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「ガラスの天井」を破った高市早苗氏 女権の旗手か、自民党の傀儡か 上野千鶴子が「期待しない」と語る理由 高市早苗氏の自民党総裁選のキャンペーン宣伝。(画像/高市早苗フェイスブックより)
日本は職場でも政治でも女性が長らく周縁化されてきた。だが、自民党と日本維新の会が「閣外協力」で一致したことで、21日の特別国会では史上初の女性首相・高市早苗氏の選出が見込まれている。保守陣営の「鉄の女」を偶像視する向きがある一方で、女性の権利をめぐっては賛否が交錯。社会学者の上野千鶴子氏は、高市政権が日本女性を縛ってきた政策を温存しかねないと懸念を示し、政敵は党内の重鎮による「傀儡」、いわば大物派閥の「花嫁」だと批判する声もある。
一方で、多くの日本の女性は、高市氏が「強い女性リーダー」の像を定着させ、保育サービス拡充など家族に寄り添う政策を前に進めることに期待を寄せる。大妻女子大学の学生、皆川光さん(19)はニューヨーク・タイムズ に「日本では初めてのこと。女性が政治家や議員になりやすくなり、自信を持って政治の世界に踏み出せるようにしてほしい。高市さんは強くてクール」と語った。
名古屋大学で政治学とジェンダーを研究する武田宏子教授は日本経済新聞 に、高市氏の登場は国際評価の向上につながると指摘。世界経済フォーラム(WEF)の「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」には「過去50年の女性国家元首在任比率」という指標があり、女性首相の誕生は日本がこの分野で存在感を示すうえで有益だという。現実に女性トップが生まれれば、「ロールモデル効果」も期待できる。
性の視点が残す謎 非典型の女性リーダー像 ただし、ニューヨーク・タイムズは高市氏のジェンダー観は複雑で、本人も自らをフェミニストとは位置づけていないと指摘する。サッチャー元英首相やメローニ伊首相など保守系の女性指導者と同様、高市氏の政策の一部は批判者には女性の権利を後退させるものに映る。たとえば夫婦同姓を義務づける百年前の枠組みの見直しに反対し、皇室の男系継承の維持を支持してきた。
こうした立場から、研究者やアクティビスト、政治家の間では「高市政権下でも日本の女性の置かれた状況は実質的に変わらないのでは」との懸念が根強い。若者団体「No Youth No Japan」を立ち上げた能條桃子氏は毎日新聞 に、「選出自体は非常に象徴的だが、自民党の幹部や有権者の保守的なイデオロギーを踏まえると、女性の状況が好転するとは思えない」と語る。「彼女は“最初の一歩”を踏み出した女性ではあるが、男女平等を阻むことでその地位に到達した。大きな前進を実証することはないだろう」とも述べた。
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武田教授も高市氏のキャリアを振り返り、野田聖子氏(2021年の総裁選で高市氏とともに出馬、最終的に岸田文雄氏に敗北)のように、超党派で女性議員の比率を引き上げる運動を主導してきたタイプではないと強調。むしろ男性が圧倒的多数を占める自民党の派閥政治の中で、「わきまえる」(状況を読み、道を選ぶ)という生存の知恵を発揮してきたとみる。組織の不文律に合わせ、折り合いをつけることで、複雑に張り巡らされた男性中心の権力ネットワークを上り詰めてきた、という評価だ。
冷たい数字に隠れたジェンダー格差 G7最下位の現実 ニューヨーク・タイムズは、日本が女性に政治的権力を付与する点で、長らく他の民主主義国に後れを取っていると指摘する。各国議会同盟(Inter-Parliamentary Union)の統計では、2025年9月時点で衆院に占める女性議員は約16%、183か国中141位。2024年には女性議員が過去最多の73人に達したものの、政府上層での女性比率はなお低く、現内閣の女性閣僚は阿部俊子文科相と三原じゅん子こども政策担当相の2人にとどまる。
