トップ ニュース 日本でクマ被害が過去最多 7人死亡・負傷は100人超、市街地にも拡大 専門家「冬眠しないクマが新常態に」
日本でクマ被害が過去最多 7人死亡・負傷は100人超、市街地にも拡大 専門家「冬眠しないクマが新常態に」 日本各地への旅行では紅葉だけでなく、近年は「熊出没」警報にも注意を払う必要がある。(イメージ画像/Pixabay)
日本各地を観光する際は、紅葉狩りだけでなく「クマ出没」情報にも注意が必要だ。環境省の最新発表によると、今年はクマによる死者がすでに7人に達し、2006年の統計開始以来の最多を更新。北海道から本州の郊外、さらには商店街でも侵入事案が報告されている。専門家は、人口減少で山林と集落の「緩衝帯」が薄れ、気候変動が堅果類の結実に影響した結果、クマが里へ下り、人間の生活圏と重なる頻度が増していると指摘する。
3つのポイント 今年のクマ被害は死者7人、負傷者100人超で統計開始以来の最多。発生場所は市街地や商業施設にも広がる。 人口減少と気候変動が相まって、今年の堅果不作がクマの出没頻度と攻撃性を押し上げているとの見方。 北海道や福島などで対応を拡大。捕獲・わな設置への補助、麻酔銃要員の増員、住民啓発を同時に進めている。
記録更新と被害範囲の拡大 環境省は「2006年の統計開始以降、最も多い年となり、2023年度~2024年度の5人死亡という記録を上回った」と説明。新会計年度が始まった今年4月以降、少なくとも108人がクマに襲われ負傷し、うち死亡が7人。前年度は負傷85人(死亡3件を含む)で、2023年度から2024年度にかけての報告件数は計219件に上る。従来は山間部が中心だったが、今年は住宅地や郊外施設での発生が目立ち、活動域と生活圏の重なりが加速している。
住宅地の恐怖—スーパー侵入の詳細 群馬県沼田市の山間部にあるスーパーに、体長約1.4メートルの成獣が侵入し、男性2人が軽傷。店舗によれば「正面から入って約4分滞在。鮮魚コーナーの水槽に上がってガラスを破壊し、青果売り場ではアボカドをひっくり返して踏みつけた」という。同日、岩手県では農家が自宅の外で子グマを連れた母グマに襲われ、引っかき傷を負った。合掌造りで知られ交通アクセスの良い白川郷では、バス停でスペインからの観光客が被害に遭うなど、人の多い観光地への出没も確認されている。
2つの要因—人口減少と気候変動 フランス通信の分析では、近年クマの出没が各地で増え、住宅地でも頻発。専門家は、人口減と山村の高齢化で農林地が荒廃し、人の手による追い払い・境界管理という「人のネットワーク」が緩んだとみる。同時に、気候変動が堅果の結実に影響し、餌不足が“下山”とリスクを押し上げている。「熊類防除隊」リーダーの玉木康雄氏は、昨年の山の実りが豊作で頭数が増えた一方、今年は不作が深刻で、母グマが昨年生まれの子を連れて里に下りていると指摘する。
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「冬眠しない熊」のリスク—行動の異常 餌不足は冬眠リズムも変える。玉木氏は「今年は十分に脂肪を蓄えられず、浅い眠りのまま途中で覚醒する、いわゆる“冬眠しないクマ”が生じかねない」と警鐘を鳴らす。岩手大学農学部の山内貴義准教授も、今年のクマは人を恐れにくく、一定程度の「凶暴化」が見られると指摘。「かつては冬眠期に入れば安全と言えたが、近年は12月でも油断できない」とし、「冬眠=安全」という従来の前提が現在の環境では成り立ちにくいと述べる。
各地で緊急対応—捕殺の現状 札幌市では9月下旬の警報発令以降、住宅地周辺で目撃が相次ぎ、当局は1週間で5頭をわなで捕殺。福島県では同日に3件の襲撃があり、内堀雅雄知事が「非常事態」を宣言、わなの補助拡大、麻酔銃要員の増強、地域啓発の強化に踏み切った。分布としては、本州のツキノワグマ(アジアクロクマ)と北海道のヒグマが生息し、毎年数千頭が射殺されている現実が、「公共の安全」と「種の保全」の間で難しい政策判断を強いている。
今年のクマ被害・主な出来事と数字 4月から現在まで:新会計年度ベースで死者7人、負傷者100人超。統計上の新記録。 9月26日以降:札幌市で警報継続、住宅地周辺での出没が続き、直近1週間で5頭を捕殺。 10月中旬:群馬県でスーパー侵入、岩手で農家襲撃、白川郷のバス停で負傷事案。 福島県:負傷者は今年15人に達し、2023年の年間記録に並ぶ。県は「非常事態」を宣言。
共通認識と今後の見通し 環境省と研究者の多くは、人とクマの高密度な接触が冬季以降も続くとみる。餌資源が不安定で、堅果不作の年は行動予測が難しくなる。人口構成や気象要因は短期で逆転しにくいため、自治体は対応力の底上げと住民教育、観光地での警告を強化。国際観光でも、人気の紅葉スポットや合掌造りの集落、郊外の山道を訪れる際は、現地の警戒情報や一時的な規制の確認が旅程づくりに不可欠となる。
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