日本・フィリピンのEEZ境界画定交渉、台湾の権益喪失に懸念 専門家「EEZが事実上無視される恐れ」

国民党立法院党団(議員団)の林沛祥書記長(中央)らは2日、記者会見を開き「頼政権がEEZを放棄し、主権を失う」などと批判した。(中央社)
国民党立法院党団(議員団)の林沛祥書記長(中央)らは2日、記者会見を開き「頼政権がEEZを放棄し、主権を失う」などと批判した。(中央社)

日本とフィリピン両国はこのほど、「国連海洋法条約(UNCLOS)」に基づき、排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の海洋境界画定に向けた交渉を開始すると発表した。交渉の対象となる海域は台湾の東に位置し、台湾が主張する200カイリ(約370キロメートル)のEEZと広範囲で重複している。これについて台湾の最大野党、国民党の立法委員(国会議員に相当)から「台湾が排除され、関連権益が損なわれる」との懸念する声が上がっている。

台湾の海洋空間が領海のみに縮小も

これに関し、国連海洋法条約や国際海洋法を専門とする国立台湾海洋大学海洋法律研究所の周怡・兼任助教は、中国の抗議や動向はさておき、日本とフィリピンの交渉により、台湾の海洋空間が「領海」のみに圧縮され、台湾が長期にわたり主張してきたEEZが事実上無視される結果となる恐れがあると指摘している。その一方で、台湾がこの交渉の進行を阻止することは極めて困難との見方を示した。

周氏は「風傳媒」の取材に対し、日本とフィリピンの動きが条約上の「第三者を拘束しない原則」に反するとは言い難いと述べた。その理由として、伝統的な法解釈では第三者の性質を「国家」としているが、日本とフィリピン両国の公式な立場において台湾は「国家」として扱われていないことを挙げた。

さらに周氏は、法解釈が拡大され、条約の第三者に「政治的実体」が含まれた場合でも、国際法の原則に違反しているとは断言できないと指摘。日本とフィリピンによる境界画定の結果は台湾の「実効支配」の範囲、すなわち台湾の領海を考慮することになるとの見方を示した上で、「これは一種の尊重であり、国際法の原則に抵触しない姿勢と言える」と語った。

周氏によると、日本とフィリピンの合意がもたらす法的効果を見ると、両国は台湾の実効支配を尊重すると同時に、国際慣習法に基づく航行の自由も尊重せざるを得ない。「そのため、台湾船籍の船舶は引き続き同海域を自由に航行することができる」と説明した。

しかし、日本とフィリピンの協議における最大の問題は、「両国が事実上、台湾の主張するEEZを排除している」点にある。台湾の漁業の自由や資源開発の権利が協議から除外されるだけでなく、台湾の関連機関が自由な科学調査を行えなくなる可能性があり、「これこそが最も憂慮すべき点だ」と強調した。

周氏は、この協議は台湾の実効支配という事実を「最小範囲に限定」し、台湾が国際法に基づき主張するEEZや大陸棚の権益を無視していると指摘した。 (関連記事: 日本・フィリピンのEEZ境界画定交渉に台湾が協議要求 中国は海警船派遣で反発 関連記事をもっと読む

20260602-台湾外交部の蕭光偉・報道官は2日、定例記者会見を主宰し、日比による正式なEEZ画定交渉開始が台湾の漁業権益を損なう恐れがあるとのメディアからの質問に応じた。(鍾秉哲撮影)
台湾外交部の蕭光偉報道官は2日の定例記者会見で、日本とフィリピンによるEEZ画定交渉の開始が台湾の漁業権益を損なう恐れがあるとのメディアからの質問に応じた。(鍾秉哲撮影)

境界画定交渉への台湾の参加は困難

日本とフィリピンは中国と国交を結んでおり、「世界に中国は一つであり、台湾は中国の一部である」とする「一つの中国」の主張を尊重する立場を取っている。そのため周氏は、両国は自国の外交政策の下で、台湾と経済交流を行うことはできても、境界画定協議を締結する地位を認めることはないと分析。「境界画定」は高度な国家主権の行使であり、「両国が自国の外交政策に抵触するような行動を取ることはあり得ない」ためだ。

