【舞台裏】チェコ新政権は中国接近も、台湾との関係は揺らぐのか プラハで見えた林佳龍氏の自信

チェコでは2025年の総選挙で政権交代が起きた後、新政権が中国との関係修復を強めており、台湾とチェコの交流の余地に影響が及ぶのではないかとの見方が出ている。ただ、林佳龍外交部長は、台湾とチェコの関係は依然として安定していると強調した。(写真/鍾秉哲撮影)
チェコでは2025年の総選挙で政権交代が起きた後、新政権が中国との関係修復を強めており、台湾とチェコの交流の余地に影響が及ぶのではないかとの見方が出ている。ただ、林佳龍外交部長は、台湾とチェコの関係は依然として安定していると強調した。(写真/鍾秉哲撮影)

中国外相・王毅氏は5月26日、米ニューヨークでチェコ副首相兼外相・マチンカ氏と会談した。マチンカ氏の就任からわずか半年で2度目となる王氏との会談であり、前回から4カ月も経たない中での再会となった。マチンカ氏は今回もチェコと中国の関係を「正しい軌道に戻す」ことへの期待を改めて表明した。

興味深いことに、その1週間足らず前には、台湾外交部長(外相に相当)・林佳龍氏がチェコの首都プラハ訪問を終えたばかりであった。林氏は「中華民国(台湾)外交部長」としてフォーラムに出席しただけでなく、プラハで複数の公開行事をこなしていた。

5月29日、プラハから台湾へ帰任した直後の林氏は、外交部のメディア茶話会において、チェコと中国の接近が台湾とチェコの交流空間に影響を及ぼす懸念はないかと問われた。同氏はメディアからの詳細な事実関係に関する質問を避けつつ、台湾とチェコの関係が依然として緊密であることを強調し、「個人の態度や単発的な出来事について、拡大解釈する必要はない。台チェコ関係は非常に安定している」と述べた。果たして林氏の自信はどこから来るのか。プラハで外界から注目されなかったある一幕が、林氏の自信を裏付けているようだ。

中国外相・王毅氏。(AP通信)
チェコ新政権のマチンカ副首相兼外相は、就任からわずか半年の間に、中国の王毅外相と2度会談している。(写真/AP通信提供)

「私は台湾人」から「一つの中国」堅持へ、台チェコ関係の春に吹く隙間風

​2020年、同年2月に台湾訪問を予定していた当時のチェコ上院議長・クベラ氏が1月に心臓発作で急死した。その後、生前に在チェコ中国大使館から脅迫を受けていたことが明らかとなり、中国とチェコの関係は悪化した。同年8月、チェコ上院議長・ビストルチル氏が代表団を率いて訪台し、立法院(国会に相当)で「私は台湾人だ」と演説した。

3年後、チェコ次期大統領のパベル氏が台湾前総統・蔡英文氏と電話会談を行い、同年3月には当時のチェコ下院議長・アダメワ氏も台湾を訪問し、立法院で1968年の「プラハの春」における名言「我々はあなた方と共にある。どうかあなた方も我々と共にあってほしい」を引用した。

しかし、5年後の秋、チェコ下院選挙を経て政局は一変する。自らを「トランプ主義者」と称する「ANO(不満な市民の行動)」の党首・バビシュ氏が、2025年12月にプラハのチェコ政府本部へ返り咲き、マチンカ氏率いる「モータリスト党」および極右政党「自由と直接民主主義(SPD)」と連立内閣を組閣したことで、台湾とチェコの関係には再び不透明感が漂い始めた。

2026年6月1日、ビストルチル氏が再び台湾を訪問した。しかし、前回は6日間だった滞在期間が4日間に短縮されただけでなく、6年前には政財学界から約89人が同行したのに対し、今回の同行者は約40人の企業、大学、文化界の代表のみと半減した。 (関連記事: 【台湾外交】林佳龍外相より頻繁に各国を「極秘訪問」の実績 ラファイエット事件の闇を知る「真のキーマン」の正体 関連記事をもっと読む

6年前もチェコの首相はバビシュ氏であったが、今回の同氏の反対姿勢は明らかに強硬であり、「政府専用機の使用を承認しない」と強調した上で、アダメワ氏やビストルチル氏らを名指しし、チェコ新政府は中国におけるチェコの商業的利益を損なうような政策はとらないと明言した。その後、バビシュ氏は地元メディアに寄稿し、チェコ政府が「一つの中国政策を確固として堅持」し、チェコ・中国関係の正常化を積極的に推進すると強調した。

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