ビジネスの現場でも、女性の就業率は米国を含む先進国の多くを上回る一方、ポジションは相対的に低位に集中。帝国データバンクが約2万社を調べたところ、経営陣が全員男性 の企業が過半を占めた。世界経済フォーラム(WEF)の2025年版「ジェンダー・ギャップ報告書」で日本は148か国中118位。政治分野の大きな遅れが順位を押し下げている。
こうした背景で、高市早苗氏が打ち出してきた「極端なワークホリック」像、「ワークライフバランスは捨て、仕事・仕事・仕事でいく」との有名な言い切りには批判も向く。長時間労働や深夜接待など、日本の政治・経済界に根深い過重労働文化こそが女性の昇進を阻む要因であり、家事・育児の負担が依然として女性側に偏っているからだ。
「ガラスの天井は割れていない、ただ虫食いが出ただけ」 高市氏の登場はジェンダー平等の前進か、それとも自民党が変化を装う方便か。上智大学の三浦麻里教授はニューヨーク・タイムズに「ガラスの天井は壊れていない。わずかに虫食いができた程度」と語る。自民党が連敗と長年の主要同盟者の喪失を経て、変化への渇望を映したに過ぎず、必ずしもジェンダー平等への本気度を示すわけではない。この見立ては、東京大学名誉教授の上野千鶴子氏とも重なる。 毎日新聞のインタビュー で「女性参政の成果なのか」と問われた上野氏は明確に否定。5日に発信したSNS投稿も大きな反響を呼んだ。「『女性であること』それ自体が評価される時代は終わった。そこから女性に有利な政治が生まれると期待すべきではない」と断じたのである。
上野氏は、日本の女性の脆弱な立場は賃金と雇用の格差に如実に表れると指摘。「低賃金と不安定就業は、極めて明確な人災だ」。1986年の男女雇用機会均等法は結果として女性内部の分断を生み、「男性並みに働く」か「子を持って家計補助的に働くか」の二者択一に追い込んだという。さらに、男性主導の組織で上を目指す女性は「男性以上に男性的」に振る舞う生存戦略を強いられ、その結果「男性の利益を守る女性」という“指定席”に座らされる――高市氏や、選択的夫婦別姓に反対し外国人に厳格な立場で知られる杉田水脈氏は、その典型だと評する。
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戦後80年を振り返り、上野氏は女性参政権が政治の中身を変えきれなかったと嘆く。女性票は長く「家の票」の一部と見なされ、自民一強を下支えしてきた。1989年、社会党の土井たか子氏が率いた「マドンナ旋風」で女性候補が大量当選して以降、女性は「個」として投じ始めたが、その後の安倍政権期にはジェンダー平等への強い反発も顕在化。選択的夫婦別姓をめぐる民法改正は今も棚ざらしのままだ。
それでも上野氏は、政治の改革は遅いがフェミニズムは社会を静かに変えてきたと強調する。象徴的な成果の一つが、家事を無償労働として再定義したことだ。「かつて主婦は『衣食住を与えられ、昼寝もできる』などと揶揄されたが、それは冗談ではなく無償労働にほかならない」。この考えは半世紀かけて浸透し、その象徴が2016年のTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の大ヒットだという。主演の新垣結衣さん演じるキャラクターが、結婚後の家事を「愛の搾取」と言い切る台詞は、社会の神経を確かに捉えた。
なぜ女性政策を前面に? 5人推薦と「北欧並み」閣僚比率の狙い 女性課題に積極的ではなかった高市早苗氏が、総裁選で突如「女性推薦人5人」を強調し、就任後は「北欧に匹敵する」女性比率の閣僚名簿を掲げたのはなぜか。武田宏子氏は、その背景に冷徹な戦略計算を見る。いまや「日本はジェンダー後進国」という認識が社会に広く浸透する中、「女性」を掲げること自体が正当性を帯び、男性候補との差別化に有効な“売り”になるからだ。ただし公約を精査すると、高市氏の言う「女性登用」は党幹部や閣僚ポストに偏っており、支援した女性議員への論功行賞の色彩が濃い。女性参政の裾野を広げる構想とは言い難い。
