南海トラフ巨大地震が発生する確率は、今後30年以内で80%──日本政府はそう警告している。想定されるマグニチュードは8〜9。発生すれば大規模な津波を伴い、暮らしや経済活動に深刻なダメージを与える可能性がある。
このニュースは台湾でも大きな注目を集めており、将来の波及リスクに対する不安が広がっている。台湾の中央気象署は、公式Facebook「報地震」の投稿で南海トラフの成り立ちを説明。ここはフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むことでできた沈み込み帯で、エネルギーが解放されると海底が動いて海水を大きくかき乱し、津波を引き起こすことがあるという。
台湾は地震が頻発する環太平洋地震帯に位置しており、いわば「津波の最前線」にある。気象署はこの地理的リスクを踏まえ、常に警戒が必要だと呼びかけている。
「海槽とは何か?」という問いに対しても、「報地震」はプレートの動きから解説を始めている。2つのプレートがぶつかり、密度の高いプレートが低いプレートの下に沈み込むと、マントルへと沈降していく。この「収束型プレート境界」でさまざまな地震活動が発生する。
その境界付近には深いくぼみが形成され、地形によって「海溝(Trench)」と「海槽(Trough)」に分類される。
海溝と海槽の違いとは?
1、海溝(Trench):水深6000メートルを超える鋭く深い地形で、日本海溝やマリアナ海溝などが代表例。
2、海槽(Trough):より浅く広がった凹地で、水深は通常6000メートル未満。南海トラフのように沈み込みによってできたものや、沖縄海槽のように他の地質活動で形成されたものもある。
沈み込み帯はどのようにして地震を引き起こすのか?
「報地震」によれば、プレートが沈み込む過程で境界に強い応力が蓄積し、岩石の限界を超えると破壊が発生。これによって大きなエネルギーが解放され、海底が動いたり地滑りが起きて津波が発生する。これが「海溝型地震」だ。
中央気象署は、台湾が津波リスクの高い地域にあることを改めて強調。太平洋津波警報センター(PTWC)と連携し、警報体制の強化を進めている。
また「地震がいつ起きるかは誰にもわからない。大切なのは“起きた時にどう行動するか”だ」として、異常を感じたり警報を受け取った場合は、すぐに高台に避難するよう呼びかけている。
編集:田中佳奈
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp (関連記事: 7月5日の大地震が日本と台湾を壊滅させる?チェックセンターが科学で「終末予言」を検証 | 関連記事をもっと読む )