揭仲コラム:台湾軍の「漢光41号」演習を徹底分析

2025-07-18 17:36
台湾国軍は7月9日から10日間にわたって「漢光41号演習」を実施し、共軍もこれに対し共同戦備警巡を開始した。(写真/国防部スポークスマンFacebook)
台湾国軍は7月9日から10日間にわたって「漢光41号演習」を実施し、共軍もこれに対し共同戦備警巡を開始した。(写真/国防部スポークスマンFacebook)
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台湾国軍の定例軍事演習「漢光41号」は7月9日に正式に始まり、「常態危機処理」(9~11日)、「備戦部署」(12日)、「聯合反登陸」(13日)、「浜海および海岸戦闘」(14日)、「縦深防御」(15~16日)、「持久作戦」(17~18日)の6段階に分けられ、7月18日にすべて終了した。合計で10日間9泊にわたる演習となった。

今回の演習は、これまでの5日間4泊から倍増し、演習科目も従来とは異なり、より実戦を意識した内容が盛り込まれたため、国内外のメディアの注目を集めている。

演習日数が倍増した理由

今年の実兵演習が10日間9泊となったのは、各級の指揮・参謀・部隊の官兵の体力と意志力を鍛えることに加え、緊急事態に備えて心理的な準備を整える狙いがある。また、日数を延ばすことで参謀本部がより多くの項目を演習・検証する時間を確保できる点も大きい。

近年、国軍は武器装備や部隊編成、分散型指揮管理、攻撃チェーン、防衛作戦計画などで大幅な調整が進められている。参謀本部はこれらの修正を実地で検証し、各級の指揮・参謀・部隊が早期に習熟することを求めている。

例えば、各級部隊における無人機の運用法や、中国無人機への対処規則・教範を編纂中であり、その初稿を今回の演習で試験的に運用し、迅速に完成させて各部隊へ配布する計画だ。

また、今年の段階ごとの日程をみると、従来重視されてきた「備戦部署」「聯合反登陸」「浜海および海岸戦闘」は1日ずつで従来通りだが、「常態危機処理」(中国軍のグレーゾーン妨害への対応)、「縦深防御」、「持久作戦」の日程は大幅に増え、従来の合計約1日から7日間へ拡大した。これは、国軍がこれら3段階への対応力を強化しようとしており、特に「常態危機処理」の一部シーンを「備戦部署」に拡張し、中国軍のグレーゾーン妨害対処が今年最も強調されたことを示している。

共軍のグレーゾーン妨害に対処するためなぜ3日間か

ここ3年、中国軍による台湾へのグレーゾーン妨害は常態化しており、国軍も慣れているはずだが、なぜ今年の演習でこれほど重視されたのか。

その理由は、平時のグレーゾーン妨害は圧力をかけて法戦を支援するのが主目的だが、漢光演習で想定した妨害は、動員準備や事前配備を隠し、国軍の判断を誤らせ、戦前配備を妨害し、挑発して国軍に先に攻撃させる狙いがあるからだ。平時とはまったく異なる意味を持つ。

これを受け、参謀本部は「演を戦に見せかける」から「演を戦に移す」脅威に対抗するため、今年から「即時備戦操演」を実施。さらに交戦ルールや応変計画を修正し、戦略的コミュニケーションや国際社会での『武装衝突法』の理解と活用を強化。国軍の行動の自由を確保し、関連措置の正当性を確立した。 (関連記事: 陸文浩の見解:台風の隙を突く中国軍、台湾包囲に情報戦と実弾演習 関連記事をもっと読む

計画内容が多く変更されたため、官兵が早急に対応できるよう、参謀本部は3日間をかけて修正内容と実行方法を徹底的に検証することを決めた。

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