世界のモバイル通信機器市場は、劇的なパラダイムシフトの渦中にある。2025年末、日本の大手NECは4Gおよび5G無線基地局のハードウェア開発を停止し、防衛産業、ソフトウェア、そして次世代の6G技術へ注力すると発表した。この動きは業界に衝撃を与えただけでなく、従来の基地局市場が「勝者総取り(Winner-takes-all)」のレッドオーシャンに突入したことを浮き彫りにした。
「3強」が支配する基地局市場、日本勢の戦略的撤退
国泰先物(キャセイ・フューチャーズ)の分析によれば、現在、ファーウェイ(Huawei)、エリクソン(Ericsson)、ノキア(Nokia)の「3強」が世界の基地局市場の約80%を掌握している。対照的に、NECと富士通の日本勢2社のシェアは合計でも2%に満たないのが現状だ。
中国系メーカーに対するコスト競争力の欠如、そして欧州勢に対する技術規格のアップグレード速度の遅れ——。こうした厳しい現実を前に、日本勢は「戦略的撤退」を選択し、研究開発資金をより付加価値の高い6G製品や防衛通信分野へと集中させている。
世界のFWA機器、その大半が「メイド・イン・台湾」
局側の基地局(RAN)設備が寡占化する一方で、加入者宅内機器(CPE)および固定無線アクセス(FWA)市場は爆発的な成長を見せている。エリクソンの予測によると、世界のFWA接続数は2031年までに3億5000万回線に達し、年平均成長率(CAGR)は26%という高水準を維持する見通しだ。これこそが、台湾のネットワーク機器メーカーが実力を発揮する主要な舞台となっている。
「台湾メーカーのCPEとFWA分野におけるパフォーマンスは、我々の誇りです」。業界アナリストの周大企氏はそう強調する。「世界のFWA機器の大部分は、実は台湾で製造されています」。これは、台湾が通信サプライチェーンにおいて、かつての単なる「部品サプライヤー」から、ハイエンドな「最終端末機器のリーダー」へと進化を遂げたことを証明している。

6G・AI-RAN時代、台湾の勝機は「計算力」と「統合力」
6GとAI-RAN(AI活用型無線アクセスネットワーク)時代を展望すると、台湾メーカーの勝機は「プログラマブル・ネットワーク」と「ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)」にある。ネットワークアーキテクチャがソフトウェア定義(SDN)へと移行する中、半導体、サーバー、熱対策(サーマルマネジメント)の分野で強みを持つ台湾企業は、AI-RANのエコシステムにおいて重要な役割を担うことになるだろう。
今回の通信市場の再編劇は、台湾にとって産業構造の転換とアップグレードを図る絶好の好機である。NECなどの日本勢がハードウェア製造から退く一方で、台湾メーカーはその優れた柔軟性と完結した電子産業サプライチェーンを武器に、「端末製造」から「システムインテグレーション」へと領域を拡大し、世界の6Gビジョンを支える「隠れたチャンピオン(Hidden Champions)」となりつつある。
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編集:柄澤南 (関連記事: 【6G競争の幕開け】「スターリンク」が標準装備へ 低軌道衛星とモバイル通信の融合時代が到来 | 関連記事をもっと読む )

















