武田氏は言い切る。「自民党の本当の課題は、女性議員が増えないという構造問題です」。第5次男女共同参画基本計画は「2025年までに女性候補比率35%」を掲げるが、実際は2025年参院選で21.5%、2024年衆院選では16.1%にとどまった。長い歴史と既得権が積み上がった自民党の権力機構は硬直しており、女性や若者といった“新しい型”の候補が抜てきされにくい。高市氏も、この根本障害に対する具体的な改革像は乏しいままだ。
「要は、政治家になる前段階で巨大なハードルがあるということ。乗り越えるのはだ――そう聞こえます。ひとりの女性リーダーが誕生しても、それが女性全体の地位向上に直結するとは限りません」。武田氏は、高市氏の登場が一時的な“ロールモデル効果”を生んでも、日本の制度的差別の深層を覆い隠す危うさを懸念する。
2021年、2024年と総裁選に敗れながらも、ついに頂点へ。内閣の女性比率は“北欧水準”(約50%)を目指すとし、更年期の自身の経験を公に語って「日本は更年期の女性支援を厚くすべきだ」と訴えた。一方でクオータ制は退け、「女性であることだけを理由に登用しない」と強調。掲げる数値目標と、選抜哲学のあいだに生じるねじれは、今後の政策運営に不確実性を残す。
性の霧を抜けるには 指導者像のアップデート 同時に、世界のリーダー像は変わりつつある。対立を演説で圧倒する強圧型から、利害の錯綜する社会に即した「傾聴・調整・合意形成」型へ。これは伝統的に“フェミニン”と見なされがちな資質だが、むしろ現代では価値を増す。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン元首相が、クライストチャーチ銃乱射の現場でヒジャブをまとい、コミュニティに寄り添った姿は「共感のリーダーシップ」を象徴した。
武田氏は核心をこう置く。こうしたリーダーシップを体現するのが女性とは限らず、女性政治家が必ず女性に有利な政策を推す保証もない。「肝心なのは、政治家の内側に多様性があることを直視し、その人物が最終的に誰の利益を代表しているのかを見極めること」です。女性政治家なら“女性の声を強く代弁するはず”という直感自体、固定観念に過ぎない。高市氏が思い切ったジェンダー改革を打ち出せなければ、「日本初の女性首相」という象徴は空回りしかねず、脆弱な立場の女性にとって“美しい誤解”に終わる恐れがある。高市氏の旧知でもある立憲民主党の辻元清美氏は、「女性だからと特定の政策を求めるのは公平ではない。自民党全体が責任を負うべきだ」と釘を刺す。
過去の主張を振り返れば、高市氏は性別政策で一層の努力が求められる。象徴的なのが選択的夫婦別姓への強い反対だ。旧姓の通称使用の拡大で対応すべきとの立場だが、日本では結婚後女性の96%が夫姓を名乗る現実がある。証明書や銀行口座、職場名義の変更は事務負担を増やし、個人識別の抹消にもつながる。武田氏は率直だ。「改姓で女性が被る不便を本当に理解していれば、改姓しない選択を否定するのは難しいはずです」。
高市氏の政治スペクトラムは、自民党内でも右派保守に位置づけられる。故・安倍晋三氏との強い結びつきと、そのレガシー継承への自負は、「日本を再び強く」というナショナルな語りに表れる。すなわち彼女は、党内で最も伝統的で保守的な力を体現する側だ。ゆえに「初の女性首相」に喝采が送られる時こそ問われるべきだろう。彼女のイデオロギーは誰の利益を代弁するのか。 それは父権的構造を穿つ歴史的一撃か、それとも百年政党の保守的装置に“見栄えのよい紋章”を一枚貼り付けただけなのか。
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