日本・フィリピン、EEZ境界画定交渉へ 台湾抜きで進めば「東部海域の権益失う恐れ」専門家が警鐘

日本とフィリピンは、排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の海洋境界画定交渉を開始する。林佳龍外交部長=写真=は4日、日比によるEEZ交渉の開始は地域の平和と安定に資するものであり、中国を念頭に置いた動きで、台湾の国益が損なわれることはないと述べた。(写真/中央社提供)
日本とフィリピンは、排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の海洋境界画定交渉を開始する。林佳龍外交部長=写真=は4日、日比によるEEZ交渉の開始は地域の平和と安定に資するものであり、中国を念頭に置いた動きで、台湾の国益が損なわれることはないと述べた。(写真/中央社提供)

高市早苗首相は5月28日夜、フィリピンのフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア大統領と東京で首脳会談を行った。両首脳は会談後、太平洋における両国の排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の境界画定に向けた交渉を正式に開始すると発表した。

これに対し、台湾外交部は当初、日本・フィリピン両国の動きに肯定的な姿勢を示したため、台湾国内では不満の声が広がった。その後、外交部は説明を修正し、日本・フィリピン両国の動きは、台湾が国際法および海洋法に基づいて有する主権的権利に影響を与えるものではないと強調。さらに、この境界画定問題を中国に関連するものと位置付けた。

しかし、教科書『国際海洋法』の著者であり、台湾内政部の領海問題に関する作業部会や漁業交渉に参加した経験を持つベテラン法学者は、台湾が200海里の排他的経済水域を主張することは合法的な権益であり、中国の主張とは無関係だと指摘する。政府に「これを不要だと言う理由はない」と強調している。

台湾が交渉に関与しない理由はない

​現在オーストラリアに在住する台湾の国際法学者で、国立台湾海洋大学海洋法律研究所の元所長である黄異氏は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、台湾が「独立国家」の立場であれ、「政治的実体」の立場であれ、国際法上認められる200海里のEEZを主張すべきだと語った。

「これを不要だと言う理由はない」と黄氏は述べる。

外交部など台湾当局の説明についても、黄氏は「日本・フィリピンの動きが中国大陸を対象としているからといって、台湾の権利に影響がないとは言えない。そのように考えるべきではない」と指摘する。

黄氏によれば、台湾政府は少なくとも、自らが主張する200海里のEEZが具体的にどこまで及ぶのかを厳正に示す必要がある。他国の主張と台湾の主張が重なる場合、国際法上、相手国には台湾と協議する義務が生じる。さらに、台湾は日本・フィリピン間で合意された条約に従う立場にはないという。

黄氏は、日本・フィリピン両国の現在の進め方について、台湾東部沖で台湾側の主張するEEZと大きく重複する可能性があるにもかかわらず、台湾を交渉の枠組みから外している点に問題があるとみる。これは実質的に国際法に反する行為だという。国際法は、経済水域が重複するすべての当事者に対し、協議によって問題を解決し、境界を画定することを求めているためだ。

日本・フィリピンが境界線を引いた結果、台湾の主張が枠外に置かれることになる。これが台湾と無関係であるはずがない」と黄氏は述べ、「これほど不可解な説明は聞いたことがない」と強い懸念を示した。

資深国際法学者の黄異氏は、教科書『国際海洋法』の著者である。周怡良氏提供。
ベテラン国際法学者の黄異氏は、教科書『国際海洋法』を出版した経歴を持つ。(写真/周怡良氏提供)

EEZ境界画定は何に影響するのか

​黄氏は、EEZをめぐって世間で語られている内容には誤解も多いと指摘する。国際法上、沿岸国がEEZ内で行使できる権利は限定的であり、領海や領土と同列に扱うことはできない。
(関連記事: 日本・フィリピンEEZ交渉に台湾が懸念 駐日代表「台湾の権益を排除すべきでない」 関連記事をもっと読む

一方で、沿岸国はEEZ内における漁業、環境保護、鉱物資源の採掘などについて管轄権を有している。例えば、漁船が台湾のEEZ内で漁業活動を行う場合、台湾の『漁業法』の管轄を受けることになる。

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