評論》破綻が宿命づけられていた「極秘ブリーフィング」

2025-06-20 11:40
総統の賴清德氏が国是を議論するため国民党と民衆党を招待したが、解任団体との会合もうわさされ、注目を集めている。(賴清德Facebookより)
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18日に台湾総統府で開催予定だった「重要国家安全情勢に関するブリーフィング」は、民衆党主席・黄国昌氏および国民党主席・朱立倫氏が相次いで出席を拒否する姿勢を示したことにより、実現に至らなかった。総統府の大礼堂に設置された200インチの大型スクリーンも、結局使用されることがなかった。このブリーフィングを自ら提案・招請した頼清徳総統は、今回の事態について「残念である」との意を表明し、野党も中国の脅威に対し共に向き合う必要があると強調した。

国家安全に関するブリーフィングが開催中止となった理由──頼清徳総統が「残念」と語った背景とは

今回「突如として登場」した国家安全ブリーフィングは、実のところ、頼清徳総統が2025年5月20日の就任1周年談話の中で打ち出した構想である。総統はこのブリーフィングを、「与野党対話を促進し、政党間の協力を強化する」ための取り組みと位置づけ、「国家利益を最優先にし、国家安全の確保を前提としたうえで」、「率直かつ誠実に意見を交わし、国家の大計を共に論じる」場とする意向を示していた。しかし当時から、こうした頼総統の「新提案」に対しては懐疑的な見方が少なくなかった。というのも、与野党対話は本来、総統就任当初に着手すべき重要課題であり、すでに1年を経過していることに加え、頼総統自身が「大規模リコール運動」の背後にいる「黒幕」とも指摘されている。そうした中で、野党側の国民党・民衆党両党のリーダーが無邪気に応じるはずがなかった。