政府、外国人政策で新方針決定 「共生」に加え「秩序」を重視 税・保険料未納の審査反映や永住許可厳格化へ
政府は外国人政策において「共生」に加え「秩序」を最重要視する新方針を決定し、税未納者の在留更新不許可や永住・帰化の厳格化、土地取得規制の新法検討など、公的義務とルール遵守を徹底させる包括的な施策を打ち出した。(写真/黃信維撮影)
政府は2026年(令和8年)1月23日、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」を開催し、新たな「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を正式に決定した。
これまでの政府方針は外国人との「共生」に重きを置いていたが、今回とりまとめられた新方針では、共生のみならず「秩序」の維持を社会の土台と位置づけ、ルールを守らない外国人には厳正に対処する一方、適法に在留する外国人には受入れ環境を整備するという、政策の方向性を大きく転換した。排外主義とは明確に一線を画しつつも、表面化している社会課題に対しては毅然とした対応をとる姿勢を鮮明にした形だ。
新方針の最大の柱は、外国人の在留審査と公的義務の履行状況を厳格に紐付ける仕組みの導入である。具体的には、令和9年(2027年)3月以降、出入国在留管理庁が地方税の課税情報や国民健康保険料、国民年金保険料の納付情報を関係機関からマイナンバーを活用して直接取得する情報連携を開始する。
これにより、税や保険料の未納がある場合には、在留期間の更新や在留資格の変更を許可しないなどの厳格な対応がとられるほか、未納者への納付勧奨にも活用される。また、在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化させた「特定在留カード」の運用を令和8年6月から開始し、将来的には全ての在留外国人が原則としてこれを取得するための方策も検討される。
「永住者」や「帰化」といった、日本への定着に関わる資格の要件も大幅に見直される。永住許可については、許可後も納税などの公的義務を履行し続けているかを確認し、悪質な未納がある場合には在留資格を取り消すことが可能となるほか、許可の要件として日本語や日本の制度・ルールを学習するプログラムの受講を課すことも検討される。
帰化についても、現在の「引き続き5年以上日本に住所を有する」という要件が永住許可の「原則10年以上」よりも短いという不整合を解消するため、帰化審査においても原則として10年以上の在留を求め、「日本社会に融和していること」を厳格に審査する方向で制度の厳格化が進められる。
また、訪日外国人による医療費不払い問題に対処するため、入国審査厳格化の対象となる不払い額の基準を従来の「20万円以上」から「1万円以上」に大幅に引き下げ、対象を中長期在留者にも拡大する。不法滞在者対策では、令和9年までに護送官付き国費送還の件数を倍増させ、令和12年末までに退去強制確定者を半減させるという数値目標を掲げ、「不法滞在者ゼロ」を目指して強力に取り締まりを進める。
安全保障上の懸念がある土地取得についても、新たな法的ルールの策定に向けた動きが本格化する。政府は、重要施設周辺や国境離島等における現行の規制に加え、さらに踏み込んだ土地取得等のルールについて、諸外国の規制も参考にしながら検討を行う。
具体的には、対象者を外国人に限定するか否か、許可制や事前届出制の導入、規制対象となる土地の範囲などを含めた制度の骨格を、令和8年夏までにとりまとめる方針だ。あわせて、大都市部での外国人によるマンションの投機的取引の抑制や、地下水採取の実態把握とルール化にも取り組む。
一方で、「秩序」を守る外国人に対しては、受入れ環境の整備も進める。令和9年度から開始される「育成就労制度」を見据え、入国前の現地での日本語教育支援を強化するとともに、子供の教育に関しては、就学前の初期支援として「プレスクール(仮称)」の導入を検討し、令和9年度からの抜本的強化を目指す。また、外国人留学生の在籍管理が不適切な大学等を公表し、改善が見られない場合は新規受入れを認めない措置を講じるなど、教育機関の質も厳しく問う方針だ。
今回の決定に関し、内閣府の鈴木隼人副大臣(自民党、東京10区)は自身のX(旧ツイッター)で、「政府の外国人政策に関する方針を決定しました。従来策定していた方針は、外国人との『共生』の色合いが強く出ていましたが、今回新たにとりまとめた方針では『秩序』も非常に重視しています」と説明した。
鈴木氏は「排外主義とは一線を画しますが、社会課題には毅然と対応します」とした上で、税・保険料未納情報の審査反映や永住許可の厳格化などに言及。「大きな課題ほど、検討に時間を要します。このため、今回の方針には明確な解決策をお示しできていない部分もあります。しかし、私が外国人政策の担当である限り、課題は徹底的に解決していく決意で臨んでいます。少し長い目で見て応援頂ければと思います」と述べ、国民に理解を求めた。
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