旧正月(春節)の帰省ラッシュが本格化する中国で、あるデリバリーアプリが打ち出した「親孝行代行」サービスが波紋を広げている。河南省の配送プラットフォーム「UU跑腿(UU Paotui)」が、帰省できない利用者の代わりに実家の両親へ新年の挨拶を行うサービスを開始したが、その最高額プランに「ひざまずいて叩頭する(敬意や謝意を表すために頭を地面に叩きつけて深くお辞儀すること)」代行が含まれていたことから、「孝行の商業化だ」「尊厳がないのか」と激しい批判を浴び、サービスの一部停止に追い込まれた。
「至尊プラン」は土下座付きで約2万円
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』などの報道によると、同社は2月9日、仕事や混雑回避のために帰省を断念した人々をターゲットに、アプリ上で3種類の期間限定代行サービスをリリースした。
China delivery firm offers kneeling service to send New Year greetings for customershttps://t.co/ZAvjDqw457
— South China Morning Post (@SCMPNews)February 12, 2026
各プランの概要と価格設定は以下の通りである。
- 基礎プラン(39元=約800円): 春節の飾り(春聯や福の字)の購入と貼り付け、1時間の簡単な室内清掃。
- 上級プラン(199元=約4,200円): ギフトの代理購入、祝福メッセージの伝達、両親から利用者へのお年玉(紅包)の代理受け取り(全額を利用者に送金)。
- 至尊プラン(999元=約21,000円):上記の内容に加え、1分間の祝い言葉の口上、そして両親への「叩頭の礼」が含まれる。全行程はライブ配信または録画され、依頼者は遠隔でその様子を確認できる。

実際に175件の注文、「稼ぐことは恥ではない」と配達員
サービス停止に追い込まれる直前まで、最も高額な「至尊プラン」を含むこれらの代行サービスには、少なくとも175件の注文が入っていたという。利用手順は通常のフードデリバリーと同様に簡便で、配達員は受注後、依頼主と住所やギフト、伝えるべきメッセージを確認して実行に移る。
現地メディアの取材に応じた王(ワン)という配達員は、「実際に依頼者の両親への挨拶代行を受けたことがある」と明かす。「叩頭」の経験こそないものの、彼はこのサービスに対して肯定的だ。「これは一つのアルバイトに過ぎない。自分の労働力でお金を稼ぐことは、決して恥ずかしいことではない。実力で稼いでいるのだから」と語った。
「親孝行の冒涜」か「現代の解決策」か
しかし、このサービス内容がSNSで拡散されると、世論は真っ二つに割れた。

支持派は「仕事で帰れない人にとって、伝統を守りつつ温かみを伝えられる現実的な解決策だ」と評価する一方、反対派は猛反発。「孝行心まで商品化すべきではない」「見ず知らずの他人に親へ土下座させるなど、個人の尊厳に関わる問題だ。親子の情愛が薄っぺらなものになる」といった厳しい批判が殺到した。
運営会社「感情の架け橋」と釈明も、該当サービスを削除
批判の高まりを受け、運営元のUU跑腿は中国メディア『極目新聞』の取材に対し、「単なる短期的なマーケティングの話題作りではない」と釈明。「帰省できない人々のために、最も便利な方法で感情的な繋がりを作りたいという意図だった」と説明し、土下座についても「敬意を表す代替手段の一つ」と強調した。
同社が「感情のアウトソーシング」で物議を醸したのは今回が初めてではない。2025年の清明節(墓参りの時期)にも、最大4999元(約10万5000円)で「墓参り代行」サービスを打ち出し、SNSのトレンド入りを果たしている。
しかし今回に関しては、世論の反発が予想以上に強かったとみられる。同社は11日までにサービス内容を修正し、最も論争の的となった「土下座代行」を削除。現在は春節飾りの貼り付けやギフト購入などの基本サービスのみ継続している。
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編集:丁勤紜、小田菜々香 (関連記事: NVIDIA、台北に「AI新拠点」建設へ 606億円で用地取得、春節前に契約完了の見通し | 関連記事をもっと読む )
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