在日台湾人による学びとつながりの場──「在日東京揪団愛学習同好会」の試み

2025-06-22 18:06
コロナ禍の最中に日本へ移住した蔡明淳氏は、台湾人である東京子氏と共に「在日東京揪團愛學習同好会」を立ち上げた。(撮影 黃信維)
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コロナ禍の最中に日本へ移住した蔡明淳氏は、台湾では講師として活躍し、執筆やイメージコンサルティングなどの分野に精通していた。自身で講座やセミナーを主催してきた経験を持つ彼女は、長年日本に住む台湾人の東京子氏と共に「在日東京揪團愛學習同好会」を立ち上げた。この学習会は営利を目的とせず、既存のリソースを統合することで、日本に住む台湾人に多様な学びと交流の機会を提供することを理念としている。

旅日台湾人が立ち上げた「愛學習同好会」 異国での絆を深める学びの場

活動内容は特定の分野に限定されず、例えばマーケティングや語学といった専門テーマに偏ることなく、様々な分野の知識を共有することで、参加者の視野を広げる構成となっている。

コロナ禍の最中に日本へ移住した蔡明淳氏は、台湾人である東京子氏と共に「在日東京揪團愛學習同好会」を立ち上げた。黃信維
コロナ禍の最中に日本へ移住した蔡明淳氏は、台湾人である東京子氏と共に「在日東京揪團愛學習同好会」を立ち上げた。(撮影 黃信維)

教育に携わってきた蔡氏は、パンデミックにより対面での活動が停止されたことを機に、全ての授業をデジタルへと切り替える必要に迫られた。コロナ終息後、再び台湾に戻って対面授業を行った際、学生との直接的なやりとりや、その場の空気感など、オンラインでは得られない価値を再認識した。2021年、夫との結婚を機に日本へ移住した彼女にとって、日本でも対面での学習活動を行う可能性について考え始めることとなった。

多様な分野を横断する知識交流の場

​長年日本に住む台湾人である東京子氏も、他の台湾人が主催するイベントに参加する中で、このような集まりの価値を強く実感していた。東京子氏は蔡氏に共同で学習型サークルを立ち上げることを提案。両者ともに学びに対する熱意を共有していたことから、すぐに「在日東京揪團愛學習同好会」の活動をスタートすることとなった。

蔡氏は台湾での講座運営経験とマーケティングの知見を活かし、迅速に活動スタイルを確立し、オンラインを通じてプロモーションも行った。当時、東京では人と繋がる機会が限られており、仕事も主に台湾市場との関わりが多かったことから、このプロジェクトは彼女にとって専門性を活かす場であると同時に、現地の台湾人との交流の契機にもなった。

月一回の定期開催で学びと交流を継続

こうして両名の尽力により、「在日東京揪團愛學習同好会」は正式に発足し、2023年9月に第一回のイベントを開催。その後は毎月第一土曜日に定期的に講座と交流の場を設け、日本に住む台湾人にとっての学びと繋がりのプラットフォームへと発展していった。

講座は基本的に3時間構成で、前半1時間半から2時間が講師による発表、残り1時間が参加者同士の交流時間に充てられている。蔡氏は、交流の時間が活動の核心部分であり、参加者同士が知り合い、人脈を築き、台湾人同士の結びつきを深める重要な時間だと語る。 (関連記事: 日本国債危機が米国に波及?──台湾の専門家「金融市場の終末が始まるかもしれない」 関連記事をもっと読む

創設者の蔡氏は、当初から大きな発展目標を掲げていたわけではなく、自身と東京子氏の経験や人脈をベースに地道に活動を進めてきた。両者とも教育や情報共有の経験があり、まずは自らの知見をシェアしつつ、他分野に精通し交流を好む講師を次第に招く形で運営を拡大していった。