連日続く連邦移民当局による強制捜査への抗議に対応するため、数百人規模の米海兵隊が10日、ロサンゼルス地域に到着した。部隊は市街地への展開命令に即応できる態勢を整えており、現在、約700人の海兵隊員がロサンゼルス南方約50キロに位置するシールビーチに集結し、今後の指示を待っている。カリフォルニア州のニューサム知事はトランプ大統領の対応を強く非難し、「民主主義が攻撃を受けている」と警告した。
トランプ大統領が先日、州兵と海兵隊のロサンゼルスへの派遣を命じたことは、米国史上極めて異例の措置であり、トランプ政権に対する抗議の激化を一層招いている。カリフォルニア州のニューサム知事は「これは現職大統領による露骨な権力乱用であり、警察や市民、さらには州兵自身を危険にさらしている」と断じた。さらにニューサム知事は、トランプ氏が「対立をあおり、武力を乱用し、公共の安全よりもパフォーマンスを優先している。まさに民主主義が攻撃を受けている瞬間だ」と厳しく批判した。
移民対策について、国土安全保障省は、移民・関税執行局(ICE)が最近、1日あたり平均で約2,000人もの不法移民を逮捕しており、これはバイデン政権下での311人を大きく上回っていると発表した。
ロサンゼルスの夜間外出禁止令、約200人逮捕
暴力と騒乱を防ぐため、ロサンゼルス市のバス市長は、中心部約1平方マイルの地域で即日より毎晩8時から翌朝6時まで夜間外出禁止令を実施すると発表した。これは数日間続く予定である。警察の統計によれば、10日だけで197人の抗議者が逮捕され、累計数が倍増している。市議会議員のユラド氏は、夜間外出禁止令は「混乱に乗じて略奪を行う者を対象にしているのであり、平和的な抗議者を狙ったものではない」と補足した。9日夜にはロサンゼルスで23軒の店舗が略奪被害に遭っていることが判明した。
バス市長は、大多数のデモが平和的に行われていると強調し、ごく一部の挑発や略奪行為があるのみであり、社会が抗議者と一部の暴力行為者を混同しないよう求めた。警察は非致命的な武器を使用して人々を排除したが、抗議の規模は縮小していない。10日夜には、数百人の群衆が夜間外出禁止令開始の5分前に警察と対峙し、「平和的抗議」を唱え、理性を持った行動を求めた。拘置所周辺は警察とデモ参加者の激しいせめぎ合いの現場と化し、抗議の波はロサンゼルスからニューヨーク、アトランタ、シカゴなど多くの都市に広がっている。
ロサンゼルス地域には10日の時点で、計画されている4,000人の動員兵力の半数以上にあたる2,100人の州兵(ナショナルガード)が配備されている。海兵隊および州兵は逮捕権を持たず、連邦の施設や人員の警護のみを担当している。それにもかかわらず、カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官はロイター通信に対し、州政府は連邦軍の人員警護許可に懸念を示していると述べ、この措置は1878年制定の「地方保安隊法」に違反する可能性があると指摘した。同法は、米軍(州兵を含む)の民間治安活動への関与を禁止している。
編集:柄澤南 (関連記事: 強制的移民追放による抗議活動、トランプがロサンゼルスに州兵派遣! ニューサム知事の警告:派兵は緊張激化に | 関連記事をもっと読む )
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