日本と台湾・屏東の交流が加速中 観光・教育・音楽イベントで連携

2025-06-17 12:59
日本台湾交流協会の片山和之代表(左)が、日本文化を代表する工芸品を贈呈。(写真/屏東県政府提供)
日本台湾交流協会の片山和之代表(左)が、日本文化を代表する工芸品を贈呈。(写真/屏東県政府提供)

日本台湾交流協会代表片山和之氏と高雄事務所長奥正史氏は6月13日、屏東県政府を訪問し、周春米県長と会談を行った。会談では、歴史的なつながりや文化・観光・教育交流など、多方面にわたる協力の可能性について意見が交わされた。周県長は、今後も日本各地との連携を広げ、台日の友好関係を一層深めていきたいと述べた。

先日、来台した日本の錣山部屋の力士たちは、「クロマグロ文化観光シーズン」に参加したほか、原住民の子どもたちと柔道を通じて交流を行い、夜市なども訪れた。こうした文化交流は、各所で好評を得ており、屏東が台湾最南端の玄関口として、国際的な役割を担っていることを示している。

周県長によれば、屏東には北大武山や小琉球、墾丁などの自然景観があるだけでなく、日治時代の建築を活用した勝利星村や屏菸1936文化基地などもあり、文化と観光を融合させた拠点づくりが進められている。訪問団もこれらの施設を実際に訪れ、屏東の地域文化と観光の魅力を体感した。

片山氏はまた、第二次世界大戦末期に米軍の潜水艦によってバシー海峡で撃沈された補給船「玉津丸」について言及。生存者たちが戦友を弔うために台湾の友人に依頼して土地を購入し、屏東に潮音寺を建立した経緯を説明した。現在も多くの日本人が同寺を訪れ、戦没者を偲んでいるという。

片山氏は、屏東には日本とのつながりが深い場所や歴史が多く残っており、自然資源が豊富で農水産品も高品質であると指摘。今後は、より多くの日本人に屏東の魅力を知ってもらい、農水産品の輸出促進にもつなげていきたいと語った。

屏東県は鹿児島県と交流覚書(MOU)を締結しており、教育・観光・国際業務などで実質的な協力を展開している。昨年8月には県政府代表団が沖縄県を訪問し、知事の玉城デニー氏と会談。同年11月には沖縄県副知事の照屋義実氏が屏東を訪問し、交流を深めた。双方は今後、正式な協定の締結を目指している。

また、昨年は静岡市の「清水港マグロまつり」に招かれ、屏東がクロマグロ文化を紹介。今年は静岡側が「クロマグロ文化季美食推廣宴」に招待された。音楽イベント「台湾祭」で優勝したThe Salitusも、神戸で行われた屋外音楽フェス「Coming Kobe」に出演するなど、草の根レベルの交流も盛んになっている。九如郷、琉球郷、恆春鎮などの行政区も、日本の市町村と友好協定を結び、多くの高校が日本の学校とオンラインや対面で交流を行っている。

屏東県は、歴史的背景と地理的利点を活かし、南部の国際交流ハブとしての地位を確立しつつある。台日交流の深化が期待される中、地方間の連携や若者同士の交流がさらに進むことが見込まれている。

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