トップ ニュース ロヒンギャ難民支援が「資金難」で崩壊の危機 食糧配給の半減、50万人の教育機会喪失が招く負の連鎖
ロヒンギャ難民支援が「資金難」で崩壊の危機 食糧配給の半減、50万人の教育機会喪失が招く負の連鎖 国際支援の縮小と第三国定住の道が閉ざされる中、バングラデシュとマレーシア双方でロヒンギャ難民の生存権がかつてない危機に瀕している。(写真/アジア平和構築イニシアティブ提供)
アジア諸国に滞在するロヒンギャ難民を取り巻く状況が、かつてないほど急速に悪化している。聖心女子大学グローバル共生研究所の大橋正明招聘研究員による最新の報告によると、国連を中心とした多国籍支援体制が深刻な資金不足により岐路に立たされており、避難先であるバングラデシュやマレーシアで難民の生活基盤が崩壊しつつある現状が浮き彫りになった。
削られる食糧と教育 キャンプ内の治安悪化を懸念 バングラデシュの難民キャンプでは、国連世界食糧計画(WFP)が2025年3月、深刻な資金不足を理由に1人当たりの食糧配給額を月額12.50ドルから6ドル(約1900円から約900円)へと半減させると発表した。その後、米国政府による7300万ドルの緊急支援により一時的に月額12ドル(約1800円)まで回復したものの、支援資金の総額は依然として不足しており、近いうちに再度の減額が懸念されている。
また、国連児童基金(ユニセフ)も資金難から、同年6月に数千カ所の学習センターの運営を停止した。これにより、約50万人の子どもたちが就学の機会を奪われ、数千人の教員が職を失う事態となり、キャンプ内では児童労働や児童婚の増加、治安悪化が報告されている。
止まらない流入と、国際社会の足並みの乱れ こうした支援縮小の一方で、ミャンマー国内の紛争激化に伴い新たな難民の流入は止まらない。2024年初頭から2025年7月までの約18カ月間で、ミャンマー・ラカイン州での国軍とアラカン軍の衝突や強制徴兵を逃れ、約15万人のロヒンギャが新たにバングラデシュへ逃れた。8月にはラカイン州マウンドー郡で避難中の民間人がドローン攻撃を受け、少なくとも200人が死亡したとされる事件も発生している。バングラデシュ政府は国連会議の場で、ミャンマーへの帰還以外に平和的選択肢はないと国際社会に訴えているが、中国が二国間対話を重視する一方、日本は人道支援の実績を強調しつつ暴力停止を求めるなど、各国の足並みは揃っていない。
「希望の地」マレーシアでも高まる滞在リスク また、ロヒンギャ難民の主要な国外逃避先であるマレーシア(クアラルンプール等)の状況も変化している。マレーシアは難民条約に加盟していないものの、労働力不足を背景に難民の労働を事実上黙認しており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の証明書があれば一定の社会生活が可能であった。
しかし、UNHCRクアラルンプール事務所の大幅な予算・人員削減により難民認定手続きが長期化しているほか、これまで毎年数千人を受け入れていた米国が今年から第三国定住の受け入れを中止したとの情報もあり、難民にとっての「希望の地」としての機能が失われつつある。現地では「マレーシア・ロヒンギャ協会(RSM)」などのNGOが医療や身元確認の支援を行っているが、国際的な支援網の弱体化は避けられない情勢だ。
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