「民主主義への攻撃」ロサンゼルスに米軍派遣、カリフォルニア州知事が警鐘「大統領の露骨な権力乱用だ」

2025-06-12 08:52
2025年6月10日、トランプ大統領がノースカロライナ州フォートブラッグで演説し、踊りを披露した。(AP通信)
2025年6月10日、トランプ大統領がノースカロライナ州フォートブラッグで演説し、踊りを披露した。(AP通信)
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連日続く連邦移民当局による強制捜査への抗議に対応するため、数百人規模の米海兵隊が10日、ロサンゼルス地域に到着した。部隊は市街地への展開命令に即応できる態勢を整えており、現在、約700人の海兵隊員がロサンゼルス南方約50キロに位置するシールビーチに集結し、今後の指示を待っている。カリフォルニア州のニューサム知事はトランプ大統領の対応を強く非難し、「民主主義が攻撃を受けている」と警告した。

トランプ大統領が先日、州兵と海兵隊のロサンゼルスへの派遣を命じたことは、米国史上極めて異例の措置であり、トランプ政権に対する抗議の激化を一層招いている。カリフォルニア州のニューサム知事は「これは現職大統領による露骨な権力乱用であり、警察や市民、さらには州兵自身を危険にさらしている」と断じた。さらにニューサム知事は、トランプ氏が「対立をあおり、武力を乱用し、公共の安全よりもパフォーマンスを優先している。まさに民主主義が攻撃を受けている瞬間だ」と厳しく批判した。

ニューサム知事は公然と非難するだけでなく、月曜日にはカリフォルニア州政府としてトランプ政権および国防総省を提訴し、連邦部隊の介入差し止めを求めた。これに対しトランプ氏は、「逮捕されるべきはニューサムだ」と名指しで反論。軍の動員は不法移民排除の公約を実行するための一環であり、「カリフォルニアを外国勢力の侵略や無政府状態の犠牲にさせるわけにはいかない」として、「ロサンゼルスを解放する」と強く主張した。

移民対策について、国土安全保障省は、移民・関税執行局(ICE)が最近、1日あたり平均で約2,000人もの不法移民を逮捕しており、これはバイデン政権下での311人を大きく上回っていると発表した。

ロサンゼルスの夜間外出禁止令、約200人逮捕

暴力と騒乱を防ぐため、ロサンゼルス市のバス市長は、中心部約1平方マイルの地域で即日より毎晩8時から翌朝6時まで夜間外出禁止令を実施すると発表した。これは数日間続く予定である。警察の統計によれば、10日だけで197人の抗議者が逮捕され、累計数が倍増している。市議会議員のユラド氏は、夜間外出禁止令は「混乱に乗じて略奪を行う者を対象にしているのであり、平和的な抗議者を狙ったものではない」と補足した。9日夜にはロサンゼルスで23軒の店舗が略奪被害に遭っていることが判明した。

バス市長は、大多数のデモが平和的に行われていると強調し、ごく一部の挑発や略奪行為があるのみであり、社会が抗議者と一部の暴力行為者を混同しないよう求めた。警察は非致命的な武器を使用して人々を排除したが、抗議の規模は縮小していない。10日夜には、数百人の群衆が夜間外出禁止令開始の5分前に警察と対峙し、「平和的抗議」を唱え、理性を持った行動を求めた。拘置所周辺は警察とデモ参加者の激しいせめぎ合いの現場と化し、抗議の波はロサンゼルスからニューヨーク、アトランタ、シカゴなど多くの都市に広がっている。

ロサンゼルス地域には10日の時点で、計画されている4,000人の動員兵力の半数以上にあたる2,100人の州兵(ナショナルガード)が配備されている。海兵隊および州兵は逮捕権を持たず、連邦の施設や人員の警護のみを担当している。それにもかかわらず、カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官はロイター通信に対し、州政府は連邦軍の人員警護許可に懸念を示していると述べ、この措置は1878年制定の「地方保安隊法」に違反する可能性があると指摘した。同法は、米軍(州兵を含む)の民間治安活動への関与を禁止している。

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