トップ ニュース 呂紹煒コラム:中国の出生数、わずか7年で「半減」の衝撃 台湾・香港も過去最低、「断層的」な少子化が現実に
呂紹煒コラム:中国の出生数、わずか7年で「半減」の衝撃 台湾・香港も過去最低、「断層的」な少子化が現実に 中国の人口危機が悪化、10年足らずで新生児数が半減。(資料写真/AP通信)
今週、中国が発表した人口統計は衝撃的だった。10年足らずの間に、新生児の数が文字通り「半減」してしまったのだ。
各国が相次いで昨年の人口統計を発表しているが、台湾、そして東アジア全域にとって、かつてない規模の「人口危機」が浮き彫りとなっている。この危機が長期的な国際政治のパワーバランスや地政学的な競争に与える影響は、他のあらゆる要因よりも甚大になる恐れがある。中国が目指す「富裕国入り」や「大国としての台頭」という期待さえも、根底から揺らぎかねない。
台湾・香港・中国、軒並み過去最低を記録 台湾内政部が1月上旬に発表した統計によると、昨年の出生数はわずか10万7000人にとどまった。香港も同様に3万2000人を割り込んでいる。しかし、より深刻で衝撃的なのは中国の状況だ。昨年の年間出生数は792万人と、前年の954万人を下回り、1949年の建国以来、最低記録を更新した。
中・港・台のいずれもが、統計開始以来の過去最低を記録している。韓国とシンガポールは数年前の底打ちから脱したように見えるものの、出生率と出生数は依然として低水準で推移しており、少子化と人口減少の「先進国」である日本については言うまでもない。
「断層的」な減少、予測より早い危機の到来 視覚的なイメージで言えば、東アジア全体が少子化、高齢化、そして人口減少という一本の道を歩んでいる。しかも数字を見る限り、それは緩やかな坂道ではなく、ほぼ「断層的」な急落である。これは、人口危機が当初の予測よりも遥かに早く到来することを意味している。
台湾を例に見ると、2021年以前の年間出生数は少なくとも15万〜20万人の間を維持していた(2020年は16.5万人)。2022年以降の3年間は13万人台まで落ち込み、ここが「底」だと思われていたが、蓋を開けてみれば昨年はまさかの10万7000人という数字だった。香港の状況も酷似しており、2020年には4.3万人いた新生児が、昨年は3.2万人未満にまで減少している。
わずか6年の間に、台湾の出生数は34.7%、香港は26.2%減少したことになる。これはまさに「崖から落ちる」ような急減だが、それでも中国の減少スピードには及ばない。
中国、7〜8年で出生数が「半減」の衝撃 さらに時間を遡って見れば、その減少ぶりは驚愕に値する。2018年の出生数は1523万人、2017年は1723万人であった。概算すれば、それ以前の中国は毎年1600万人以上の新生児を維持していたのだ。 つまり、中国の出生数はわずか7〜8年の間に、1500万〜1600万人という水準から800万人割れへと「半減」したことになる。
中国から「アジア四小龍」、そして日本に至るまで、東アジアの人口動態は同じ景色を見せている。合計特殊出生率は1.0前後という世界最低水準に落ち込んでいるが、人口置換水準(世代交代に必要な数値)である2.1には遠く及ばない。東アジア諸国は今、少子化、高齢化、人口減少という三重苦の中にあり、総体として巨大な「人口危機」に直面しているのである。
人口こそが「国力」の源泉 ロシア、中国、そしてインド 人口危機がもたらす影響は広範に及ぶ。ミクロな視点では学生不足による学校の倒産や経済成長の停滞、マクロな視点では総合的な国力の低下、さらには地政学的なパワーゲームの勝敗を直接決定づける要因にさえなり得る。
かつてソビエト連邦が崩壊した後、ロシアが米国に対抗しうる力を失った主因の一つは、人口が半分に激減したことにある。一方で、現在のロシアによるウクライナ侵攻における優位性の一部は、ウクライナの数倍に及ぶ人口規模に支えられていることも事実だ。 専門家が中国の長期的経済見通しを懸念する際、最大の要因として挙げるのは政策リスクではない。政策はいつでも変更可能だからだ。真の懸念材料は「豊かになる前に老いる」という、急速に悪化する人口構造にある。
対照的に、インド経済が中国を追い上げると予測される根拠もまた人口にある。インドの人口構造は中国よりも健全で若く、現在も増加を続けているからだ。同様に、今年のアフリカ経済の成長率がアジアを上回ると予測されるのも、アフリカの若く増加し続ける人口ボーナスが主な要因である。
「聖戦士」も不足する時代 自衛隊の募兵難が示す未来 日本の軍事力が長期的に悲観視される主な理由の一つも、深刻な人員不足にある。例えば2023年度、自衛隊は2万人の採用を計画していたが、実際の採用数は1万人にも満たなかった。人口学者はこう予言する。「出生率の低下が進めば、『聖戦士(ジハード)』を見つけることさえ困難になる。人口高齢化は逆説的に、世界を『より平和』にするかもしれない……」。人口危機の影響は、まさに至る所に現れているのだ。
欧米とは異なる「超高速」の人口転換 経済発展、教育水準の向上、そして女性の権利拡大。これらの成功体験を経た国は、すべからく「乳幼児死亡率の大幅な低下」「平均寿命の延伸」、そして「出生率の減少」というプロセスを辿る。長期的には少子化、高齢化、そして人口減少へと向かう道だ。 欧米先進国もこの道を歩んできたが、東アジア諸国ほど短期間に、これほど劇的な人口構造の変化と危機に見舞われた例はない。欧米の出生率が依然として1.6前後を維持しているのに対し、東アジアは軒並み1.0前後に低迷している。
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人口危機に陥ったすべての国が、ありとあらゆる少子化対策を講じてきた。しかし、満足のいく成果を上げた国も政策も、歴史上一つとして存在しない。せいぜい出生率を底値から「コンマ数パーセント」押し上げるのが関の山であり、統計学的に言えば「有意な効果」は見られないのが現実だ。
『成長の限界』から『空っぽの地球』へ 半世紀前、世界に衝撃を与えたのはローマクラブの『成長の限界』や『人口爆発』といった、人口過剰を懸念する予言の書だった。しかし現在、その懸念は完全に逆転し、人口減少への恐怖が語られている。『Empty Planet: The Shock of Global Population Decline』(仮訳:空っぽの地球)や『最後の人口論』などの書籍が示す通り、少子化や人口減少はもはや政策で大きく変えることは困難だというのが共通認識となりつつある。
したがって、台湾や中国を含む「東アジアの人口危機」は、もはや後戻りできない「不可逆的な道(ポイント・オブ・ノーリターン)」と言えるだろう。違いは、その道を歩む速度が速いか遅いかだけだ。かつての高出生率時代に戻ることは不可能に近い。 このトレンドは今後、あらゆる分野に波及していく。政府、企業、そして投資家は、この確定した未来がもたらす影響を直視し、対策を講じるか、あるいはその中から新たな利益の源泉を見出す必要があるだろう。
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