「高市取引」で株価史上最高4万9千円突破 なぜ庶民の生活は豊かにならないのか?

2025-10-21 10:20
2025年10月20日、日経225指数が強力な終値を記録し、49185.50ポイントの史上最高値を達成。(写真/AP通信提供)
2025年10月20日、日経225指数が強力な終値を記録し、49185.50ポイントの史上最高値を達成。(写真/AP通信提供)
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日本メディアは20日夕方、一斉に速報を流した。自由民主党と日本維新の会がついに政治協定に正式署名したためである。自民党が維新の会の三つの「絶対条件」を受け入れることで、維新の会は21日の首相指名選挙で高市早苗氏を支持する方針を固めた。これにより、日本初の女性首相誕生は確実となった。

「高市取引」と呼ばれる政治的合意の報道が広がる中、株式市場は20日午前の段階で熱狂に包まれていた。日経平均株価は一気に過去最高の4万9185.5円を突破し、投資家の間に祝賀ムードが広がった。

一方、こうした市場の高揚感とは対照的に、《毎日新聞》はこの日に一つの素朴で本質的な疑問を投げかけた。「株価がこれほど急騰しているのに、なぜ庶民の暮らしは依然として苦しいのか」という問いである。

《毎日新聞》によると、株式市場には依然として変動があるものの、日経平均株価は難なく4万5000円の大台を突破し、8月以降は過去最高値を次々と更新している。まるで昭和末期のバブル経済の再来を思わせる光景である。しかし、取引フロアのモニターが真っ赤に染まる一方で、庶民の表情には笑顔はなく、生活に漂う「不景気感」も一向に改善されていない。

第一生命経済研究所の首席エコノミストである藤代宏一氏は、現在の株高を「中身のないバブル」とは見ていない。1980年代の株価バブルと比較しても、現在の日本経済は企業の収益力に裏打ちされた強さを持っていると分析する。

藤代氏は株価の妥当性を測る指標である株価収益率(PER)に着目し、現状がバブルとは言えない理由を説明する。PERとは、企業の株価が1株当たりの利益(EPS=Earnings Per Share)の何倍であるかを示すもので、この倍率が高いほど株価と実態収益の乖離が大きくなる。藤代氏は「バブル経済期には日経平均構成銘柄のPERは50〜60倍に達していたが、現在はおよそ20倍前後にとどまっている。この数値から見ても、現在の株価はバブル期よりはるかに健全で合理的な水準にある」と指摘している。

なぜ日経平均株価が好調でも、日本の一般市民には実感がないのか?

株式市場が比較的健全な動きを見せているにもかかわらず、多くの国民が「経済の寒冬」を肌で感じているのはなぜか。第一生命経済研究所の首席エコノミストである藤代宏一氏は、その核心に「日経平均株価の構成銘柄の特性」があると指摘する。

日経平均を構成する225社の大半は、ファーストリテイリング(ユニクロの親会社)、ソニーグループ、三菱商事など、日本が誇るグローバル企業である。これらの企業は利益の半分以上を海外市場で稼いでいる。たとえば自動車産業では、日本国内の年間販売台数が約500万台に対し、米国市場は1500万台、中国市場は3000万台に達する。企業業績が好調でも、その利益が国内の景気実感に直結しない構造がここにある。

実際、2020年10月16日時点の日経平均株価2万3410円は、5年後には4万8277円と倍以上に上昇している。しかし、この上昇の恩恵を実感できるのは株式を保有している投資家に限られる。5年前に株を買わなかった人々にとって、この企業好況は「他人事」でしかない。さらに厳しい現実として、インフレが続くなかで長らく信じられてきた「現金こそ安全資産」という価値観が大きく揺らいでいる。

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