中国、硫黄島周辺に空母2隻を同時展開 戦役級の遠洋合同演習を初実施か

2025-06-10 12:29
中国海軍の山東号を中心とする空母戦闘群。(資料写真、AP通信)

日本の防衛省統合幕僚監部は6月9日深夜、中国人民解放軍海軍の空母「山東(Shandong)」を含む艦隊が、7日午後1時ごろに宮古島の南東約550キロの海域を東進していたと発表した。その後、9日には空母山東とともに、艦番号165および571の艦艇が沖ノ鳥島の北方、硫黄島南西の海域に展開し、艦載機による発着艦訓練を行っていたことが確認された。

この艦隊には、南部戦区海軍に所属する空母「山東」(艦番号17)、第9駆逐艦支隊所属の055型駆逐艦「遵義」(107)、054A型フリゲート「衡水」(572)、第2駆逐艦支隊所属の052D型駆逐艦「湛江」(165)、054A型フリゲート「運城」(571)、および第3作戦支援艦支隊の901型総合補給艦「查干湖」(905)などが含まれていたとされる。

防衛省が公表した情報からは、7日から9日にかけて艦隊の規模が拡大している可能性がある。北部戦区の空母「遼寧」打撃群が9隻以上で構成されていた点を踏まえると、監視能力の限界もあり、山東艦打撃群の実際の規模はさらに大きい可能性があるとみられている。

共軍南北部戦区双航母初の第二列島線硫黄島での戦役級遠海合同演習。(陸文浩提供)
中国軍の南北部戦区の双子の空母が初めて第二列島線の硫黄島に集結し、戦役級の遠海合同演習を実施した。(陸文浩提供)

一方、日本政府は6月8日、中国海軍の北部戦区に所属する空母「遼寧」打撃群が、7日から8日にかけて南鳥島の南西約300キロの海域で艦隊行動および艦載機の発着艦訓練を実施していたと発表している。

この遼寧艦打撃群には、山東省青島の第1駆逐艦支隊に所属する055型駆逐艦「南昌」(101)および「無錫」(104)、遼寧省大連の第10駆逐艦支隊の052D型駆逐艦「チチハル」(121)および「唐山」(122)、さらに青島の第1作戦支援艦支隊の901型総合補給艦「フルン湖」(901)が含まれていた。また、増援として055型駆逐艦「ラサ」(102)、054A型フリゲート「煙台」(538)と「潍坊」(550)、903A型総合補給艦「ココシリ湖」(903)も確認され、計10隻の編成となっている。

南部戦区の山東艦打撃群と北部戦区の遼寧艦打撃群が、いずれも硫黄島周辺に展開し、それぞれ東進・西進する態勢を取っていたことから、中国海軍が西太平洋・第二列島線における戦略的要衝で、初めて二正面の「戦役級」合同遠洋演習を展開した可能性がある。これは過去の「機動」演習シリーズを上回る軍事的示威であると専門家は見ている。

*筆者は中華戦略学会研究員

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