「金は払わない、欲しいのは支配権だ」トランプ氏がNATOと合意宣言、激怒するグリーンランド首相

グリーンランドのニールセン首相。(写真/AP通信提供)
グリーンランドのニールセン首相。(写真/AP通信提供)

トランプ米大統領は21日、NATO(北大西洋条約機構)との間でグリーンランドの将来に関する「枠組み合意」に達したと宣言した。しかし、この合意の当事者であるはずのグリーンランド自治政府は「詳細について何も聞かされていない」と困惑。デンマーク政府も「NATOにこの件で米国と交渉する権限はない」と強調し、デンマークおよびグリーンランドの主権を尊重するよう改めて求めた。

米国が自国の意志だけで一方的なアジェンダを推し進める現状は、国際秩序と国家主権の定義を未知の領域へと押しやりつつある。

「欲しいものは全て手に入れた」トランプ氏の主張

​トランプ氏は世界経済フォーラム(ダボス会議)での演説後、NATOのマルク・ルッテ事務総長と「究極の長期的合意(ultimate long-term deal)」の枠組みをまとめたと発表した。

FOXニュースの取材に対し、トランプ氏は以下のように語っている。 「我々は望むもの全てを手に入れた。絶対的な安全保障、全資源の完全な支配権だ。我々は任意の数の基地を持つことができ、欲しい装備を全て配備できる」

ホワイトハウスはこの「枠組み」の詳細を公表していないが、ワシントン・ポスト紙によると、初期の交渉は米軍およびNATO部隊の駐留など、軍事面に焦点が当てられているという。

「外交承認」と「関税」の取引

​トランプ氏はダボスで「武力行使は絶対にしない。欲しいのはグリーンランドの主権だ」と明言しており、今回のNATOとの合意を理由に、欧州8カ国に対する10%の懲罰的関税の発動を一時保留する決定を下した。これは、経済的な譲歩を引き換えに外交的な承認を得るという、トランプ流の取引戦略を明確に示している。交渉担当にはバンス副大統領、ルビオ国務長官、ウィトコフ特使らが指名された。

トランプ氏はさらに、「金銭は一切支払わない」と強調した。「現在、細部の交渉中だが、私は金を払う必要がない。我々は完全な使用権と軍事通行権を得る。我々がそれを望んでいるからだ」 費用が発生するのは、ミサイル防衛システム「金色のドーム(Golden Dome)」の建設費のみだという。

欧州側は「軍事侵攻の回避」と「関税撤回」に安堵しているものの、この合意には「物語の真の主人公であるグリーンランドが不在」という致命的な欠陥がある。

2026年1月21日,美國總統川普在瑞士達沃斯的世界經濟論壇發表演說。(美聯社)
2026年1月21日、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラムで演説するトランプ米大統領。(写真/AP通信提供)

グリーンランド首相の反撃「我々抜きでの合意などあり得ない」

​トランプ氏の「勝利宣言」の翌日、グリーンランドのニールセン首相は首都ヌークで記者会見を開き、既成事実化されつつある取引に対して国際法の境界線を引いた。

ニールセン氏は「その合意に具体的に何が含まれているのか私は知らない。だが、解決策を探るための高レベル作業部会が存在することは把握している」と述べ、トランプ氏の発表に驚きつつも、水面下で何らかの対話が進んでいる事実は認めた。 (関連記事: 【ダボス演説・完全要約】トランプ大統領、ダボスで70分の熱弁 グリーンランド問題や対中戦略など重要15項目まとめ 関連記事をもっと読む

格陵蘭總理尼爾森與丹麥總理佛瑞德里克森。(美聯社)
グリーンランドのニールセン自治政府首相(左)とデンマークのフレデリクセン首相。(写真/AP通信提供)

しかし、ニールセン氏は決して譲れない「レッドライン」を提示した。それは、グリーンランドの主権と領土保全の尊重、そして国際法の遵守だ。 「我々の完全性、国境、そして国際法は、誰にも越えさせてはならない絶対的な一線だ。グリーンランドとデンマーク王国以外に、取引や合意を結ぶ権利を持つ者はいない。我々抜きでは何も起こり得ない」

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