「歴史的決定」と評価──イスラエル駐台代表が語る「核阻止」の国際連携

2025-06-23 17:17
2025年6月23日、台北での記者会見で、イスラエル駐台代表のマヤ・ヤロン氏がイラン最高指導者ハメネイの写真を持ち、彼が「イランの使命は中東からイスラエルを地図上から消すことだ」と述べたことを指摘している。(写真/王秋燕撮影)
目次

アメリカのトランプ大統領がイランの3か所の核施設に対し軍事行動を実施したことを受け、イスラエルの駐台代表マヤ・ヤロン氏は台北で記者会見を開き、この判断を「歴史的な決定」と賞賛した。イランによるイスラエル市民への攻撃を強く非難するとともに、イランが核兵器を手にするのを阻止するために、国際社会が結束する必要性を訴えた。

イスラエルは人口1000万人の小国ながら、アイアンドームやアロー・ミサイルなどの多層防空システムで民間人を守る努力を続けている。ただ、それでも完全に防ぎきれず、ミサイルによる被害が発生している現状がある。ヤロン氏は、こうした中でも国民が示している強靭な精神やコミュニティの絆、そして団結の姿勢を強調した。

アメリカ、イラン核施設を攻撃 トランプ氏「歴史的決定」

同氏によれば、イスラエルはイランからの民間人を標的とした攻撃を受け続けており、病院、モスク、そしてユダヤ・キリスト教・イスラム教の宗教施設までもが被害を受けている。これまでに24人のイスラエル市民が命を落とし、数千人が負傷。彼女の家族や友人も避難所に身を寄せており、学校は休校、必要不可欠な職場だけが稼働していると語った。

今回の軍事行動については「大胆かつ決断力に満ちた判断」と評価。アメリカが専制体制と闘う自由世界のリーダーであることを証明したとも述べた。トランプ氏の決断により「世界で最も危険な政権が、最も危険な兵器を手にするのを防いだ」との見解を示し、これは決して忘れてはならないと語った。

また、「雄獅崛起作戦」の実施以降、世界各国から発せられたメッセージは極めて明確だとし、「いかなる状況下でもイランが核兵器を保有することは容認できない」と強調。イスラエルは正確で高度に集中した空爆を行い、民間人の被害を避けるため事前警告も徹底しているとしたうえで、アメリカの介入は「極めて重要で不可欠」と述べた。

人質50人以上が依然拘束、イスラエルは戦いを止めない

さらに、2023年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃した事件にも言及。1200人以上が犠牲となり、現在も50人を超える人質がガザのトンネルで飢餓や拷問に苦しんでいるという。ヤロン氏は、「すべての人質が安全に戻るまで、我々は戦いをやめない」と断言した。

一方で、多くの人が情勢のエスカレーションに不安を抱いている現状も認めながら、「今回の事態は中東の安定と安全を再構築するための分岐点」だと見ているとも述べた。極端で専制的なイラン政権による地域の不安定化やテロ行為を防ぐことは、自由世界の国々が共に守るべき価値であると訴えた。

最後に、トランプ大統領をはじめ、G7や欧州の各国首脳、志を同じくする国々が「イランに核兵器を持たせないことが共通の責任である」という姿勢をはっきり示していると強調した。

​編集:田中佳奈