日本でクマ被害が過去最多 7人死亡・負傷は100人超、市街地にも拡大 専門家「冬眠しないクマが新常態に」

2025-10-18 17:11
日本各地への旅行では紅葉だけでなく、近年は「熊出没」警報にも注意を払う必要がある。(イメージ画像/Pixabay)
日本各地への旅行では紅葉だけでなく、近年は「熊出没」警報にも注意を払う必要がある。(イメージ画像/Pixabay)
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日本各地を観光する際は、紅葉狩りだけでなく「クマ出没」情報にも注意が必要だ。環境省の最新発表によると、今年はクマによる死者がすでに7人に達し、2006年の統計開始以来の最多を更新。北海道から本州の郊外、さらには商店街でも侵入事案が報告されている。専門家は、人口減少で山林と集落の「緩衝帯」が薄れ、気候変動が堅果類の結実に影響した結果、クマが里へ下り、人間の生活圏と重なる頻度が増していると指摘する。

3つのポイント

  • 今年のクマ被害は死者7人、負傷者100人超で統計開始以来の最多。発生場所は市街地や商業施設にも広がる。
  • 人口減少と気候変動が相まって、今年の堅果不作がクマの出没頻度と攻撃性を押し上げているとの見方。
  • 北海道や福島などで対応を拡大。捕獲・わな設置への補助、麻酔銃要員の増員、住民啓発を同時に進めている。

記録更新と被害範囲の拡大

環境省は「2006年の統計開始以降、最も多い年となり、2023年度~2024年度の5人死亡という記録を上回った」と説明。新会計年度が始まった今年4月以降、少なくとも108人がクマに襲われ負傷し、うち死亡が7人。前年度は負傷85人(死亡3件を含む)で、2023年度から2024年度にかけての報告件数は計219件に上る。従来は山間部が中心だったが、今年は住宅地や郊外施設での発生が目立ち、活動域と生活圏の重なりが加速している。

住宅地の恐怖—スーパー侵入の詳細

群馬県沼田市の山間部にあるスーパーに、体長約1.4メートルの成獣が侵入し、男性2人が軽傷。店舗によれば「正面から入って約4分滞在。鮮魚コーナーの水槽に上がってガラスを破壊し、青果売り場ではアボカドをひっくり返して踏みつけた」という。同日、岩手県では農家が自宅の外で子グマを連れた母グマに襲われ、引っかき傷を負った。合掌造りで知られ交通アクセスの良い白川郷では、バス停でスペインからの観光客が被害に遭うなど、人の多い観光地への出没も確認されている。

2つの要因—人口減少と気候変動

フランス通信の分析では、近年クマの出没が各地で増え、住宅地でも頻発。専門家は、人口減と山村の高齢化で農林地が荒廃し、人の手による追い払い・境界管理という「人のネットワーク」が緩んだとみる。同時に、気候変動が堅果の結実に影響し、餌不足が“下山”とリスクを押し上げている。「熊類防除隊」リーダーの玉木康雄氏は、昨年の山の実りが豊作で頭数が増えた一方、今年は不作が深刻で、母グマが昨年生まれの子を連れて里に下りていると指摘する。 (関連記事: 台湾・台北駅で10分間放置された性暴行 通緝犯男を現行逮捕、目撃者が語る「無関心の闇」 関連記事をもっと読む

「冬眠しない熊」のリスク—行動の異常

餌不足は冬眠リズムも変える。玉木氏は「今年は十分に脂肪を蓄えられず、浅い眠りのまま途中で覚醒する、いわゆる“冬眠しないクマ”が生じかねない」と警鐘を鳴らす。岩手大学農学部の山内貴義准教授も、今年のクマは人を恐れにくく、一定程度の「凶暴化」が見られると指摘。「かつては冬眠期に入れば安全と言えたが、近年は12月でも油断できない」とし、「冬眠=安全」という従来の前提が現在の環境では成り立ちにくいと述べる。

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