フィリピン外務省は11日、中国駐マニラ大使館に対し、海上の主権をめぐる紛争を扱う際には「建設的で専門的な対話」を行い、いわゆる「戦狼」式の感情的な発言は控えるよう求めた。両国間の応酬が強まるなか、冷静な外交対応を呼びかけた形である。
上院議員と中国大使館の応酬が発端
発端は、フィリピン上院議員のフランシス・キコ・パンギリナン氏と中国大使館の間で起きた、メディアを通じた異例の激しい舌戦である。
外務省報道官「外交は冷静かつ専門的に」
ロイター通信によると、フィリピン外務省の新任の事務報道官であるロヘリオ・ビリャヌエバ氏は記者会見で、正式な外交上の応答は、冷静かつ専門的な方法で行うべきだと述べた。ビリャヌエバ氏はまた、フィリピン外務省は長年にわたり、重要な課題について外国のパートナーと率直で活発な議論を行うことを重視してきたとし、これはフィリピンの民主主義の伝統にも合致すると強調した。
Malacañang said the Philippines will maintain a “firm but diplomatic” stance toward China amid the Chinese Embassy in Manila’s more confrontational approach to dealing with issues surrounding the South China Sea.
— Manila Bulletin News (@manilabulletin)February 11, 2026
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一方で、この発言は主語を明示しない形を取りつつも、フィリピンの地元メディアや海外メディアの受け止めとしては、中国大使館が先に示した強い反発を念頭に置いたものだとみられている。
上院の決議をめぐり双方が非難の応酬
問題の背景には、フィリピン上院が先ごろ採択した「256号決議」がある。決議は、南シナ海をめぐる主権の主張を擁護するフィリピン側当局者を中国大使館が批判したことについて、「極めて無礼な行為」だとして非難した。これに対し中国大使館は、当該決議を改めて批判し、「政治的なパフォーマンス」だと公に非難した。
駐米大使は関係の「沈静化」を強調
こうした中、フィリピンの駐米大使であるホセ・マヌエル・ロムアルデス氏は、緊張緩和に向けたシグナルを発した。ロムアルデス氏は、過熱する中国・フィリピン関係を大幅に「クールダウン(沈静化)」させる必要があるとし、両国関係は海上の領土紛争だけに縛られるべきではないとの認識を示した。

これはマニラ当局が、緊張が高まる地域に位置しながらも、米国や日本との連携を強め軍事協力を進める一方で、中国との間では経済・外交分野の意思疎通の回路を維持し、誤算によって衝突が全面的に拡大する事態を避けようとしていることを反映している。
EEZ内での挑発行為めぐり主張が対立
フィリピンは近年、自国の排他的経済水域(EEZ)内で中国が挑発的行動をとっていると繰り返し主張してきた。具体的には、水砲による攻撃、危険な航行、アユンギン礁(中国名:仁愛礁)などでの補給任務への妨害が含まれるとしている。これに対し中国側は、フィリピンが自国の領域に侵入していると主張している。
地政学的圧力の中で今後の関係を左右する可能性も
新たな年に入り地政学的な圧力が広がる中で、こうした外交上の「戦略的な呼びかけ」は、中国・フィリピン関係がさらに先鋭化した対立へ向かうのかどうかを見極めるうえで、重要な観測指標になるとみられる。
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編集:丁勤紜、小田菜々香 (関連記事: 2027年の台湾海峡情勢に備えか フィリピンと米国が今年500回の合同演習実施へ 20万人規模の民間人安全退避も想定 | 関連記事をもっと読む )

















































