イランとイスラエルが飛び交うミサイルによる空襲を繰り返し、中東の地政学的な緊張と国際航路の危機を引き起こしている。テヘラン当局は今週月曜、突然ペルシャ湾のカタールに向けて複数のミサイルを発射し、これが米国に対する報復と主張した結果、一時的に該空域が閉鎖され多数の航路が混乱する事態となった。実際のところ、イランが隣国カタールを攻撃したのはその内部にある、米軍の中東最大規模の駐留地であるウデイド空軍基地(Al Udeid Air Base)を攻撃することが主な目的である。
イランの急襲に対し、カタールは直ちに応答し、テヘランからの中短距離ミサイル十数発はすべて空中で迎撃され、同国の地面には被害は出ていない。同時に、アメリカのドナルド・トランプ大統領は自身のSNSでこの攻撃を「非常に弱い反応」と揶揄し、アメリカは事前に予測し効果的な反制を行ったと投稿した。また、このツイートでは、イランが合計14発のミサイルを発射し、「感謝」すべきはイランが事前に通知したことで、米側は被害なく対応できたとしている。
🚨🇮🇷 WHY IRAN TARGETED AL UDEID
— Mario Nawfal (@MarioNawfal)June 23, 2025
Iran didn’t pick Al Udeid Air Base in Qatar at random - it picked the biggest target on the board.
Al Udeid isn’t just any base. It’s CENTCOM’s forward HQ, home to 10,000 U.S. troops, bombers, drones, and more air-conditioned command rooms than…https://t.co/l5SKfMBGACpic.twitter.com/CTpHRqikTH
中東地域最大の米軍基地
ウデイド空軍基地はカタールの首都ドーハの南西部に位置する砂漠地帯にあり、中東における米軍最大規模の基地で、1996年に設立された。ウデイド基地は米軍中央司令部(CENTCOM)の前進本部としても使用され、エジプトからカザフスタンに至る広範な地域の全米軍行動を指揮している。
現在、中東全体でおよそ4万人の米軍が駐留しており、その中だけでもウデイド基地には約8000人の米兵が滞在している。イラクやアフガニスタン戦争の最盛期には、これまでに約1万人の米軍兵士が駐留していた。


小国ながらも財政力のあるカタールは、米国を誘引するために、この基地に驚くほどの予算を投じている。公開されたデータによれば、過去20年でこの基地に少なくとも80億米ドルを投入し、単なる砂漠地帯を豪華かつ機能的な軍事司令所へと変貌させた。
ウデイド以外には
米軍中央司令部の指揮下にある部隊は、カタール以外にも中東7か国に軍事基地と施設を設置している。
バーレーン(Bahrain):米国海軍第五艦隊の本部所在地で、ペルシャ湾、紅海、アラビア海およびインド洋の一部を防衛する任務を担う。1948年からこの施設を使用し、現在は約9000人の米軍兵士が駐在している。

クウェート(Kuwait):米国陸軍はアリ・アルサレム空軍基地、ブルーア軍事施設などに駐留している。これらの基地はイラクとの国境に位置し、クウェートを防衛しイラクの侵攻から守るためのものだった。現在、約1.3万人が常駐している。
アラブ首長国連邦(UAE):アブダビ南方に位置するアルダフラ空軍基地は、米国空軍の重要な中継点で、アラブ首長国軍と共用しており、約3000人が駐屯している。 (関連記事: イランはなぜ核開発をやめないのか?――自主独立という国家の誇りと代償 | 関連記事をもっと読む )
イラク(Iraq):米軍は西部アンバル県のアイン・アル・アサード空軍基地に駐留し、イラクの安全部隊の訓練やNATOの任務を実施している。北部のクルディスタン地域にはエルビル空軍基地を拠点として演習を行っており、イラクには約2500人が駐在している。