世界の軍事戦略の構図が劇的に変化する中、アジアの空軍力の均衡が塗り替えられつつある。米誌《Newsweek》はこのほど、最新の《World Directory of Modern Military Aircraft》(WDMMA)ランキングを報じた。それによると、インドが長らく主要な空軍大国とみなされてきた中国を上回り、世界第3位の空軍力を有する国となった。依然としてアメリカ合衆国が首位を堅持しているものの、インドの台頭は地域の勢力構図における大きな転換点を示している。
アメリカ空軍が依然として覇者、インド空軍が世界ランキングで急上昇
WDMMAのランキングは世界103か国を対象に、4.8万機を超える軍機を追跡し、「真の価値評価」(TruVal Rating, TVR)で空軍の実力を評価している。この評価は、機体数だけでなく、攻撃力や防御力、後方支援、近代化、作戦訓練などの要素を考慮している。
空軍力における世界の序列が明確になった。アメリカ合衆国空軍はTVR(TruVal Rating)242.9を記録し、世界シェアの約4割を占めて圧倒的首位に立っている。
一方で、注目を集めたのはインドの躍進だ。米軍の各軍種(空軍・海軍・陸軍・海兵隊)を合算した勢力を除くと、インド空軍(IAF)はTVR 69.4で世界3位にランクイン。兵力構成のバランスが取れているとされ、今年5月の「朱砂行動」でパキスタンのインフラを精密攻撃し、高い作戦能力を示した。
中国はTVR 58.1で7位にとどまり、インドに抜かれる形となった。大規模な投資を続けているものの、訓練水準や密接な空中支援能力などが総合評価を押し下げたと分析されている。
また、ロシアはTVR 142.4で単独計算では世界3位。空軍力は依然として強大である。
地政学的緊張と防衛支出の増加:374兆円に到達
イギリスの防衛情報企業のJanesは、今年末までに世界の防衛費が3.6%増加し、2兆5,600億ドル(約374兆円)に達するとの見通しを示した。これは国際的な衝突の激化と戦略再編の動きを反映したものであり、現代戦争において空軍力がいかに重要な役割を担っているかを浮き彫りにしている。
インドや中国などの国々は、空軍の近代化を急速に進めている。インド空軍はアメリカ合衆国やロシアを含む複数の国から装備を調達しており、その複雑な地政学的立ち位置を示している。専門家の分析によれば、インドの空軍力の台頭は今後の国際的な戦略や防衛計画に影響を及ぼし、地域の勢力バランスの転換点となる可能性が高い。
編集:柄澤南 (関連記事: 舞台裏》台湾海峡有事でフィリピンが要衝に 台湾は元空軍「トップガン」を派遣 | 関連記事をもっと読む )
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