ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に突入する中、ロシア軍内部の「闇」が次々と明るみに出ている。AP通信の最新の調査報道は、戦場での深刻な兵員不足を補うため、ロシアが海外で地下人材ネットワークを駆使している実態を暴いた。情報の非対称性や高額報酬を餌に、バングラデシュなどの南アジア諸国から労働者を騙してロシアへ呼び寄せ、ウクライナの戦場へと送り込んでいるという。彼らは志願した傭兵でも正規兵でもなく、欺かれた労働者たちだ。
AP通信の調査によると、数十人のバングラデシュ人労働者が「民間業務」という名目と、高給や手厚い福利厚生の約束に釣られ、ロシアへ渡航した。しかし現地到着後、彼らは本人の意思に反してウクライナ戦線に投入された。取材に応じた被害者らは、戦闘を拒否すれば暴行や監禁、さらには殺害の脅迫を受けたと証言している。
An Associated Press investigation found that Bangladeshi workers were lured to Russia by the false promise of civilian jobs and thrust onto the battlefield in the Ukraine war.https://t.co/Vl7x1A9MPt
— The Associated Press (@AP)January 27, 2026
「清掃員」のはずが「軍事契約」 言葉の壁を悪用
AP通信は、ロシア軍から逃げ出すことに成功した3人のバングラデシュ人男性に取材を行った。その一人、マクスドゥル・ラフマン氏の証言によると、彼は人材仲介業者に説得され、温暖な故郷バングラデシュを離れ、極寒のロシアで「清掃員」として働くために長旅に出たという。

モスクワ到着後、ラフマン氏は同郷の労働者たちと共にロシア語の書類への署名を強要された。後に知らされた事実だが、その書類の内容は軍務契約書、つまり事実上の志願兵契約だった。署名後、彼らは軍事キャンプへ送られ、ドローン操作や戦場での医療搬送、重火器の扱いなどの軍事訓練を受けさせられた。
訓練期間中、ラフマン氏は「約束していた仕事内容と全く違う」と何度も抗議した。しかし、ロシア軍の指揮官は翻訳アプリを使い、冷淡にこう告げたという。「仲介業者がお前をここに送った。我々は金でお前を買ったのだ」
「人間の盾」として最前線へ、拒否すれば暴行
戦場から脱出した他の3人のバングラデシュ人男性の証言によると、訓練後は「最も危険な」最前線任務を命じられた。ロシア軍部隊の前進ルートの先導、弾薬や物資の運搬、負傷兵の撤退支援、戦死者の遺体回収などだ。これらは激しく状況が変化する戦場において、極めて攻撃を受けやすい役割である。取材に応じた3人以外にも、現在連絡が取れなくなっている3人のバングラデシュ人男性の家族が、同様の内容のメッセージを受け取っていたことを認めている。
ラフマン氏は、命令を公然と拒否した際、将校から「軍事法廷に送り、10年の懲役刑にする」と脅されたと語る。「なぜ働かない?何を泣いているんだ?」と怒鳴りつけられ、軍靴で彼や仲間たちを蹴り続ける暴行も受けたという。
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戦場を逃れたラフマン氏ら取材対象者のほとんどは、手元に関連書類を保管していた。AP通信は、ロシア発行の商用ビザ、ロシア軍の服務契約書、戦傷の医療記録、警察文書などを確認した。これらの文書は、彼らが確かに労働者として入国したものの、現地で強引に軍人に仕立て上げられ、ウクライナ戦線に直接関与させられたことを裏付ける動かぬ証拠となっている。



















































