統府のプレスリリース・ページで閲覧できる。一部では、中国政府が王氏個人への不満から退去処分を下したとの見方もある。

しかし、台湾側が警戒すべきなのは、「頼氏を取材した海外メディアが、その後中国国内で問題に直面する」という事態が今回に限ったことではない点だ。一連の出来事は、特定記者への不満というより、頼氏の国際的な露出に対する中国側の組織的な圧力と見るべきだとの指摘も出ている。

関係者によると、NYT以外にも、頼氏は今年初めに別の海外メディアのインタビューを受けていた。その報道が公開された後、当該メディアの北京駐在記者も、中国当局から事実上の締め出しを受けたという。規模の大小を問わず、公式取材の日程に呼ばれなくなり、大規模なマラソン大会など、非政治的な報道イベントでさえ招待リストから外されたとされる。

空軍のT-34初等練習機が墜落し、盧中佐と過中佐が殉職。頼清徳総統は2日、台北国際コンピューター見本市への出席に先立ち、遺族へ心からの哀悼の意を表明した。中央通信社撮影
関係者によると、NYT以外にも、頼氏を取材したある海外メディアが北京で事実上の締め出しを受け、一切の取材イベントに招待されなくなったという。(写真/中央通信社提供)

頼氏への取材後に問題視されたのはNYTだけではない

​中国の取材環境は相対的に閉鎖されており、中国政府による公式な招待や案内がなければ、メディアが独自に現場へ入り、取材活動を行うことは難しい。政府側からの招待が途絶えることは、一見すると強硬な措置には見えないものの、現場にアクセスできなくなるため、中国国内での報道活動が実質的に機能不全に陥ることを意味する。

当該メディアは内部で、こうした事態に陥った原因は今年初めに実施した頼氏へのインタビューにあると分析しているという。
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台湾と中国の関係に詳しい関係者は、NYTが「ディールブック・サミット」で頼氏のインタビュー映像を放映した際、背景パネルに頼氏を「President of Taiwan」と表記した点に注目する。また、別のメディアが配信した報道では、頼氏を「Taiwanese President」と呼称していた。

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