トップ ニュース 日本家屋を活かして再生 台湾・桃園文学館オープン 旧市街を歩き、百年の文学時空をめぐる
日本家屋を活かして再生 台湾・桃園文学館オープン 旧市街を歩き、百年の文学時空をめぐる 台湾桃園旧市街・忠孝街に「桃園文学館」が正式オープン。張善政・桃園市長(中央)は「地元文学の奥行きを感じてほしい」と来館を呼びかけた。(写真/桃園市政府提供)
台湾で桃園文学館が正式開館した。桃園旧市街・忠孝街に立地する新たな文化ランドマークは、文学の精神と建築美を融合させ、街にやわらかな文化のエネルギーを注ぐ拠点だ。文字・映像・記憶が交錯する空間で、魅力的な「文学の旅」が始まる。
百年をつなぐ、桃園文学の時空へ 歴史的景観が残る旧市街に位置する桃園文学館は、景福宮や東門国小、周辺の芸術文化施設にも近く、旧市街文化を結ぶ要の存在。本館は「書籍」をデザインコンセプトに据え、温もりある日本家屋「讀食小屋」とともに、過去と未来を載せる“文学の交差点”を体現する。
外観は日本家屋の要素と現代的デザインを融合。旧宿舎群を再生し、地域文学と多文化交流のハブとして機能する。(写真/桃園市政府提供)
館内に足を踏み入れると、まずは光が差し込む広い1階エントランスが来館者を迎える。隣接するサービスカウンターと「小聚書店」には、選りすぐりの文学書や文創アイテムが並び、地元の独立書店・作家と連携した企画展も定期開催。日常にそっと“文学の香り”を広げていく。
明るく開放的な館内は、市民が“書香”に親しむ新たなランドマークに。(写真/桃園市政府提供)
2階の常設展「文学、ここに逗留(とど)まる」は、来館者を百年の桃園文学へ誘う。展示は「点・線・面・景」という構成で、地域文学の系譜と物語を立体的に提示。文字を超え、温度と声を帯びた“都市の絵巻”として百年の時間を描き出し、寛容で可能性に富む土地を探る。
常設展「文学、ここに逗留」は、地域文学の発展をたどり、来館者を桃園の作家と作品世界へといざなう。(写真/桃園市政府提供)
3階の特別展示は、在地物語の映像化の歩みを紹介。鐘肇政『ルビンの花』など古典文学の映像化プロセスに触れられる。(写真/桃園市政府提供)
3階の特設展は「字影桃源:在地の物語と映像化の出会い」。文学と映像のクロスを主題に、鐘肇政『ルビンの花』、陳銘磻『報告班長』などの映像化の歩みをたどる。古典から現代へ、作家たちの着想源や創作プロセスを映し出し、改編が領域横断の創造行為であることを示す。4階は推進・収蔵フロアとして、多目的空間で交流プログラムを展開し、文学の継承と発展を支える。
吹き抜けを彩る高い書棚は館の象徴的デザイン。独自の美学を体現し、人気の撮影スポットにもなっている。(写真/桃園市政府提供)
都市の文学マップは、旧市街から 桃園駅から徒歩約10分。文学館は展示の場にとどまらず、都市の文化散歩の起点でもある。東溪緑園道、景福宮、独立書店、アートスペースへと歩いてつながり、体験としての“歩く文学”を提供する。今後は、分野横断ワークショップ、専門講座、「桃園文学季」など多彩な企画を通じ、読書を通じて都市を理解し、文学を日常に溶け込ませることを目指す。あわせて、学校・地域の文化館・市民団体と密に連携し、読書推進・読書教育の取り組みを強化。桃園の文化的土壌を、より深く耕していく。
十月の風が旧市街の路地をやさしく抜け、ページを繰る音が空気に混じる。桃園文学館で、暮らしのなかに息づく文学を体感してみてはいかがだろう。
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