トップ ニュース 【解説】高市首相、乾坤一擲の冒頭解散 裏金封じと自公決裂、自民党に迫る「最難関」の決戦
【解説】高市首相、乾坤一擲の冒頭解散 裏金封じと自公決裂、自民党に迫る「最難関」の決戦 裏金追及封じを狙った高市首相の「冒頭解散」という大博打は、公明・立憲による歴史的な「中道連合」結成と維新の奇策を誘発し、自民党政権を存亡の危機へと追い込んでいる。(写真/黃信維撮影)
2026年の政界は、年明け早々から激震に見舞われた。高市早苗首相が1月23日の通常国会召集日に衆議院を解散する方針を固めたのだ。永田町を襲ったこの「1月のサプライズ(January Surprise)」は、単なる総選挙の幕開けではなく、日本政治の構造そのものを塗り替える地殻変動を意味する。
高市首相は自身の高支持率と「保守大結集」のムードを追い風に、電撃戦での政権基盤固めを狙う。対する野党勢力も、大阪維新の会による首長辞職・出直し選に加え、立憲民主党と公明党による衝撃的な「中道改革連合」の結成で対抗。2月8日の投開票日に向けた熾烈な陣取り合戦が始まった。
かつて自民党の「下駄の雪」とも称され、長年の連立パートナーであった公明党が、このタイミングで最大野党・立憲民主党と手を組んだ事実は重い。かつての新進党時代を彷彿とさせる、あるいはそれ以上の再編劇だ。石破茂前政権までは維持されていた自公の絆は、右派色の強い高市政権の誕生と共に断ち切られ、野党側はなりふり構わぬ合従連衡で自民党包囲網を敷いている。
狙いは「裏金隠し」 高市流・先手必勝の賭け 高市首相が選択した「通常国会冒頭解散」の戦略的意図は明白だ。野党側は、予算委員会で自民党の「裏金事件」――旧安倍派の還流問題や旧統一教会問題を徹底的に追及する構えを見せていた。内閣はこれを「先手必勝」で封じる道を選んだのである。解散によって国会論戦を技術的に回避し、争点を自身の得意とする安全保障や憲法改正に強制的に設定する狙いがある。従来の「自公連立」から、是々非々で連携する「自維(自民・維新)連携」へのシフトを鮮明にし、国際情勢が緊迫する中での「強いリーダーシップ」を国民に問う構えだ。
自民党にとっては、スキャンダルの影を払拭し、首相個人の資質と岩盤保守層の動員で現状を「強行突破」しようとする、まさに乾坤一擲(けんこんいってき)の賭けである。高市内閣の支持率は高いものの、自民党政党支持率はその半分程度に留まる。「高市人気」がどれだけ党勢回復に転換されるかは未知数だ。成功すれば長期政権への道が開けるが、失敗すれば即退陣もあり得るハイリスクな決断である。
保守右派 vs 中道改革派、「公明票」の行方が勝敗のカギ 野党側の反撃も想定を超えている。立憲民主党と公明党による「中道改革連合」の結成は、自民党の足元を揺るがす特大の爆弾だ。創価学会を支持母体に持つ公明党が、衆院選レベルで最大野党と組むことは、自民党の右傾化路線への忌避感と、党勢衰退への強烈な危機感の表れである。「左でも右でもない」を標榜し、食料品の消費税ゼロなどを掲げる新勢力は、自民党の金権体質に呆れつつも、急進左派には同調できない無党派・中間層の受け皿を狙う。
これにより、かつての鉄板とされた「自公選挙協力」は完全に崩壊した。選挙戦は従来の与野党対決から、「保守右派(自民・維新の一部)」対「中道改革派(立憲・公明)」という路線対立へと変貌を遂げた。高市首相は記者会見で説明に追われることになるだろうが、 メディアの試算によれば衝撃的な数字が出ている。これまで接戦区で自民候補を支えてきた数万の「公明票」が、そのまま立憲候補に流れた場合、単純計算で自民党は「50議席」規模で逆転敗北を喫する可能性があるのだ。
維新は「都構想」再挑戦で背水の陣 関西でも政治の奔流が止まらない。大阪維新の会の吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長が辞職願を提出し、出直し選に打って出たのは、党存亡をかけた「背水の陣」である。衆院選に知事選・市長選をぶつける「トリプル選挙」の相乗効果で、本拠地・大阪での集票を極限まで高める狙いがある。吉村氏は過去の公約を翻してでも「大阪都構想」への3度目の挑戦を掲げた。これは、高市政権との連携カード(自維連携)であると同時に、中央集権に対抗する大阪の政治的アイデンティティの再確認であり、全国展開が停滞する維新が関西の牙城を死守するための最終防衛ラインでもある。
風雲急を告げる2026年の総選挙。これは単なる政権選択選挙ではない。国家の針路、野党再編の行方、そして地方自治の未来を巻き込んだ総力戦である。さらに政府は23日、保守層への回帰を鮮明にする新たな外国人政策を発表する見通しだ。
2025年参院選で「日本優先」を掲げ躍進した参政党などの動きを意識し、在留資格要件の厳格化など排外的な世論に配慮した内容が含まれるとされる。
「開国」か「鎖国」か、「右」か「中道」か。超短期決戦の結末は、神のみぞ知るところである。
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