高市早苗氏の大勝は「台湾有事論」への追い風か 第一列島線で日本の役割拡大を専門家・郭正亮氏が指摘

2026-02-12 16:32
首相で自民党総裁の高市早苗氏が、党本部で当選者に花を付けて祝意を示した。(写真/AP通信提供)
首相で自民党総裁の高市早苗氏が、党本部で当選者に花を付けて祝意を示した。(写真/AP通信提供)

8日に行われた第51回衆議院総選挙で、高市早苗首相率いる自民党が歴史的な大勝を収めた。自民党は単独で衆議院の3分の2を超える議席を獲得し、戦後の一政党としての最多議席記録を更新。一方、新設された最大野党・中道改革連盟は議席を半減させる惨敗を喫した。この結果を受け、台湾の元立法委員(国会議員に相当)である郭正亮(かく・せいりょう)氏は、テレビ番組『大新聞大爆卦』に出演し、高市首相が掲げてきた「台湾有事は日本有事」との論調が後退しつつあると分析。頼清徳(らい・せいとく)総統が現状を楽観視するのは時期尚早だと警鐘を鳴らした。

郭氏は、日本がさらなる軍事的権限の拡大を求めていると指摘した。具体的には、自衛隊の明記を含む憲法改正や防衛予算の増額だ。仮に参議院で改憲の発議に必要な議席数に届かず、野党が譲歩しない場合でも、自民党は殺傷能力を持つ装備品の輸出解禁など、防衛産業を育成する政策を通じて、「実質的な改憲」に近い効果を狙う可能性があると述べた。

高市首相は「台湾有事」を封印? 中国へ特使派遣の可能性も

​郭氏は、高市首相が3月19日の訪米時にトランプ大統領に対し原子力潜水艦の導入を打診した可能性があるとしつつも、「台湾有事は日本有事」という立場への支持までは求めていないとの見方を示した。選挙期間中も、高市首相はこのスローガンから距離を置き、「邦人退避」の文脈で説明するなどトーンダウンさせていたという。

郭氏は、高市首相がこの敏感な問題に深入りするのを避け、様子見の姿勢に転じていると分析。頼総統が今の段階でこれを歓迎するのは早計だと述べた。むしろ高市首相は、自民党の大勝を背景に中国側が態度を軟化させ、交渉に応じることを期待している可能性があるという。

尖閣諸島での「暗黙の了解」再来なるか

​郭氏は前例として、安倍晋三元首相の第2次政権時代を挙げた。当時、尖閣諸島(釣魚台)をめぐり日中関係は極度の緊張状態にあったが、安倍政権が国政選挙で盤石な基盤を築いた後、中国側は日本への国家安全保障担当特使の派遣に同意し、対話の糸口がつかめたという。

当時の協議では、中国公船や軍用機が周辺海域での活動を続ける一方で、双方が領海(12海里)内への立ち入りを自制するという「暗黙の了解」が形成されたと郭氏は主張する。この経緯を踏まえ、高市首相も今後、「台湾有事は日本有事」というテーマをめぐり、水面下で中国側と調整を図る可能性があると予測した。

第2期政権は「対決」より「実利」優先か

​郭氏は、高市首相が第2期政権において「台湾有事は日本有事」という表現を再び前面に押し出す可能性は低いと見ている。仮に言及するとしても、施政方針演説などではより慎重で包括的な表現にとどめるだろうという。
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現状、自衛隊には長距離打撃能力や爆撃機などの装備が十分ではないため、当面の最優先課題は中国との正面衝突ではない。そのため、高市首相は特使を北京に派遣し、協議による安定化を模索する公算が大きいとした。

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