鉄道の旅が新たなブームに――旅行業者が発表した「台湾で訪れるべき鉄道5選」には、平渓線や阿里山森林鉄路などが名を連ね、鉄道ならではの魅力を体験してほしいとしている。
旅行予約サイトのBooking.comはプレスリリースの中で、「従来のように事前にチケットを予約し、綿密に計画された旅とは異なり、鉄道旅行は煩雑な準備が不要で、慌ただしいスケジュールに追われることもありません。個性豊かな列車に乗り込み、車窓からの風景を眺めながら、気の向くままの旅が楽しめます」と述べている。
平渓支線
Booking.comによると、台湾北部の特色ある鉄道といえば、まず思い浮かぶのが渓谷に位置する平渓線だ。この路線はかつて石炭産業の発展に伴って建設され、周辺の小さな町々の繁栄を支えてきた。緑豊かな山あいを縫うように走る平渓線は、全長こそ長くはないものの、沿線には個性あふれる見どころが点在しており、線路全体をめぐる小さな旅にぴったりの鉄道だ。
Booking.comは、旅の出発点として瑞芳駅をスタート地点にすることを勧めている。まず訪れたいのは、かつて「東南アジア随一の黄金の町」と称された金瓜石。そして次に向かうのは、CNNにより「世界6大“猫スポット”」のひとつとして紹介された猴硐(ホウトン)。人と猫が共に使う歩道橋を歩き、猫たちに癒されるひとときを楽しめる。
さらに列車で十分駅へと進めば、ノスタルジックな老街(昔ながらの商店街)を散策し、駄菓子屋をのぞいたり、十分瀑布の絶景を堪能したりできる。「十分幸福(とても幸せ)」と書かれた祈願切符を手に入れれば、旅の思い出もより特別なものになるだろう。
そして最後は平渓駅へ。願いを込めた天燈(ランタン)を空に飛ばして、小さな鉄道の旅に幸運の幕を下ろすのがおすすめだ。
三義旧山線
Booking.comによると、苗栗県の三義駅から分岐する旧山線には、沿線に3つの鉄橋、4つの駅、8つのトンネルが点在しており、現在は3種類の観光ルートが用意されている。日本統治時代に建設された勝興駅を訪れるもよし、20世紀初頭の地震で崩壊した歴史的遺構・龍騰断橋を見に行くもよし、西部縦貫鉄路で最も標高の高い場所に架かる魚藤坪鉄橋を歩いて絶景を楽しむもよし――旅行者は好みに応じて気軽にルートを選ぶことができる。
阿里山森林鉄道
高山の森林鉄道を訪ねてみたい場合、Booking.comのおすすめによると、嘉義から出発する阿里山森林鉄路が最適だ。
この鉄道は台湾で最も標高の高い路線で、壮麗な山岳風景を満喫できる。本線は嘉義駅を起点に、標高30メートルから2216メートルまで一気に駆け上がる。乗客は、熱帯、亜熱帯、温帯と、車窓から移り変わる森林の様相を間近に体感できるのが魅力だ。
扇形車庫
また、彰化で有名な扇形車庫も見逃せない。90年以上の歴史を持つ機関車の車庫は、かつて蒸気機関車が発着する重要な拠点として活躍し、現在では鉄道文化を今に伝える歴史的ランドマークとなっている。
ぜひ展望デッキに上がって、12本の線路が放射状に広がる壮観な景色を上から眺めてみてはいかがだろうか。
藍皮解憂号
Booking.comによると、台湾で最も癒やされる列車のひとつ「藍皮解憂号」は、レトロなディーゼル車両をベースに、ロマンチックな青い塗装が施された特別列車。沿線には地域色豊かな駅が連なり、乗客は原住民文化を深く体験したり、伝統建築の美しさを堪能したりと、南台湾の風土と人情を一度に味わうことができる。
「藍皮解憂号」は、マンゴーや海産物の産地として知られる屏東・枋寮を出発し、太平洋を一望できる絶景駅・多良や、上質な温泉で知られる台東・知本を通過する。車内では、懐かしさを感じさせるレトロな美学と沿線の風景が調和し、「台鉄の動く博物館」とも称されるほどの魅力を放っている。
編集:柄澤南 (関連記事: 【鉄道×ミシュラン】「鳴日廚房」、移動する美食体験を再定義 陳偉強シェフ&王輔立シェフ監修、唯一無二の四頭アワビバーガーも登場 | 関連記事をもっと読む )
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