最新ニュース
日本・フィリピンのEEZ境界画定交渉に中国反発 海警船が台湾東部海域で初の単独パトロール
【李忠謙コラム】米国は「世界の警察」を続けるべきか ポンペオ、ヌーランド、ミアシャイマーらが激論
エプスタイン事件、ビル・ゲイツ氏が議会で証言の意向 10日に米下院公聴会に出席へ
千葉ロッテ新本拠地、屋内型ドームへ方針転換 千葉市など3者が基本計画協定、2034年開業目指す
台湾漫画家3人がKADOKAWA国際漫画コンテストで受賞 金賞・銅賞・努力賞に輝く
台湾・馬祖の祈りと暮らしを映す「切り紙」芸術 東京でテーマ展開幕
東ハト、アメリカンフード風の限定スナック発売 ポテコはフライドチキン味に
代官山に新パティスリー「L'historique」誕生へ 浅井拓也氏が手がける「未来のクラシック」
FOOMAアワード2026最優秀賞にフジワラテクノアート 「小型通気式固体培養装置」が受賞
台湾ドローン産業、日本最大級の専門展へ 銘旺科技が非中国系サプライチェーンを牽引
インテル、AI PC時代の巻き返しへ 18A・GPU・ハンドヘルド向けプロセッサに注力
デンソー、総額約3135億円の自己株式取得を完了 公開買付けで予定数上回る応募
エキュート上野で梅雨の夜を楽しむフェア開催 限定グルメや夜のライブも
【独占インタビュー】「AIの貢献は過大評価されている」 ノーベル賞受賞者が警告する創造力喪失の危機
アヌシー受賞作『ChaO』特別展示がアニメ東京ステーションで開催 生原画や絵コンテを初公開
日本・フィリピンのEEZ境界画定交渉に台湾が協議要求 中国は海警船派遣で反発
シェーキーズ、ブランド初の「関西フェア」開催へ すじこんや西京焼きをピザにアレンジ
「MEET YOUR ART FESTIVAL 2026」東京・天王洲で10月開催 森山未來が展覧会ディレクターに
シャガール『アレコ』背景画を高精細LEDで再現 MoN Takanawa開館記念バレエ後半公演が開幕へ
「Pokémon GO Fest」東京初開催で過去最多171万人が参加 10周年イベントが盛況
わずか6.6万円で侵入、復旧には2.3億円 日本企業を狙うランサムウェア攻撃の現実
岡本多緒、日本人初のカンヌ最優秀女優賞 濱口竜介監督作「急に具合が悪くなる」で受賞会見
【プロ野球】古林睿煬、5回2/3を1失点8奪三振の好投 白星ならずも一軍復帰へ前進
台湾の人気中華チェーンTOP10発表 首位は小籠包の名店「鼎泰豊」
台湾空軍の練習機が墜落、操縦士2名が殉職 エンジン停止想定の訓練中
台湾・頼総統が進める社会全体の防衛レジリエンス向上、元国安会秘書長がその背景を語る
岡山天音、第63回ギャラクシー賞個人賞を受賞 杉咲花がサプライズ登壇で祝福
高石あかり、第63回ギャラクシー賞贈賞式に出席 朝ドラ「ばけばけ」の印象的な追加シーンを明かす
エヌビディアの技術カンファレンス、GTC台北開幕 フアンCEOが基調講演
夏帆と竹内涼真がギャラクシー賞贈賞式に登壇 ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」マイベストTV賞受賞
CEIPAとTOYOTA GROUP、音楽制作キャンプ「SONG BRIDGE 2026」開催へ 国内外約40組が参加
「MEET YOUR ART FESTIVAL 2026」東京・天王洲で開催へ 森山未來が展覧会ディレクターに
TeamT5、サイバー防衛セミナー開催 最新の標的型攻撃や検知手法を解説
【ふるさと納税】初夏からの計画寄付を提案 物価高騰と在庫切れを避ける賢い活用術
博多もつ鍋やま中、父の日キャンペーン開催 スパークリングワインを数量限定で贈呈
中国、AI人材と技術流出を防ぐ「投資ファイアウォール」構築へ 対外投資新規制の狙い
三菱地所、シドニー初の物流施設開発に参画 700億円超の大型案件
台湾美容医療クリニックで相次ぐ盗撮事件 違法映像ネットワークと被害者支援の課題
「台湾有事は日本有事」台湾に最も近い日本の防衛最前線 石垣島が南西防衛の要衝となった理由
三菱地所、福岡県筑前町で大規模蓄電所の建設に着手 2028年運転開始へ
映画『あの写真の私たち』大阪大学で上映会開催 フィル・タン監督が制作秘話語る「忘れられた歴史を映画に刻む」
【独占インタビュー】次のパンデミックに台湾はどう備えるべきか 前欧州委員長が語る5つの教訓
森ビル、夏休み子ども向けワークショップ開催 AI・金融教育・職業体験など100種類
チームラボボーダレス、夏休み親子ワークショップ 「地図のないミュージアム」を探検
牛めしの松屋、百貨店初の常設店を松屋銀座にオープン 神戸牛牛めしなど限定メニューも
米国防長官、対台武器売却は「トランプ氏が判断」 台湾言及避け、対中安定関係を強調